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教えて、ドクター!

2016年3月16日

先生/齋藤美穂(早稲田大学 理事、人間科学学術院教授、
博士(人間科学))

HEART

【特集/色のチカラできれいに】

日本人は「白が好き!」

日本人は「白が好き!」 ----色を見たときに起こる感覚や感情には、これまでの人生で培ってきた経験や記憶が反映されているものだとわかりました。今回は、色の好みや、国・エリアごとの特徴について齋藤美穂先生に教えていただきます。日本で初めて、色の好みについての国際比較を行った齋藤先生、実は、研究の快挙の裏には、学生時代に抱いていた夢への諦めがあったのだとか...。

国際比較で発見! 地域ごとに異なる色の好み
幼いころから、色の世界が大好きで、漠然と将来はインテリアデザイナーになりたいと思っていました。ところが、美大の体験授業を1日受けたときに、まわりのデッサン力の高さに圧倒され、たった1日で長年の夢は破れ...と、もうだいぶ昔の話になりますが(笑)、そんな出来事がありました。

その後も、色が好きだという想いを断ち切れずに、将来の仕事についていろいろと模索していると、"色彩心理学"という、心理学の世界ではすごくクラシックで有名な研究分野があることを知ったんです。そのときに「自分が進むべき道はこれだ!」と、雷に打たれたようにビビッときて。以来、研究に没頭し続け、今に至ります。

卒論時に、色の好みについての国際比較をしてみたいと思ったのは、オーストラリアのシドニーで学生時代の一時期を過ごしたことがきっかけです。そのときに、日本からもっていった服を着ると、周囲からものすごく浮いてしまったのです。

日差しの明るさや、町の色に合うビビッドな服を着ているシドニーの人たちとは、全然違って、シックな色合いの服を着ている自分...。いかにも「遠いところから来た人」という感じがして、あわてて現地で買い直すと同時に、色の好みについての国際比較をしたら、興味深い研究結果が出ることを確信しました。
「白」にひかれる日本人の美的感覚、その源にある想いとは?!
帰国して、すぐに調査に取りかかると、地域ごとに色の好みが違うことがわかりました。特に日本人が「白」に対して、強い想い入れ、好み、また好感度を示したことは、興味深い結果だと言えます。

この傾向は、日本だけでなく、地理的に近い韓国や中国など、アジア地域で似た結果となりました。ただ、中国の場合は少し違って、白が大好きな人がいる一方で、大っ嫌いだという人も多く、「関心は強いけれど、好きにも嫌いにも振り切れる」という結果が出ました。

おそらく、日本人の白に対する好みは大陸から入ってきたのでしょう。そのときに、"清潔感"という日本人が非常に大事にしている価値観と、何色も混じっていない「白」のイメージが重なることで、独自に高い地位を獲得していったのだと推察できます。結果は日本人女性だけでなく、男性にも同じように出ました。

では、欧米人は白に対して、どんな感情をもっているのでしょうか。調査してみると、アジア圏とはまったく違う感覚をもっていることがわかりました。欧米人は、「白は色ではない」と考えている人が多く、ほとんどが無関心を示すという結果に。好きでも嫌いでもなく、白に心が動かない状態です。

調査は、モノについた色ではなく、同じ色見本を使って行ったので、モノの色になると、また違う結果が出るかもしれません。ですが、ただの色紙で調査したことで、より深層心理が出た結果だとも考えられます。

このように、色の好みには、地域によって差があり、そこには、文化的、教育的な背景がうかがえます。では、日本国内で比べてみると、色の好みに差があるのでしょうか。

以前研究室で、東京・大阪・富山・福岡の4都市で調査しました。結果、すごく際立った差というものは、見つかりませんでしたが、強いてあげるならば、大阪にだけ、赤や黒などの「はっきりした色」を好む傾向があるという結果が出ました。また、相変わらず、すべての都市で白を好む傾向がわかり、時代も性差も年代も地域差も超えて白を好むことが、再びわかりました。

さて、実は白のほかにもうひとつ、日本人女性、特に20代、30代に強い好みとして出た色があります。若い女性が好む色...もしかしたら、結果が予想できる方もいるかもしれませんね。次回は、年代による好みの色についてお話ししましょう。

----爽やかな白、清楚なイメージの白など、確かに白は好感度と強く結びつきますが、この感覚はアジア圏、特に日本に特有の感覚だったのですね。なにげなく選んでいる色、素敵だと感じる色にも、その国特有の深層心理が潜んでいるとは、興味深いです。
齋藤美穂

齋藤美穂 早稲田大学人間科学学術院教授、博士(人間科学)、早稲田大学理事。1979年聖心女子大学文学部教育学科卒業。1985年早稲田大学大学院博士課程心理学専攻修了。1996年早稲田大学人間科学部助教授。2001年より早稲田大学人間科学部(2004年~人間科学学術院)教授。「平成4年度色彩学論文賞」受賞。

取材・文/大庭典子(ライター)
イラスト/はまだなぎさ

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