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教えて、ドクター!

2019年3月20日

先生/吉野一枝(「よしの女性診療所」院長)

BODY

【特集/変化するホルモンとともに】

更年期や婦人病...女性特有の疾患は予防がすべて

----前回、婦人科のホームドクターをもつことの必要性を教えてもらいましたが、その理由には、女性特有の疾患にいかに「予防」が大事かも関わっています。予防の重要性を詳しくお伺いし、これから私たちができることについて教えてもらいます。引き続き、「よしの女性診療所」の吉野一枝先生にお話を聞きました。 更年期の症状や婦人病...女性特有の疾患は予防がすべて
更年期に「なる前」に対策をとることの大切さ
病院には、無理なダイエットで生理がこなくなったと診察を受けに来る方、妊活がうまくいかず調べたら子宮筋腫や内膜症が見つかった方、更年期になってからからだの不調を感じて受診する方など、さまざまな方がいらっしゃいます。多くの方に共通しているのは、「大変なことが起きてから病院に来る」こと。

これは声を大にして言いたいのですが、女性特有の疾患は予防が大事、予防がすべてと言っても過言ではありません。予防を怠ったために最終手段として手術をするしか選択肢がなくなったり、更年期になってから慌てて来ても、すでに骨粗鬆症になっていたら、できることは限られています。コトが起こる前にどれだけ対策を打てるかが大事なのです。

更年期の症状についても、事前に対策を打つことは可能です。たとえば最近進んできたホルモン補充療法もそのひとつでしょう。海外の普及率に比べると日本は低いですが、ひと昔前に比べると、内服薬だけでなく、貼る薬や塗る薬など外用薬も多く出ています。外用薬は、内服に比べて胃腸を通過しないので、気持ちが悪くなるなど副作用も少ないと使用する人も少しずつ増えています。これらの薬は、ほてりやのぼせの症状には1〜2週間で効きますし、疲れや眠りの浅さに対しても徐々に改善されていきます。

更年期症状の改善ばかりでなく、骨粗鬆症や動脈硬化を予防できるなどの効果も期待できます。更年期に入る前であれば低用量ピルがおすすめです。避妊もかねて更年期症状の予防や治療になります。自分のからだに何が起きているのか、この先何が起きるのか。自分の状態を知り、事前に対策を打つためにも婦人科のホームドクターをもつことは重要だと思います。

今の値から考えて、どの時期に、どういったことが起きるのかを教えてもらえれば、その予防策を選択することができるのです。常に新しい治療法や新たな見解が生まれる日進月歩の医学の世界で、定期的に最新の情報にアクセスできるのもホームドクターをもつ利点でしょう。
「自分ファースト」な生き方が、健康と幸せの秘訣
思春期や更年期に頼りになる婦人科のホームドクターが日本になかなか根付かないのは、私たち医師側にも責任があると私は思っています。というのも、これまでの産婦人科学は、妊娠・分娩に関連した<周産期医学>、不妊症やホルモンに関連した領域を中心とした<生殖内分泌学>、婦人科がんなどの腫瘍を扱う<婦人科腫瘍学>の3つの柱が主な研究対象でした。

最近になってやっと4つめの柱として<女性医学>が加わったのです。女性医学とは、「QOLの維持・向上のために、女性特有の心身にまつわる疾患を主に予防医学の観点から扱うことを目的とした」医学。思春期や更年期など、大きなホルモン変動のなかで、女性の健康状態が変わることを念頭に置いた予防医学が、新たな研究対象となっています。

私たち婦人科ドクターにとっても、人生100年時代と言われるこれからの女性の健康をどのようにサポートしていくかは大きな課題です。同時に、女性側にももっと予防の大切さを知ってもらいたいと思っています。「まだ何の症状もないのに検診に行くなんて、お金も時間ももったいない」と検診を怠ったり、夫や子どものことは優先するのに、自分のことは後回しにする...など、謙虚な女性として美学のように語られてしまいがちな現象が日本にはありますが、私は、こういった女性たちには「自己評価の低さ」が裏に潜んでいることが多いと思っています。

「私が病気になったら、家族みんな困るでしょう」と、堂々と検診に行き、そのための時間とお金を確保することを当然だと考える。特に更年期を過ぎたら『自分ファースト』が大事。自分を大切にして、自身の健康管理を最優先にすること。そういう方が結果としてまわりにも元気を与え、笑顔で暮らしています。自分を大切に扱うことが、病気の予防にもつながることを忘れないでください。

----自分を大切に扱うことが、検診にお金や時間を使うことにつながり、それが自分だけでなく、家族やまわりの人の幸せにも結びつく。これからの人生100年時代を生きる私たちにとって、とても大切な考え方ですね。
吉野一枝

吉野一枝 「よしの女性診療所」院長、産婦人科医・臨床心理士
高校卒業後、CM制作の会社勤務を経て、29歳の時、医学部受験を志す。32歳で帝京大学医学部へ合格。卒業後は東京大学医学部産科婦人科学教室に入局。 母子愛育会愛育病院、長野赤十字病院等に勤務後、2003年によしの女性診療所を東京都中野区に開院。『40歳からの女性のからだと気持ちの不安をなくす本 』(永岡書店)『母と娘のホルモンLesson』(メディカルトリビューン)など著書多数。

取材・文/大庭典子
イラスト/はまだなぎさ

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