インサイドストーリー

商品づくりの現場から

2019年10月 9日

語り/石田(チーフデザイナー)
掛川(デザイナー)

BODY

最新の技術で、極限までフラットに仕上げたインナー「スゴ衣 肌あたりやさしい」

秋から冬にかけてのファッションには欠かせない暖かいインナー。お客様の悩みに耳を傾け、ここちよさをとことん追求した「スゴ衣 肌あたりやさしい」が完成しました。極限までフラットに仕上げたインナーは、果たしてどのように誕生したのか、開発秘話を担当者に聞きました。 スゴ衣 肌あたりやさしい
極上のなめらかさを追求し
袖下もフラット仕上げに
――最初に「スゴ衣 肌あたりやさしい」の商品の特徴について教えてください。

石田 ひとつ目は、素材感です。希少価値の高く、高級素材の「天綿」をおよそ90%も使っているのが大きな特徴ですね。これを100%にすると伸縮性が出せないので、伸び縮みできるギリギリのラインを狙った綿混率です。身につけたとき、しなやかさと柔らかさのある上質な素材感が感じられると思います。 石田 そして、これだけ綿混率が高い素材だと「フラット仕上げ」にするのは、技術的にとても難易度が高いと言われていますが、今回、それを実現しました。縫製をせずアイロンプレスをして生地同士をくっつけると、縫い目が肌に当たることもなく、フラットな仕上がりで、肌あたりが柔らかく、とてもここちいいのです。 掛川 ネック部分も一般には切りっぱなしにすることが多いのですが、折り返して接着し、フラットに仕上げています。ネックラインを切りっぱなしにすると何度も使用するうちに伸びてしまうケースがありますが、折り返して接着するフリーカットにすると、洗濯後もよれにくいなどのメリットがあります。

石田 そして、今回の商品で初めての試みだったのは袖下部分。肌着で袖下をフラット仕上げにしたのは初めてで、これは技術的にも大きく前進したと言えます。立体的なフィッティングにこだわり、設計できるのはワコールならではだと思っています。「スゴ衣 肌あたりやさしい」は、最新の技術で極限までフラットに仕上げたインナーだと言えます。
試行錯誤して完成した難易度の高いボトム
高度な職人技が満載!
石田 また、同じ筒型で袖よりも、さらに設計が複雑になるのがボトムです。マチの箇所ですが、股下に別の布をつけているのがわかりますか?(写真)  この別布は、はきごこちを左右するとても大事な部分で、違和感なくボトムをはくためにはとても重要です。ただし、この部分は何重にも布が重なり、単なる直線と比べると接着の難易度もぐんと上がってしまうのです。 掛川 写真を見て比べるとわかりますが、初期の頃は、股下の布の面積を大きく取らないと伸縮したときの負荷を逃がす場所がなくなってしまうので、この大きさでつくっていました。そこからは着ごこちのよさはキープしながら少しでも小さくならないかと試行錯誤し、改良を繰り返して今の形にゆき着きました。

また、股下の布部分自体にも、難しい設計と高い縫製技術が駆使されています。ぐるりと囲んだカーブの部分は、後ろの縫い代が立ってしまうのが一般的ですが、これはフラットに仕上がっています。後ろが一切見えない状態で縫っていくという非常に難易度の高い専門技術が必要なのですが、それを実現しているのがこの商品です。技術チームと工場の連携と検討の結果、このようなきれいな縫製で、フラット仕上げが完成しました。縫製は着装感に大きな影響を与えるので、実現するまでに超える壁は大きく苦労しましたが、すごくこだわった点です。

――縫製ではきごこちも変わるからこそ、こだわったのですね。

石田 私たちニットチームの仕事道具として欠かせない、布の厚みを測る計測器があるのですが、今回初めて「縫い代の厚み」も測りました。私もだいぶ長くニットの部署にいますが、縫い代を測ったのは初めての体験(笑)。最初の試作品では、2.3mmだったのが、最終は1.2mmと約半分の薄さになりました。 掛川 試していただいたモニターさんからも「すごくなめらか」「気持ちがいい」「薄くて軽やか」の声が多かったですね。はきごこちと薄さにこだわったので、ホッとしました。
アンケートによるとインナーのお悩み上位は「かゆい」「痛い」
肌あたりにとことん向き合った商品。
石田 私たちが今回、袖や太もも部分、股下の布のパーツなど高い技術を求められる部位を極力フラット仕上げにして、縫製にもこだわったのには理由があります。これは開発のきっかけにもつながる話なのですが、お客様に行った下着に関するアンケートを見ると、ニットインナーに関する悩みとして、縫い目が当たって「痛い」「かゆい」などの声がもっとも多かったのです。 石田 特に、袖部分や太もも部分は「やわ肌」といわれる、お肉がやわらかいところ。冬場はぴったりとしたセーターを着る機会も多く、インナーの縫い目が跡になってしまったり、股下の何重にも縫い代が重なる部分はかゆくなるという声が多く、中には、縫い目が当たってかゆくなるのが嫌で、インナーを裏返してはく人もいるほど。どうにかこれらのストレスを軽減し、なるべく肌への刺激の少ないインナーがつくれないか、と開発が始まったのです。

掛川 はきごこちに関してはモニターさんに確認していただいたのはもちろん、社内でも多数の方に協力してもらいました。

――これだけ薄いのに、しっかりと暖かいのもポイントですね。

石田 これもアンケートからわかったことなのですが、最近のインナーの傾向として、薄さを重視して探している人が増えています。薄くて、なおかつ暖かいというのが大事なことだとわかったので、両方を叶えています。 掛川 また、カラーバリエーションは暖かみのあるピンクに加え肌映えのいい濃いブルー、王道のブラックに、透けにくいベーシックカラーを2色そろえているのも特徴です。

丈に関しても、トップスはラウンド、2分袖、5分袖、8分袖、ボトムは短い1分丈、3分丈、ひざ下丈、足首丈と、ともに4種類ずつ用意しているので、ファッションや用途によって使い分けてもらえたらと思います。ぜひ、一度このなめらかさに触れていただきたいですね。きっと手放せなくなると思います。
石田里代子

石田里代子(いしだ・りよこ) 卸売事業本部 WBインナーウェア商品統括部 商品企画部 商品企画一課
ワコール入社後、ウイングブランド事業本部で主にボトム・ニットの企画開発を担当。2015年7月より現職へ異動。ニット・ショーツのチーフデザイナーをつとめる。

取材・文/大庭典子
撮影/吉村規子

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