インサイドストーリー

商品づくりの現場から

2019年8月 7日

語り/杉野菜穂子(人間科学研究所)
牧野美三子(パタンナー)

BODY

パジャマの設計に新発想!「寝返りを考えたパジャマ」でここちよい睡眠を追求

睡眠時のからだの特性研究をもとに開発したナイトウェアの「睡眠科学」から、新しいパジャマ、その名も「寝返りを考えたパジャマ」が新登場。睡眠時には欠かせない寝返りを、よりスムーズに、自由に、快適に行うための大胆な設計について、開発担当者に聞きました。 寝返りを考えたパジャマ
寝返りは、こんなに多種多様
注目したのは、バンザイをする動作。
――「寝返りを考えたパジャマ」は、商品名からわかるとおり、「寝返り」について徹底的に考えたということですね。

杉野 はい。寝返りをより自然に、自由に、衣服によって制限されることなくできるように設計したのが、この「寝返りを考えたパジャマ」です。私たちは寝返りをしているときの動作だけでなく、寝るときの姿から寝返るので、寝るときの手の置き方に着目しました。 杉野菜穂子(人間科学研究所)牧野美三子(パタンナー) 杉野 まず寝返り自体についてですが、人が寝返りをするのは、同じ姿勢で血流が滞らないよう、熱がこもらないように動くことで、血液の流れをスムーズにしていると言われています。人間が生きるための本能的な活動である寝返りは、ここちよい睡眠をとるためにも、とても大事なものだといわれています。

寝返りについて知るため、私たちはまず寝返りの動きを調べるところから始めました。モニターさんに協力してもらい、実際に多くの寝返りデータを集めていくと、私たちが考えている以上に寝返りにはさまざまな動作があり、人それぞれ全然違うことがわかりました。腕を大きく動かして寝返って横向きになる人、うつ伏せになる人、動きはさまざまですが、手の置き方もさまざまで、手は上がっている姿が多かったです。また、寝返る前(寝た状態)の手の置き方が、バンザイのように両手を上げる人、上布団を抱きかかえる人、うつ伏せで手を上げている人など、本当にいろいろな方がいらっしゃいます。特に、パジャマによって、動きが制限されているのが「手を上げた状態」。私たちはこの動作に注目しました。

牧野 普段私たちが使っているパジャマは、手を上げるときに裾も一緒に上がってしまいます。また裾部分はお尻で踏んでいるので、手を上げると突っ張り感があることに気づきました。その突っ張り感をなくすためにはどうしたらよいか。考えた結果、今までにない形ですが、「最初からバンザイした状態のパジャマ」をつくることにしました。
味わったことのないここちよさ。
腕の上がったパジャマはなぜ快適?!
寝返りがしやすく、動きに制限がかからない設計 ――置いてみると、手が上がっていることが一目瞭然ですね。

杉野 手を上に上げた状態がいちばん大きな寝返り動作ですので、その動作に合わせて設計すれば、手を上げる動きはもちろん、他の動作をするにも「ゆとり」が生まれて、手の動きと一緒に裾が上がってしまったり、裾が引っ張られたり突っ張ることなく、寝返りがしやすく、動きに制限がかからない設計になっています。

牧野 ただ、手を上げた状態のパジャマをつくることはすぐに決まったものの、どのようなデザインにするかは試行錯誤しまして、試作品は4パターンをつくりました。4つとも「腕がバンザイの状態」は共通していますが、ハギのない設計や切り替えの場所が違うものなどアイディアはさまざまです(下の写真)。最終的には、そのなかでもっとも商品化に適していて、なおかつ狙ったとおりの機能が発揮できるマチ付きのものに決定しました。 試作品は4パターンを作りました。 杉野 また、寝返りの観察を進めていくうちに仰向けに寝ているときは、立っているときよりも「肩の位置が上がってること」もわかりました。通常のパジャマは手を下げている状態が多いアウターと同じ設計ですから、動くと無意識に肩まわりに窮屈さを感じる人もいたと思います。そのことも設計に反映し、通常の設計よりも肩ラインは約2㎝上げて、ゆとりを出しているのもこのパジャマの特徴です。

――手の上げ下げ、肩まわり、寝ている間にどんな動きをしても突っ張り感を感じない設計なのですね。モニターさんの反応はどうでしたか?

杉野 寝転んでもらう前にお布団の上で座って待ってもらっていたのですが、その三角座り状態のお客様から「からだがすごくラク。座って膝をかかえていてもまったく突っ張らないです」というお言葉をいただきました。パジャマの説明をする前の段階で、そんな声をもらえてとてもうれしかったです。パジャマは寝る前のひと時にも着ています。お風呂上がりにストレッチをしたり、本を読んだりと、横になる前の動作をするときにも、快適さを感じていただけたことがわかり、手応えを感じました。

牧野 そして、実際に寝ていただいた感想としては、「突っ張り感が全くない」という声がもっとも多く挙がりました。といっても、これまで腕の下がった形のパジャマしか着ていなかったわけですから、パジャマの着用感はこういうものと無意識に当たり前となっているので、みなさんいつものパジャマに不満があるわけではないのです。この新しい設計のパジャマを着てみて、比べて初めて寝返るときの快適さに気がついたという感じでした。つくってよかったです。 若干のストレッチを効かせた布帛を使用して、着ごこちにもこだわっています。 アクセントにトリミングを施して、高級感を演出しています。 牧野 生地についても、若干のストレッチを効かせた布帛を使用して、着ごこちにもこだわっています。また、デザイン面でもアクセントにトリミングを施して、高級感を演出しています。色は、女性はピンク、ベージュ、グレーの3色、男性はベージュ、グレーの2色で展開しています。

――多くの人がこのパジャマを着る機会があるといいですね。

牧野 ワコールがプロデュースする一棟貸切の宿「京の温どころ」にある9月限定の「ここちよい眠り特別プラン」では、宿泊中にこのパジャマを体験し、パジャマをお持ち帰りいただくことができます。ぜひお試しください。
杉野菜穂子

杉野菜穂子(すぎの・なおこ) ワコール人間科学研究所。入社以来、ワコールブランド事業部で、「美ショーツ」をはじめ機能ショーツ、肌着等のパターン設計・企画開発・プランニングを経て、2010年7月より人間科学研究所にて研究開発を担当。「SUHADA 肌リフト」を開発。

牧野美三子

牧野美三子(まきの・みさこ) 卸売事業本部 パーソナルウェア営業部 商品企画課。
1993年入社。パーソナルウェアでデザイナー、パタンナー担当。
2013年から睡眠科学パタンナー担当。

取材・文/大庭典子
撮影/吉村規子

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