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美の流儀

2016年10月26日

語り/湯浅靖代(食空間コーディネーター)

HEART

【番外編/学びと美を考える】

季節感を取り入れて、暮らしと心に彩りを

「美」をコンセプトにした学びの場、ワコールスタディホール京都と連動した美の流儀【番外編】。今回は、和食器をはじめ日本の伝統を心の豊かさ・美しさにつなげている、テーブルコーディネーターの湯浅靖代さんにお聞きしました。 湯浅靖代さん ――湯浅さんが担当される講座「京の名品〜和食器・漆器とテーブルコーディネイト〜」では、どのようなことが学べるのでしょうか。

今回の講座では、創業約180年の漆専門店「井助商店」の沖野俊之さん、京焼窯元「普六窯」の京谷美香さんのおふたりを講師にお迎えします。井助商店のモダンな漆器、京焼・清水焼の陶器について、それぞれから背景や商品をご紹介いただいたあと、私が実際の漆器・陶器を使ってテーブルコーディネイトをする予定です。といっても、難しいもの・かしこまったものではなく、みなさんの生活に気軽に取り入れられるものにしたいと考えています。

――漆器・陶器をはじめとした和食器を、現代生活に取り入れるときのポイントがあれば、ぜひ教えてください。

私がおすすめしているのは、器に「季節感を取り入れること」です。服は季節ごとに替えるけれど、食器となると一年とおして同じものを使いますよね。それを、春なら白いもの、夏ならガラスや涼しい青色の陶器、秋や冬ならぽってりと厚みのあるものや色の濃いもの...。私が愛用している京焼きのそば猪口(下の写真)は、同じ色柄で4客そろえるのではなく、四季を想定して異なる4つの色柄を選びました。 手前から春・夏・秋・冬を想定してそろえたそば猪口 手前から春・夏・秋・冬を想定してそろえたそば猪口。ほかにも湯浅さん愛用の器は、おきにのうつわで随時紹介している。 ただ、器の数をそろえるのが難しいとか、収納場所に困る、という方も多いことでしょう。そんな場合は、箸置きを替えるだけでも季節感は出せます。箸置きなら手頃なものも多いですし、ガラスから陶器まで素材も豊富です。草花や野菜など季節にあった絵柄もたくさんあります。

また、テーブルコーディネイトをするときは、私は和洋をミックスしたり、異素材を組み合わせたりして、堅苦しくならないようにしています。和食器と西洋のカトラリーを組み合わせることも、意外としっくりなじむものです。

――ただ、器を選ぶのには知識やセンスが求められそうです。どんな視点で選んだらよいのでしょうか。

第一に、器を見て・手に取って・使うシーンが思い浮かぶもの。たとえば、そば猪口ひとつでも、おひたしにも、お漬け物にも、デザートにも、そして花入れにも...と、複数の使い道ができるものが理想です。陶器市を巡りながら、こんなふうにメニューを連想するのは楽しい時間ですが、同時に「器に呼ばれる」ということもあるものです。それが旅先や陶器市だったら、出会って呼ばれたら迷わずに買う。私はそう決めています。

第二に、すでにもっているほかの器とテイストが合うもの。土もの(陶器)が多いか、磁器が多いか、もっているほうにそろえていけば、並んだときの色柄や大きさがまちまちでも、チグハグな感じにはなりません。また、収納場所を取らないことも重要なポイントですので、「重ねて収納できるか」も店頭で試してみてください。

そして、購入して気に入ったものは優しく扱って、傷やヒビが入ったら金継ぎで修理して、長く使っていただきたいものです。色の変化や修理跡もいい味となって、どんどん愛着がわくものです。そして、長く愛用したものを後の代にも伝えていくことが、私の今の思いです。私自身も、母が使っていた大きめのお鉢を譲り受け、今も大事に使っています。 湯浅靖代さん ――受け継ぐことは、美しい日本の文化でもありますね。

後の代にものを受け継いでいくことは、風習やしきたりを伝えていくことでもあると思います。そこで、私がもうひとつ大事にしたいのが、古くから伝わる「節句」です。桃の節句や端午の節句、七夕や重陽(ちょうよう)の節句といった季節の節目に、小さな飾りを玄関に置いたり、料理やテーブルの上に取り入れたり。大きなひな飾りや七夕飾りでなくていいんです。たとえば七夕なら、小さな笹飾りが玄関先にちょこんとあるだけで、夏を感じられて気持ちが豊かなるものです。

和の行事だけでなくて、ハロウィンやクリスマスも同様です。小さなオーナメントを飾ったり、和食器とオーナメントをミックスしたり、テーブルコーディネイトをしたりして、楽しんでいます。 クリスマスのテーブルコーディネイト クリスマスのテーブルコーディネイト 最近は、日本各地を巡りながら、それぞれの場所の工芸品を訪ねています。そして行った先々で、小さいものでいいから、何かひとつ工芸品を買って帰る。今はそれが楽しみです。

――では最後に、最近「美しいと思ったもの」を教えてください。

お寺で見る、きれいに手入れされたお庭は心が洗われる美しさがあります。それから、夏に姪と一緒に体験した手づくりの万華鏡の美しさは、見ていて飽きません。京都にはこのように、美しさを感じられる場所がたくさんあるので、ぜひ体験してみてください。

湯浅靖代 食空間コーディネーター
京都の式場やホテルでウェディングプランナーをしながら、食空間プロデューサー・丸山洋子に師事。その後、食空間コーディネーターとして独立する。和のエッセンスが効いたテーブルコーディネイトを提案するなど、伝統工芸品のPRにも携わっている。

ワコールスタディホール京都

取材・文/南 ゆかり
撮影/平賀 元

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