新訳からだ辞典「パンツ一丁」

2015年9月30日

文/相川藍(あいかわ・あい)
イラスト/白浜美千代

HEART

今月のコトバ「ボディスーツ」

今月のコトバ「ボディスーツ」
もっともフォーマルな下着
ボディスーツは究極の下着だ。バスト・ウエスト・ヒップをトータルにサポートし、補整できる機能をもつことから「オールインワン」ともいう。非の打ち所がない、下着界のフォーマルスーツだ。1枚でブラとウエストニッパーとガードルという3種の下着の役割を果たすのだから、お得感もハンパない。

ブラのセミオーダーで知られる「デューブルベ」というワコールのブランドがある。このお店では、なんとボディスーツもセミオーダーできるというではないか。「バージスサイズ・カップボリューム・アンダーバスト・ヒップサイズ・着丈等、5248通りのサイズ展開」により、一人ひとりのからだに美しくジャストフィットするボディスーツをつくることができると聞き、興奮した。スープ・麺・たれ・油・具材の組み合わせで5000通り以上の味がつくれる新横浜ラーメン博物館の「オリジナル生ラーメン」といい勝負だ。

サイズの合ったボディスーツをつけると、自分のからだがぴっちり、きれいに包まれている感覚を味わうことができる。レオタードやワンピース水着、ウェットスーツの着用感も近いものがあるが、これらの目的はスポーツだ。ボディスーツは、ボディを美しく整えるためだけに存在するインナースーツ。他人の目にふれることなく、からだにひたすら奉仕してくれるピュアさがいい。
セクシー系を家で楽しむ
他方、ボディスーツ界には、目立ちたがりの奴らも存在する。セクシーランジェリー系ボディスーツである。先日、ワコールの輸入品展示会で見たボディスーツは、ブラとショーツに該当する部分がすけすけの豹柄、おなかの部分がすけすけの黒、背中にはほとんど布がなく、かろうじて紐でつながっているというものだった。リアルな補整機能なんてほとんどないように見えるが、バーチャル補整機能は満載。着るだけで緊張し、身が引き締まるというものだろう。

かくいう私も、某国でセクシーなボディスーツを購入したことがある。美しいオールレース刺繍で、サイズは1種類のみ。「試着したい」と申し出る勇気も語学力もなく、熱に浮かされたように買ってしまった。5248分の1の奇跡(?) にかけたわけだが、サイズは合わず、日本で見るとエキセントリック過ぎた。遊園地でつい買ってしまう、耳付きの帽子のようなものだと自分を納得させた。

しかし数年後、引っ張り出してみたら、なんだか着られそうな気がした。自分がセクシーに進化した? いやまさか。色柄がたまたまその年のファッショントレンドに合致したのである。今だ!と試着してみると、ゆるゆるな部分はあるものの、家でこっそり着ている分には問題ない。ひそやかな達成感があった。
妄想をかきたてるボディスーツ
ボディスーツは、スーツといっても公共の場で見せるものではない。着用姿を自撮りしてSNSにアップするのは控えよう。もちろん自信があればいいのだけれど、おすすめしたいのは言葉。ボディスーツという名称は、とてもフォーマルな語感だからだ。「今日はボディスーツを着てみました」というつぶやきは「いま裸だよん」とか「ブラパンでーす」とかより、ずっと言いやすい。

ただしこれも、世界に向けてツイートする必要はなく、意中の男性のみに囁いてみたい。「ボディスーツって一体何?」と思わせたら成功だ。下着にくわしい男性なら「補整系? セクシー系? 一体どっちなのか?」とやきもきするだろう。はっきりと定義できないものは、人を翻弄し、妄想をかきたてる。まれに、ボディスーツというと赤ちゃんの着る「ロンパース」を想像する人もいるようだけど。まあ、それもまた、可愛らしくていいのでは!

相川藍(あいかわ・あい) 言葉家(コトバカ)。ランジェリー、映画愛好家。最近いいなと思ったのは、映画「暗くなるまでこの恋を」で妻(カトリーヌ・ドヌーブ)の裏切りに気づいた夫(ジャン=ポール・ベルモンド)が、彼女の下着を次々と暖炉で燃やすシーン。

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