からだの真実、世の中のホント。専門家がズバリ解明

教えて、ドクター!

2018年6月13日

先生/伊藤絵美(臨床心理士)

BODY

【特集/ストレスと女性のからだ】

話題のストレスコーピングとは

----前回、「ストレスに気づくことが大事」という話をしましたが、認知(頭の中に浮かぶ考え、イメージ)や行動に焦点をあてた、認知療法・認知行動療法においても同様。「ストレスに気づくことができなければ、ケアすることができない」と話す臨床心理士の伊藤絵美先生に、カウンセリングでも行っている対処法、「ストレスコーピング」について伺いました。
イライラしたら感情を押さえ込まず、
自分をケアするきっかけに
「対処できる」と思ったストレスに対しては、ストレス反応はそれほど出ません。「どうすればいいのか、わからない」状態になってしまうと、当然ストレス反応は強く出るのです。繊細な人はストレスを感じやすく、おおらかな人は感じにくいという、持って生まれた性格も影響しますが、成長過程でストレスへの対処力を身につけてきた人は、本来ストレスを感じやすい性格であっても、感じにくくなります。

対応力は性格に関係なく、誰でも身につけることができますが、その前にすべきことは、抱えているストレスに気づきを向けること。特に注視すべきなのは、事故にあった、財布や携帯電話を失くした......などのわかりやすいストレスではなく、同僚と会話が弾まない、部屋が散らかっているといった、日々ちくちく刺してくるストレスです。小さなストレスに気づくことのほうが、実は大事なのです。いちばん危険なのは、ストレスを感じないように麻痺させている人。実は結構多いので、ストレスを飲み込まずに、書き出してみましょう。

特に40〜50代は、子ども、両親、会社の後輩......と、周囲の人たちのケアを優先せざるを得ない世代ということもあり、自分のことは後回しにしがち。ストレスを抱えている自覚があっても、「これくらいでイライラしてちゃダメ」と、自分の感情を押さえ込んで頑張ってしまうんですね。イライラしているときこそ、自分をケアするきっかけにしてください。
対処法は「質より量」がキーワード
ストレスを自覚したら、コーピングを実践します。コーピングとは、ストレスに対する意図的な対処法、自分助けのこと。対処法を100個リストアップするだけなのですが、みなさん最初は「え?100個も?」と戸惑います。でも、たとえばチョコレートが好きなら、◯◯(メーカー名)のチョコレートを食べる、チョコレートの匂いを嗅ぐ、コンビニに行って新作をチェックする......というように、「チョコレート」を細分化していけばいいのです。すぐに実行できなければ意味がないので、ショボければショボいほどいい。さらに、「リゾートでのんびりしている自分を想像する」といった妄想も、効果があることは証明されているので、どんどん楽しい妄想をしてみましょう。

<コーピングのヒント・行動編>
誰かと昼食をとる
ウィンドウショッピングをする
丁寧にお茶を入れる
お風呂に入る
朝の新鮮な空気を吸う
歩いたことのない道を歩いてみる
部屋の掃除をする
洗濯をする
テレビを見る
マニキュアを塗る
ひとり言をひたすら言う
...など

<コーピングのヒント・認知編>
好きなものを思い浮かべる
自分を慰める
自分を励ます
頭の中を整理する
あまり考えないようにする
楽しい妄想をする
「そんなこともあるさ」と問題を受け入れる
...など
出典/ともに伊藤絵美著「自分でできるスキーマ療法ワークブック」(星和書店)より
対処法が少ないと、その数少ない対処法にしがみついてしまうため、多ければ多いほど効果的。あとは、リストアップした対処法を常に持ち歩き、このストレスにはこの対処法というように、マッチングさせます。効果を感じられなくても、100個あれば選び直すことができますよね。ただ、心もからだもしんどい状態のときは、リストアップする気力がなくなるので、元気なときに書いておくことがコツ。どうしても自分ひとりではリストアップできないときは、心療内科などを受診しましょう。「ストレスに気づく⇄コーピングをする」を繰り返すことでストレス耐性が上がり、うつ病を予防することもできるのです。

----一見うつとは程遠く見える、元気で明るい人が、加齢によってできないことが増えると、ショックを受けてうつになるケースもあるそう。「うつ病はだれもがなりうる病気です。コーピングは、うつ病と診断された人の再発予防にも、高い治療効果があることが認められています」(伊藤先生)。イライラする自分を責めずに、セルフケアを必要としているという意識をもつようにする。仕事に子育てに忙しい世代だからこそ、ストレスコントロールが重要なのですね。
伊藤絵美

伊藤絵美 博士(社会学)、臨床心理士、精神保健福祉士。「洗足ストレスコーピング・サポートオフィス」所長。専門は臨床心理学、認知行動療法、ストレスマネジメント、スキーマ療法。クライアントと話し合いをしながら具体的に問題を解決していく、認知行動療法の第一人者として、カウンセリングのほか講演などでも活躍。『イラスト版 子どものストレスマネジメント 自分で自分を上手に助ける45の練習』(合同出版)、『「キラーストレス」から心と体を守る! マインドフルネス&コーピング実践CDブック』(主婦と生活社)など、著書多数。

取材・文/山崎潤子
イラスト/はまだなぎさ

※この記事の内容について、株式会社ワコールは監修を行っておりません。
※この記事に含まれる情報の利用は、お客様の判断と責任において行なってください。

関連キーワード

  1. ストレス
  2. 伊藤絵美

あわせて読みたい

この記事を読む

この記事を読む

この記事を読む

この記事を読む

人気のキーワード

  1. 美バスト
  2. クーパー靭帯
  3. 骨盤底筋
  4. エイジング
  5. ヒップ
  6. 背中
  7. 肩甲骨
  8. 加齢臭
  9. 姿勢
  10. 体幹
  11. ウォーキング
  12. 温活
  13. 睡眠

関連サイト

ページの先頭へ