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教えて、ドクター!

2019年2月13日

先生/高倉伸幸(大阪大学微生物病研究所 教授)

BODY

【特集/驚くべき血管の役割!】

血管が消える? ゴースト血管の恐ろしさ

----がん組織をかかえた細胞には、酸素だけでなく抗がん剤の成分も届かないのだとか。その原因と改善方法を研究していく中で、「正常な組織も血行不良の状態が続くと、血液が流れなくなり、やがて毛細血管が消えてしまうことがわかったのです」と話すのは、血管研究のエキスパートである大阪大学の高倉伸幸先生。なぜ毛細血管が消えてしまうのでしょうか。 ゴースト血管
ゴースト血管とは、血液が流れなくなり
毛細血管が消えてしまう状態のこと
今まではどちらかというと、がん細胞も正常な細胞同様、血液によって酸素が運ばれ、がん細胞が増殖すると考えられていました。ところが実際は、血液がほとんど流れていなかったのです。にもかかわらず、がん細胞が増殖するのは、低酸素でもエネルギーをつくり出せる異質な細胞だからなのですが、正常な細胞は血液が流れていなければ酸素や栄養を取り込めないため、死んでしまいます。

血液が流れなくなる血管は、直径5〜10マイクロメートル(髪の毛の10〜20分の1ほど)の、肉眼で見ることのできない細い毛細血管です。毛細血管は細胞間にわずかな隙間があり、毛細血管の内側の壁と毛細血管内を流れる赤血球が擦れ合うことで、この隙間から血液が押し出され、周囲の細胞に酸素や栄養を届けているのです。ところが、甘いもののとりすぎや運動不足といった、生活習慣の乱れや加齢によって血管の細胞がダメージを受け、細胞の隙間から酸素や栄養を押し出すことができなくなる。そうなると細胞はどんどん衰え、最終的に毛細血管がなくなってしまうわけです。このように血液が流れなくなり、毛細血管が消えてしまう状態を「ゴースト血管」と名付けました。
血管の中でいちばんもろいことも
ゴースト化する一因
動脈、静脈、毛細血管、すべての血管の外側には血管を覆うように壁細胞があります。動脈などの太い血管は二重、三重に覆われているのに対し、毛細血管は壁細胞の数がもともと少ないうえ、加齢や偏った食生活(糖分や脂肪分の過剰摂取など)、紫外線などによるダメージを受けやすいのも特徴です。壁細胞がもろくなると、血管の内側にある内皮細胞との接着面だけでなく、内皮細胞同士の接着も弱くなるため、酸素や栄養がもれてしまう。この状態が続くと、毛細血管は細く短くなり、末端まで血液が流れなくなる。その結果周囲の細胞がダメージを受け、血管がゴースト化してしまうのです。

毛細血管の状態は特殊なマイクロスコープを使って計測しなければわかりませんが、救急医療の現場で血流をチェックする爪床(そうしょう)圧迫テストで、血液が末端まで流れやすいかどうか調べることはできます。やり方は簡単。親指の爪先を反対の親指の爪先で5秒間圧をかけたら、離してみてください。すぐに爪に赤みが戻らない人はゴースト化している可能性が高いので、早めに生活習慣を改善しましょう。むくみや冷えが強い、疲れやすい、しわやたるみ、抜け毛が目立つといった症状は、血流が関係しています。「老化現象」とひと括りにしがちですが、毛細血管の機能低下による症状だということをもっと意識してほしいですね。

----「ゴースト血管が骨粗鬆症や認知症のリスクを高めることがわかってきたことで、毛細血管をケアすることの重要性が、研究者の間でもようやく認知されてきました」。ゴースト化を食い止めるためには、早めの対策が必要ということで、次回は血流の上げ方、緩んだ内皮細胞同士の接着、壁細胞と内皮細胞の接着を改善する方法をご紹介します。
高倉伸幸

高倉伸幸 大阪大学微生物病研究所 情報伝達分野 教授。医学博士。血管形成の分子メカニズムから得た成果を、がん治療や再生医療に役立てる研究に力を注いでいる。2月15日に発売される『ゴースト血管をつくらない33のメソッド』(毎日新聞出版)ほか著書多数。

取材・文/山崎潤子
イラスト/はまだなぎさ

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  1. 毛細血管

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