からだの真実、世の中のホント。専門家がズバリ解明

教えて、ドクター!

2015年7月 8日

先生/田村照子(文化学園大学名誉教授、
同大学院特任教授)

BODY

【特集/いい汗悪い汗】

からだをクールにする汗・ムダな汗

からだをクールにする汗・ムダな汗
玉の汗やしたたり落ちる汗...その発汗は無効かも!?
--------暑いときに出る汗は、蒸発する際に熱を奪いながら、体温を下げる役目があることがわかりました。汗が、その冷却機能を発揮するためには、しっかり"蒸発"することが肝。その大切さについて、引き続き田村照子先生にお伺いします。

出た汗と蒸発する汗の量は、必ずしもイコールではありません。発汗しても、蒸発できず、皮膚上にたまってしまったり、流れ落ちてしまうことがあります。これを"無効発汗"と言い、無効発汗が増えるほど、からだには大きなストレスがかかります。

汗が蒸発しなければ、当然、からだの熱を放散することはできません。困ったからだは、なんとか体温を下げようと、さらに汗を出します。汗をかいても、体温が下がらない無効発汗の悪循環が続けば、不快感のみならず、最悪の場合は熱中症をまねくこともあります。さて、無効発汗が起きやすいのは、からだのどの部分だと思いますか? 

実は、無効発汗は、部位ごとのカーブの具合によって違ってきます。雨上がりのアスファルトを思い浮かべてください。地面がこんもりと盛り上がった部分は、雨が降ってもすぐに乾きますね。対して、地面の凹んだところ、くぼみ部分は、いつまでも水がたまっています。水たまりとは...、水が蒸発できずに起きる現象なのです。

これをからだに例えると、同程度の発汗でも、からだのカーブの"でっぱり"と"くぼみ"では、蒸発の具合は雲泥の差。くぼんだ部位の汗は、アスファルトのくぼみにたまった水と同じ、蒸発できずにたまってしまいます。胸の真ん中や背中の中央、首のうしろ、小鼻のあたり、鼻と上唇の間の縦の溝など、くぼんだところは、汗が蒸発しにくい箇所です。これに加えて、汗をかきやすいのは、胸や背中央、腰などの"体幹部分"。

つまり、"くぼみ""体幹部"に該当する胸の谷間や背中央は、無効発汗の発生率が高い箇所となります。胸の谷間に大玉の汗をかいたり、背中をしたたり落ちる汗に不快感を覚える人も多いでしょう。

人間は高温低湿を好み、本来暑さには強くできています。ただし、それは汗がちゃんと蒸発すれば、の話。夏を少しでも快適に過ごすための汗対策は、なんといっても「無効発汗をいかに減らすか」にかかっています。
真夏は、素足にサンダルで!
無効発汗を防ぐためには、手足をなるべく開放することもその対策のひとつ。からだのなかで、もっとも温度変化が激しいのは、手足の皮膚です。冬に寒いと感じてまず冷えるのは、手足ですよね。これは、手足の皮膚血管が閉じて熱を逃がさないようにしている証拠。反対に、暑さを感じたときは、手足の皮膚血管が開き手足が熱くなって、熱を逃がそうとしています。ですから、気温が高い日は、手足を履物で覆わずに開放しておくことがポイント。足元はサンダルで足を開放しましょう。

街で定点観測をしていると、炎天下での高齢者の長袖、長ズボン、靴の着用率の高さには、驚くと同時に本当に心配になります。「人前に出るときには、きちんとした格好をしなければ」と、律儀に考えることは、もちろん悪いことではありません。でも、からだにストレスをかける衣服で、健康を害してしまっては大変。夏ならば、素足で出かけること、家のなかでは短パンにTシャツだって、構わないと思うのです。

年齢が上がると、暑いという感覚をキャッチするのが遅れたり、皮膚血管の反応が悪くなるなど、体温調節反応も鈍くなります。熱中症にかかる人に高齢者が多いのも、このため。実際の暑さに適した反応ができず、そのまま放置した結果、無効発汗が続き、脱水症や熱中症にかかってしまうことも。高齢者の場合は、「暑い」という自分の感覚だけを頼りにせず、気温計を室内に設置し、温度によって空調を調節したり、水分補給を積極的に行うなどの対策も有効でしょう。

若い女性の夏の露出の高さやあまりにくだけた格好には、ときどきめまいを覚えますが(笑)、無効発汗を防ぐという意味では「アリ!」ですね。

----真夏にスニーカーを履いたときなど、足元に熱のかたまりを閉じ込めたような不快感がありましたが、原因がわかりました。からだの熱を多く逃がす部分である足を覆ってしまったことが、よくなかったのですね。次回も、無効発汗を防ぐための対策を教えていただきます。
田村照子

田村照子 文化学園大学名誉教授、同大学院特任教授医学博士(東京医科歯科大学)。お茶の水女子大学大学院家政学研究科修士課程修了。順天堂大学助手、文化学園大学教授、同大学院 生活環境学研究科長を経て、現職。衣服の機能性に関する分野を人々の生活に役立つ学問領域にしたいと、医学の知識を生かしながら「温熱」「形態と運動機能」「皮膚の生理」を中心に研究。日本を代表する被服衛生学研究の第一人者に。著書に『衣環境の科学』、『衣服と気候』(気象ブックス)など多数。

取材・文/大庭典子(ライター)
イラスト/190

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