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教えて、ドクター!

2016年5月25日

先生/山田雅子(埼玉女子短期大学
国際コミュニケーション学科教授)

BEAUTY

【特集/色のチカラできれいに】

肌の『透明感』の正体とは?!

肌の
黄み寄りの肌、赤み寄りの肌。
肌の色は何で決まる?
----前回は、肌の色によって印象が違うこと、今の色白ブームについて、教えていただきました。今回は、肌の美しさについて、特に"透明感"に焦点をあてて、山田雅子先生にお話しいただきます。

盲点だらけ! 自分の「本当の肌色」とは? で、「自分の顔の肌の色について、実際よりも黄み寄りだと予測する人が多い」とお伝えしました。黄色人種である日本人の肌は、相対的に黄みがかっていると言えますが、肌の色の分布には、ある特徴があります。それは、「赤みの色黒から黄みの色白の方向に偏っている」ということ。逆に言えば、"黄みの色黒"や"赤みの色白"といった肌の方は比較的少ないということになります。

肌の色の成り立ちを知れば、この偏りについてもきっと納得されるでしょう。
そもそも、肌の色は半透明の層の重なりによって、とても複雑にできています。難しいことは、ここでは避けるとしまして(笑)、大雑把に捉えると、黄みは「色素の色」、赤みは「血の色」として理解することができます。

色黒の方の場合は、日焼けなどによってメラニン色素が多くなるために肌がより暗く見えるわけですが、日焼けには炎症も伴います。ですから、血の色である赤みも同時に加わります。一方の色白肌は、日射しの影響がほとんどなく、炎症の少ない状態。そうなると、血の色の赤は影を潜め、メラニン色素やカロテンの影響によって相対的に黄みに見えることになります。

日本人女性の10年間の肌の違いを分析したある報告では、「より明るく、より黄みに」という肌色の変化の方向性が示されました。この変化には、紫外線に対する意識が高まり、より効果の高い日焼け止めが開発されたことが影響しているとも考えられています。つまり、日焼け対策が徹底されれば、メラニン色素の生成が抑えられて、肌は「より明るく」なり、日焼けによる炎症も同時に回避されます。結果、赤みが抑えられて、「より黄みに」なるというわけです。

対して、同じ色白でも、白色人種の色白さんの場合は、"ピンクがかった"肌のほうが目立ちますよね。日本人よりも色素が少ない分、血の色の"赤み"が強く肌に出ているのです。
肌の透明感には、
血色を表す"赤み"がカギ!?
肌には、その美しさや質感を表す言葉が数多くあります。なかでも、色の白さやキメの細かさを想像させる代表的な言葉が"透明感"。化粧品のCMでも雑誌の特集でもよく見聞きします。この透明感という言葉、よく考えるとちょっと不思議です。肌の奥が完全に透けて見えたらむしろ不気味ではと思うのですが(笑)、透明感と聞くと誰もが美しい肌をイメージできますよね。

この透明感の定義は非常に難しいところがありますが、肌から感じられる明るさ、光の反射率の高さは欠かせない要素と言えます。ただ、この明るさ感もひと筋縄ではいかないのです。ある化粧品会社による研究では、同じ明るさに調整された顔でも、黄みの肌と赤みの肌とでは、若干その明るさが違って見えることが報告されました。

さて、明るく見えたのはどちらでしょう? 正解は、赤みを帯びたほう。光学的には同じ明るさであるにもかかわらず、赤みのある肌のほうが、より明るい印象となることがわかったのです。

ここで少々、皆さんのまわりの"色白さん"についても思い浮かべてみてください。先の研究成果を踏まえれば、同じくらい色白だと思える人でも、それぞれの肌の色の明度、つまり明るさの度合いを厳密に計測してみると、黄み寄りの人のほうがより高明度を示す可能性がある、ということになります。赤み寄りの人のほうが暗い色の肌のはずなのに、同程度に明るく色白に見えてしまう、というわけですね。

私たちが心理的に抱く肌の明るさ感は、単純に光学的な明度の計測値だけで説明できるものではなく、色みによっても少なからず影響されているようです。ここには、色の鮮やかさを表す彩度も関わってきますが、大まかに言うと、赤みの肌の場合は、黄みの肌に比べて「明るさの印象が割り増しされている」と言えるでしょう。

では、なぜ色みが明るさに影響するのでしょうか。
先ほどもお伝えしたとおり、肌の色の"黄み"は色素、"赤み"は血流や血色に由来します。つまり、赤みとは、肌の深部の様子が見えている、まさしく肌の奥が"透けている"という感覚にも近いものがあるのかもしれません。ですから、その深部が見えるという"透明感"の分だけ、赤み寄りの肌のほうをより明るく感じる可能性もあると考えられます。

話は少しそれますが、学生たちの間では、「おフェロメイク」や「酔っ払いメイク」というものも、少し前に流行っていました。これこそまさに、血色を利用したメイク法。チークを使って赤みを添えることで、肌がより白く明るく見えるという効果もありました。

そもそも頬が赤くなることは、本来、血流量が多いときの生理現象です。暑い場所にいたり、走ったり、照れたり。私たちの頬は、自然に赤くなります。つまり、血流の多い状態のときに起こる、"頬がほんのり上気して見える"現象をメイクで再現したものがチーク、とも言えます。チークをのせた肌を見ると、頬のほんのりとした赤みから健康状態の良さが想起されて、肌がより美しく感じられるのかもしれません。

真逆の例として、"青白い肌"があります。いくら色白が美しいといっても、誰も青白い肌は目指しませんよね(笑)。青白い肌を見ても、私たちは美しさを感じません。それどころか、血色が悪い、不健康そう、病気がち、といったマイナスのイメージを抱いてしまいます。

私たちは、他者の顔の肌の色をちらりと見ただけで、「今日はちょっと顔色がくすんでる。具合悪いそうだな」とか、「少し日に焼けたみたいだけど、どこかに出かけたのかな」のように、ほんのわずかな変化でも敏感に察知することができます。

人間が認識できる色のうち、肌の色の範囲はごく限定的なものですが、それにもかかわらず、肌の色の微妙な違いに対して繊細な感覚をもっているのは、相手の体調や健康状態を、肌の色から本能的にとらえようとしているからかもしれませんね。

----肌の色によって印象が違ったり、健康状態を察知したりと、人は肌の色に対して敏感なセンサーをもっていることがわかりました。また、肌の"透明感"に関わる明るさ感に"赤み"が関係していたことも驚きでしたね。これからさらに研究が進み、透明感のある肌に近づけるノウハウや画期的なメイク法が発見されたら...、うれしいですね。
山田雅子

山田雅子 埼玉女子短期大学国際コミュニケーション学科教授、博士(人間科学)。2005年、早稲田大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。日本心理学会、日本社会心理学会、日本顔学会に所属。専門は色彩心理。顔や肌の認知が主な研究対象。

取材・文/大庭典子(ライター)
イラスト/はまだなぎさ

※この記事の内容について、株式会社ワコールは監修を行っておりません。
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