新訳からだ辞典「パンツ一丁」

2017年9月27日

文/相川藍(あいかわ・あい)
イラスト/白浜美千代

HEART

今月のコトバ「ボディタッチ」

今月のコトバ「ボディタッチ」
タッチ上手はトーク上手
「ボディタッチ」を辞書で引いたら、テニスの公式ルール用語しか出てこなかった。プレー中にボールがからだに当たると、当たった選手の失点になるというルールのことだ。一方、ネット検索すると、男女間のボディタッチの話題ばかり。テニスというキーワードを加えて検索しても「テニスコーチがレッスン中にボディタッチしてきて......」なんていう話が出てきてしまう。

今回のテーマは、もちろんテニスボールではなく、人間によるボディタッチ。さわられた人が不快になるか、ここち良く感じるかは、センスとマナーの問題でもある。はたして、人間対人間のボディタッチに公式ルールはあるのか?

美容師やエステティシャン、下着のフィッティングをしてくれるビューティアドバイザーなどは、お客さまのからだに触れるプロだからお手本になるだろう。美しさという結果を提供するサービスが、ここち良くないはずがない。このようなプロの仕事を見ていると、信頼のボディタッチに必要なのはコミュニケーションであることがわかる。中でも、礼儀正しさと軽妙なトークは不可欠だ。
ボディタッチに許可は必要か?
ある美容師さんは「髪にさわらせてもらいますね」と最初に必ず言う。美容師が髪にさわるのに許可は要らないのでは? とも思うが、悪い気はしないどころか信頼度が増す。こういう人は、こちらの要望をしっかり聞いてくれるし、バカ話をしても品がいい。安心して施術を受けられるのである。

ただし、プライベートな関係の場合は「手をつないでいい?」「キスしてもいい?」「ハグしちゃおうかな!」と、いちいち許可を得ようとするタイプは、鬱陶しく思われがちなので要注意。それでも、いきなりさわって拒絶されるよりは、まあ、いいか。いちばんまずいのは「何を考えているのかわからない」と思われることだろう。口数が少なく、愛想のないことを「むっつり」といい、無言でボディタッチしようとすれば「むっつり助平」と思われる危険性もある。

「むっつり助平」の反対語は「ど助平」であるらしい。最近この言葉を耳にしたのはお酒の席。手相を観てあげる、という古典的手段で女性の手にさわろうとしていた某中年男性が、皆に「ど助平(どすけべ)」とののしられ、可哀想だった。ちなみに「むっつり助平」も「ど助平」も大辞泉に出ている言葉であり、「ど助平」の例文は「ど助平なおやじ」だって。ど真ん中ですね。

私の知っているモテ男は、手にさわろうとなんてしない。彼の常套手段は、ソフトな膝カックンだ。子供のような無邪気さで、爽やかに距離をつめていく。あと、瞬間的に、肩を軽くもんでくるモテ男もいるな。嫌がられる場合もあると思うが、一瞬であることが、クレームに至らない好印象を残すポイントではないだろうか。
「手つなぎ」の深い意味
他人のからだにさわるのは、簡単なことではない。その第一歩は、挨拶としての握手であろう。しかし「握手」と「手つなぎ」の間には、計り知れない距離がある。異性間の接触では「どこからが浮気か?」がよく問題になるが、最近見かけた調査では「手をつないだら浮気」という回答が多かった。線引きは難しいが、指をからませて密着させる「恋人つなぎ」なら完全にアウトだろう。

ただ、男どうしの手つなぎは、あまり見慣れていないせいか、たまに目撃すると軽く混乱する。先日見かけたのは、会社の飲み会帰りのような、背広姿のおじさん二人。あの手つなぎは、どういう意味なのだろう。会社公認カップル? 単なるご機嫌な酔っ払い? 不意打ちで驚いたけれど、ものすごく楽しそうだったので、なんだか、久しぶりにいいものを見せてもらった気もしたのでした。

相川藍(あいかわ・あい) 言葉家(コトバカ)。ワイン、イタリア、ランジェリー、映画愛好家。
好きなネット用語は「パンくずリスト」。自分が今どこにいるのかを示す階層表示のことだが、ヘンゼルとグレーテルが森で迷子にならないよう通り道にパンくずを置いていったエピソードに由来すると知り、キュンとした。

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