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教えて、ドクター!

2017年6月28日

先生/小川佳宏(九州大学大学院病態制御内科 教授)

BODY

【特集/“痩せ”と“脂肪”の関係】

間違いダイエットは危険がいっぱい

----腸間膜に溜まるのが内臓脂肪、皮下に溜まるのが皮下脂肪。肝臓や筋肉といった本来脂肪が溜まらないはずの部位に溜まるのが第三の脂肪、異所性脂肪です(厳密には、脂肪細胞以外の細胞の中に溜まった脂肪のこと)。なぜ、溜まらないはずの部位につき、溜まるとからだにどんな悪影響を及ぼすのか、引き続き小川先生に教えていただきました。
日本人は脂肪を
溜めるのが苦手な人種
皮下脂肪に溜めることができなくなった余剰の脂肪は内臓脂肪へと流れ込み、内臓脂肪もいっぱいになると、肝臓、心臓、膵臓、骨格筋などに溜まります。各臓器には実質細胞という固有の細胞があり、脂肪は脂肪組織の実質細胞である脂肪細胞の中に溜まるのですが、脂肪を溜める働きのない細胞に溜まってしまうのが異所性脂肪。溜まらないはずのところに溜まるわけですから、からだにいいわけがありません。肝臓は脂肪肝、心臓は狭心症や心筋梗塞、骨格筋ではインスリンの感受性を低下させることがわかっています。

脂肪肝を放置していると、多量のアルコールを飲んでいないのに肝臓が線維化を起こすNASH(非アルコール性脂肪肝炎)になる可能性が出てくるだけでなく、最悪の場合は肝がんになることも...。日本人は欧米人に比べると肥満の程度が軽く、脂肪を皮下脂肪に溜めるのが苦手な人種。それは、欧米人は高脂肪食、日本人は和食といった食文化の違いによるのかもしれません。脂肪を溜めるのが苦手ということは、異所性脂肪が溜まりやすいということ。とはいえ、異所性脂肪も食事療法と運動療法で一定のところまでは改善できるので、食物繊維が豊富な野菜を多くとり、高炭水化物食・高脂肪食を控えるよう心がけましょう。
極端なダイエットでリバウンドを
繰り返すと、心不全になることも
女性は内臓脂肪より皮下脂肪が溜まりやすいことから、異所性脂肪も溜まりにくい傾向にはあります。ただし、閉経後は内臓脂肪がつきやすくなるので注意が必要。20〜40代の女性に気をつけて欲しいのは、サルコペニア肥満です。極端なダイエットは脂肪だけでなく、筋肉量も減らしてしまいます。筋肉量が減った状態で元の体重に戻ってしまうとエネルギーは消費されにくくなり、脂肪が増える。そしてまたダイエットをする。これを繰り返すと筋肉の動きが悪くなり、活動量は低下。筋肉量の低下と肥満が同時に進行するサルコペニア肥満は、心不全や腎不全などに結びつくこともあるのです。

また最近の10〜20代の女性には、痩せすぎの人が多く見受けられます。脂肪細胞から分泌されるレプチンというホルモンには、脳の視床下部にある満腹中枢に働きかけて食欲を抑制するだけでなく、性サイクルを回し、妊娠できる栄養状態であるというサインを送る働きもあるため、痩せすぎると生理不順になったり、生理が止まってしまうのです。

人間が活動するために必要なのは栄養です。加齢によって筋肉量が低下している60〜70歳のおじいちゃん、おばあちゃんに無理なダイエットをさせてしまうと、ヨレヨレになってしまうかもしれないし、肺炎などの感染症にかかったときの抵抗力も低下します。太っている人のほうが、痩せている人より感染症には強いですから。太りすぎはよくないけれど、必要以上に痩せるのも絶対NGです。高齢者に限らず、それぞれのライフステージで、つくべきところに脂肪がついていないと、からだは正常に機能しないということを忘れないでください。

----ダイエット中は数値の変動に一喜一憂してしまいますが、体重には脂肪だけでなく、筋肉も含まれていることをつい忘れがち。筋肉は脂肪よりも重いため、減った!と喜んでも、脂肪は減っていない可能性もあるわけです。脂肪にはからだに必要な働きもあるので、落としすぎるのもNG。となると、体重や体脂肪率をどれくらい減らすのがベストなのか、知りたいところですが...。「現状の体重や健康状態などによって、目標値は異なります。強いていえば、BMIという体重kg÷(身長m×身長m)で計算できる体格指数でしょうか」と小川先生。数値はあくまでも目安ということを忘れず、無理をしないことが大事なのですね。
小川佳宏

小川佳宏 九州大学大学院医学研究院病態制御内科 教授。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科分子細胞代謝学分野 教授。日本肥満学会理事。2010年度日本糖尿病・肥満動物学会研究賞受賞。おもな著書に「日本人なら知っておきたい『異所性脂肪』の恐怖」(ワニブックス)がある。

取材・文/山崎潤子(ライター)
イラスト/はまだなぎさ

※この記事の内容について、株式会社ワコールは監修を行っておりません。
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からだ用語辞典

  1. 皮下脂肪
  2. インスリン
  3. サルコペニア肥満
  4. 視床下部

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  1. 小川佳宏
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