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教えて、ドクター!

2016年3月30日

先生/齋藤美穂(早稲田大学 理事、人間科学学術院教授、
博士(人間科学))

HEART

【特集/色のチカラできれいに】

女の子はピンクが好き。日本ならではのそのワケは?

色への感覚は、年代ごとに変化する?! ----日本も含めアジア圏では、白色が好まれるのに対して、欧米では、白色に対して好きでも嫌いでもない無関心を示すなど、色の好みは、個人の嗜好だけでなくエリアごとにも傾向があるという前回のお話。今回は、さらに年代別で考える日本人特有の色の好みや傾向について、教えていただきました。引き続き、早稲田大学 人間科学学術院教授の齋藤美穂先生にご登場いただきます。

ピンク色が想起させる"かわいい"イメージ
教育や文化的な背景によって、色の感覚も変わってくるという話をしましたが、たとえばベビー服でも、国によって色使いは異なります。誕生のお祝いで贈るとき、日本では「女の子にはピンク色、男の子には水色」というような、暗黙の了解がありますよね。

ところがフランスでは、女の子にブルーのベビー服を着せるのが常。これは"アトリビュート"という、西洋美術において、その人物に関連づけられた持ち物と関係があります。西洋画では、聖母マリアを表すアトリビュートは、青いマント。このことからフランスでは、女の子には「マリア様のような慈愛を身につけて欲しい」という願いを込めて、ブルーのベビー服を贈ったり、着せたりする習慣があるのです。

このように、幼いころからの色の習慣などが、その人の色彩感覚をつくりますが、それは年を重ねて、新しい経験や記憶が増えるとともに変化することもあります。昔は好きだった色も、年齢を重ねるとともに抵抗が出てきたり、またその逆を実感している人も多いのではないでしょうか。

日本人の年代ごとの色の好みを調査してみると、20〜30代の女性に、"ピンク色"への好みが強いことがわかりました。ピンク色から連想することは、"かわいい""優しい"などですが、特に、"かわいい"というコンセプトがこの年代の日本人女性には、よい印象として受け入れられていることが、その理由だと考えられます。

ピンク色への好みは、やはりアジアでは似ているのですが、欧米では、出てこなかった結果です。深みや成熟などを大事にする欧米の価値観としては、"かわいい"は、どちらかというと幼稚さと結びつき、「かわいいね」と言われることは、必ずしも褒め言葉ではないのです。そういう意味でもピンクは、あまり好まれる色ではないのかもしれません。

ピンク色は、男女間における好みの違いとしても、特徴的な色だと言えます。昔、ケニアと日本の子どもたちに、いろいろな色のクレヨンを渡して好きな絵を描いてもらうという実験が行われました。クレヨンの減り方を見て、好みや傾向を探るのですが、両国の男の子で唯一まったく減らなかった色がピンク色だった、という結果に。

ところが、ここ最近になって、日本では小学生や中学生の男の子にピンク色の好みが出てきたことがわかりました。時代とともに少しずつ、性別による好みの境目は曖昧になっているのかもしれません。
色を上手に着こなす、イタリアやスペインのマダムたち
さて、20代・30代の女性に絶大な人気のあるピンク色ですが、年齢を重ねるとガクンと選ばれなくなるのも、日本の特徴であり、少し淋しく思う点です。シニアになると、華やかな色は敬遠され、ピンク色をセンスよく着こなせる方はまだまだ少数。かくいう私も、やはりモノトーンや落ち着いた色味の服を着ることが多く、華やかな色にはやや抵抗があるんですよね...。

日本でも、今後華やかな色をおしゃれに着こなすシニア層が増えるといいですね。ロールモデルが増えれば、少しずつ全体の認識も変化していきますから。これは私見になりますが、イタリアやスペインなどには、色に関して年齢にかかわらず自由な感覚をもっている人が多いと感じます。

街中を歩いていても、そういった方を多く見かけますし、そこで育った人たちは、その風景を当たり前に目にしているので、「高齢なのに、あんな色を着て...」という感覚をもつことなく、自分たちが年齢を重ねたときにも抵抗なく着るという、いいサイクルが生まれています。
日本人のニュアンスカラー好きは、着物文化に関係が?!
日本人にとって、ひと昔前は、服の色とは着物の色をさし、まだ世の中に化学染料がないころは、木の汁や実の色など植物染料でつくられた着物が主流でした。日本人がビビッドな原色よりも、少しニュアンスを含んだ色の服を好んで着るのも、着物から培った感覚が、脈々と引継がれているからなのかもしれません。

身につけるものの色というのは、その人の心理にも関係します。それは下着も同じです。以前に私の研究室で、「下着の色と心理状態」について調査をしたことがあったのですが、下着の色によって気分に変化があることがわかりました。特に顕著に出たのは、「赤色の下着」を身につけているとき。モチベーションが上がる、元気になる、といった調査報告が上がりました。

服を着てしまえば、下着の色は目には映らないのに、心理状態には影響を与えているというのは、色のもつ力の大きさであり、このあたりもこれから深く調査していくとおもしろそうですね。

----男女間や年代ごとに見ても、境目を示す指標となるピンク色。日本では、かわいさや若さを表す色としても、認識されていたのですね。全3回を通して、色彩心理学の奥深い世界に少し触れることができました。
齋藤美穂

齋藤美穂 早稲田大学人間科学学術院教授、博士(人間科学)、早稲田大学理事。1979年聖心女子大学文学部教育学科卒業。1985年早稲田大学大学院博士課程心理学専攻修了。1996年早稲田大学人間科学部助教授。2001年より早稲田大学人間科学部(2004年~人間科学学術院)教授。「平成4年度色彩学論文賞」受賞。

取材・文/大庭典子(ライター)
イラスト/はまだなぎさ

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