南雲先生の歩いて美しくなれる10の秘訣<後編>

特集/歩くチカラを見直そう

語り/南雲吉則(ナグモクリニック院長、医学博士)
取材・文/川口夏希<attik>(ライター)

Secret6
「ノンエクササイズの効果を上げるには、
"カッコよさ"を意識することです」

「運動のためにわざわざ時間をもうけるのではなく、日常生活の中でからだを動かすのが"ノンエクササイズ"。その効果を上げるポイントは、"カッコよく振る舞う"ということ。背中を丸めて携帯電話を見ながらノロノロ歩いていてはカッコ悪い。そこでおすすめは、"プールサイドのポーズ"です。プールサイドで記念写真を撮るときは、だれでもぐっと胸を張ってお腹を引っこめますよね。その姿勢で、顔を上げて最大歩幅でビュンビュン歩くことです。職場という戦いの場へ向かう自分のテンションも上げてくれます」 Image 水着を着ていると思えば、自然とおなかがぐっとへこみます。 それが"プールサイドのポーズ"の基本です。

Secret7
「早足歩きでインナーマッスルを鍛え、
首回りを薄着にして脂肪を燃焼させましょう」

「風を切るようなスピードで歩いていると、お尻がキュッと上がって、インナーマッスルが鍛えられます。この筋肉は、ただからだを整えるだけでなく、内臓を支えたり、ホルモンバランスを整えたり、血液の循環もアップさせてくれます。そして、歩くときは胸元のボタンを外します。昔の俳優みたいに胸毛を出して歩くイメージです。よく足元はミニスカートでも、首はマフラーでぐるぐる巻きという女性を見かけますが、あれは間違い。首には体温調整中枢があるので、そこを温めてしまうと、脳が暑いと感じてしまい、脂肪は燃焼されません。首回りは涼しく、足元は暖かくという"頭寒足熱"を心がけることです」

Secret8
「脚がむくんでつらいときは、
マッサージへ行くより
歩いてふくらはぎを刺激しましょう」

「心臓は新しい血液を送り出してくれるけど、古い血液を送り戻してくれるのは"第二の心臓"ともいわれるふくらはぎの仕事。新幹線や飛行機の中でずっと座ったままでいると、脚がむくんでだるくなってしまいます。そんなときは"貧乏ゆすり"をします。足でフォービートを刻みながらね。そして目的地に着いたら、階段もズンズン歩いてふくらはぎの疲れをとります。歩くことでふくらはぎの筋肉が収縮し、そのポンプ作用によって血流がスムーズになるわけです。むくんだからといってマッサージに行けば、確かに気持ちはいいですが、古い血液が循環するのはその間だけ。もっと効率的に脚のだるさを解消したかったら、歩いてふくらはぎを刺激することです」

Secret9
「その疲れは仕事のせいではありません。
正しい"リセット方法"を身につけましょう」

「遊ぶこと、お酒を飲むこと、おいしいものを食べること。これが人生の楽しみだと思っていませんか? 夜通しで友達と遊ぶ、深夜までお酒を飲む、というストレス解消のためにやっていることが、すごくストレスになっていることに気がついていない人が多い。実はあなたが疲れているのは、仕事のせいじゃなく、リセットの仕方を間違えているからなんです。みなさんの仕事はどれも尊い"天職"です。いつも絶好調で働くために、睡眠をきちんととり、よい食事を心がけ、そして歩くことです。そうすれば仕事で結果が出せるから、ものすごく人生がエンジョイできますよ」

Secret10
「いつかは歩けなくなる。
一日でも長く歩ける状態をキープしたいなら、
今のうちからよく歩くことです」

「いくら健康によいとわかっていても、歩くのは疲れるから嫌い、という人もいるでしょう。確かにずっと歩きずくめはつらいけど、もし自分が歩けなくなったらと考えると、もっとつらいはずです。それをできるだけ避けるには、日常生活での車移動を極力減らして、自分の足で歩くようにすることです。歳をとっても寝たきりにならない人は、最後まで歩いていた人です。歩くことはいちばん安全で簡単、そして人の手を借りずに、内面から体を健康にしていくことができます。スポーツのために時間をとるのではなく、仕事を通して周りの人の役に立ちながら、あくまで日常生活の中でからだを動かすことが"カッコいい"と僕は思います」 Image 歩くときは、にやっと微笑みながら、少し上を向いて、最大歩幅でガンガン歩きます。周りの人が「あれはだれだ!?」と思うくらい、颯爽とカッコよく歩きたいものです。

南雲吉則(ナグモクリニック院長、医学博士) "20歳若返る健康法"が日本中で話題に。テレビ出演も多く、書籍『「空腹」が人を健康にする』をはじめ、人気書籍を多数執筆。最新刊に『眠るが勝ち』があり。ブログ『なぐちゃん倶楽部』では、健康に関する解説から、人生観まで幅広く網羅。講演会の情報などもあり、"美しくなれる秘訣"がぎっしり。
http://www.nagumo.or.jp/

撮影/福田喜一