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教えて、ドクター!

2019年12月11日

先生/奥村 歩(おくむらメモリークリニック 院長)

BODY

【特集/ブレインヘルスの最新事情】

何だっけ? ...そのもの忘れは「脳疲労」です!

---- 身近な人の名前が思い出せない。仕事でうっかりミスが増えた。予定どおりに物事が運ばず、いつもバタバタと追い立てられている――。「そんなこともあるよね」ですませていると、取り返しのつかないことになるかも!? 忙しすぎる現代、私たちの脳は、想像以上にストレスを感じています。「もの忘れ外来」を開設する脳神経外科医の奥村 歩先生に、脳の健康についてうかがいました。 何だっけ? ...そのもの忘れは「脳疲労」です!
脳、疲れていませんか?
リストで脳疲労をチェック
私が開設する「もの忘れ外来」には、毎日150名ほどの患者さんがいらっしゃいます。「もの忘れ」と聞くと、高齢者の患者さんを想像するかもしれませんが、実はここ10年ほど、30代、40代の、働き盛りの若い人たちが急増しています。仕事をもつ女性、子育て世代の女性も多くなってきていて、みなさん「若年性認知症では?」と心配されるのですが、30〜40代で認知症になることはほとんどありません。では、もの忘れの原因は何か、というと、それは脳の疲れ、「脳疲労」によって、脳の情報処理能力が落ちてしまっているからなんです。

まずは簡単なチェックリストで、脳疲労を調べてみましょう。チェックが多いほど危険度が高くなります。











合計:

マルチタスクが
脳の過労を引き起こす!?
「もの忘れ」は、脳の「記憶」に関する機能が落ちている状態です。「記憶」は3段階のシステム構成になっていて、まずは見たこと聞いたこと、経験したことをインプットして覚える「記銘」段階。記憶の第1段階です。次は、覚えた情報を仕分けしてストックしておく「保持」段階。そして、そこから必要な情報を取り出す「検索・取り出し」段階です。認知症では、そもそも第1段階が機能しなくなるのです。「もの忘れ」というよりは、覚えられない。それに対して、30〜50代の患者さんが悩んでいる「もの忘れ」の多くは、認知症とは異なり、3段階目の「検索・取り出し」の機能が落ちていることに由来しています。

ではなぜ「検索・取り出し」の機能が落ちるのか。それは、脳に入れる情報が多すぎて、脳が過労=オーバーワークになっているからです。

脳のオーバーワークを引き起こす原因のひとつに、複数の案件を並行してこなす「マルチタスク」があります。実は、脳は、集中してひとつのことを究めようとするときには、それほど疲れを感じません。しかし、同時にいくつものことをやろうとすると、すごく疲れるのです。特に現代日本の30〜40代の女性は、仕事に育児に介護にと、マルチタスクにさらされてしまいがち。人間関係も、男性は仕事関係がほとんどで単調ですが、女性はPTAだママ友だ、と幅広く、負荷が大きい。もともと女性は男性に比べて、マルチタスクをこなせるようになってはいるのですが、それにしても、現代はオーバーワーク気味です。

さらに、脳疲労の大きな原因が、スマホ。脳の情報処理能力が機能せず、脳がフリーズ状態になってしまう「スマホ脳疲労」は、特に若い世代で深刻化しています。

----脳の過労度チェック、結果はいかがでしたか? 軽く考えていた「もの忘れ」に、そんな深刻な原因があったとは、衝撃的です。現代日本を生きる私たちの脳は、常にお疲れモードだったのです。次回は、スマホが引き起こす脳の過労について教えていただきます。
奥村 歩

奥村 歩 医学博士。日本脳神経外科学会認定専門医。おくむらメモリークリニック院長。これまでに10万人以上の脳を診断。特に2008年に「もの忘れ外来」を開設して以降は、認知症やうつ病に関する診断も多く経験する。『その「もの忘れ」はスマホ認知症だった』(青春出版社)、『脳を休める技術』(カンゼン)、『「朝ドラ」を観なくなった人は、なぜ認知症になりやすいのか?』(幻冬舎)など著書多数。

取材・文/剣持亜弥
イラスト/吉岡ゆうこ

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