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美の流儀

2017年6月 7日

語り/藤井桃子(WARAジュエリーデザイナー・
WARA細工伝道師)

HEART

【番外編/学びと美を考える】

自然の美をぬくもりあるアートに

「美」をコンセプトにした学びの場、ワコールスタディホール京都と連動した美の流儀【番外編】。今回は、伝統的な藁(わら)細工を、現代的なジュエリーやインテリアに取り入れ、伝道師として活躍する藤井桃子さんの登場です。 藤井桃子さん ――藁を使ったジュエリーに着目されたきっかけを教えてください。

大学在学中、私の地元・京都の花背(はなせ)のお年寄りから藁細工を習い始めたのがきっかけです。今はつくる人も減ってきて、このまま技術が廃れてしまうのはもったいない、と感じて。初めは基本的な鍋敷き、藁ぞうりなどをつくり、同時に「身につけたいな」とも感じるようになって、ジュエリーにすることを思いつきました。一時は就職活動も考えましたが、私にはこれしかないと思って、続けています。

まず手探りでネックレスをつくり始め、やがて藁と異素材との組み合わせに面白さを感じて、現代的で洗練させたものをいろいろ考えるようになりました。通っていた大学のキャリアアップセンターが私の活動を支援してくれて、ワークショップを開いたり、展示販売会に出店したり。やがてほかの作家さんとのコラボのお話をいただき、どんどん広がって...。2017年6月は、帽子デザイナーさんとのコラボ商品を販売したりもしたんですよ。 藤井さんがつくるジュエリーは、ブローチ、リング、ネックレス、バングルなど幅広い。独特のぬくもりと、年月の経過とともに緑から黄色っぽく、さらに飴色に変化するのが、藁ならではの魅力。 藤井さんがつくるジュエリーは、ブローチ、リング、ネックレス、バングルなど幅広い。独特のぬくもりと、年月の経過とともに緑から黄色っぽく、さらに飴色に変化するのが、藁ならではの魅力。 ――ワコールスタディホール京都でのピンブローチづくりの講座(2017年4月15日開催)も、大好評でした。

稲藁とシバクサ(ちまきのヒモなどになる)を使い、しずく型のピンブローチをつくりました。材料は10センチほどにカットして水で湿らせてから編んでいくのですが、最初はみなさん慣れないので、神経を使うようです。3分の2くらいまで編むと慣れてきて、「楽しい」「ハマる」という方が多いですね。水で湿らせるのは柔らかくするためなのですが、香りが広がって、めっちゃ癒されるんです。素材のぬくもりも感じられるし、何より編んでいるときは集中して、無になれる。こんな機会はなかなかありません。

面白いことに、難しいものではないのに編み方や力の入れ具合で個性が出ます。そして、藁細工というと、民芸品とか古いもののようなイメージがあるかもしれませんが、新たにジュエリーとして形になることで、スタイリッシュで現代的な魅力が感じられるようになるんです。 使用する素材は、植えつけ、刈り取り、乾燥や掃除の工程まですべて、藤井さん自ら手がける。天候によって出来も左右され、きれいな藁のためには多くの手間がかかっている。 使用する素材は、植えつけ・刈り取り・乾燥や掃除の工程まですべて、藤井さん自ら手がける。天候によって出来も左右され、きれいな藁のためには多くの手間がかかっている。 ――講座やワークショプで、藤井さんが伝えたいことは、なんでしょうか。

「編む」という行為は縄文時代から続いてきたことで、衣食住や信仰とも密接な関係にありました。さらに、縄文の人々は編むということの美意識を、もっていたといいます。私たちはそのDNAを受け継いでいます。なのに、この大切な考えや伝統工芸を継ぐ人が減ってゆき、その危機感もあります。こうしたことを伝えながら、古きよき日本の手仕事に目を向けてもらうきっかけを、つくることができたら。

藁細工に使う藁は、もともとはお米を取ったあとの不要な部分ですが、私にとっては貴重で、宝石のようなもの。ファションに興味のある人、手先を使うことが好きな人なら、きっと藁細工を面白いと思ってもらえるでしょう。

――最後に、藤井さんご自身が美しいと思うものはなんですか?

自然のものが、人の手と技術によって新しい形に生まれ変わる。そのプロセスや完成されたものに惹かれ、美しさを感じます。さらに私自身は、地域ごとに異なる藁細工の奥深さをもっと学びたい。それによって自分の表現の幅が広げ、後世に美しさを伝えていけたらいいと思っています。

シバクサを編んでから、クリスタルやパールなど組み合わせるパーツを好みで選び、ペンチで留めれば完成。2017年8月26日の講座では、写真やカード、ドライフラワーなどを飾って楽しむ、アートフレームを制作する。 シバクサを編んでから、クリスタルやパールなど組み合わせるパーツを好みで選び、ペンチで留めれば完成。2017年8月26日の講座では、写真やカード、ドライフラワーなどを飾って楽しむ、アートフレームを制作する予定。

藤井桃子 WARAジュエリーデザイナー・WARA細工伝道師
京都市左京区花背出身。京都市立芸術大学美術学部美術科版画専攻卒業。生まれ育った京都の山里"花背"を拠点に、昔ながらの「藁細工」の技術を地元花背のお年寄りの方々から伝授され、その技術をもとにコンテンポラリージュエリーを主に制作。日用品を伝承していくための藁細工チーム「藁らか(わららか)」を発足し、指導にも力を入れている。

ワコールスタディホール京都 藤井さんが講師をつとめるスクール講座情報
コンテンポラリージュエリー作家に学ぶ、藁細工 ~刈りたての芝草でつくる アートフレーム~

前回の講座の模様はこちらで >

取材・文/南 ゆかり
撮影/ワコールボディブック編集部

※この記事の内容について、株式会社ワコールは監修を行っておりません。
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