生きるためのボディ&ソウル。鍛えれば、人生きっといい感じ

湯山玲子の「人間はカラダだ!」

2014年10月29日

文/湯山玲子
イラスト/腹肉ツヤ子

HEARTBEAUTY

【特集/ヒップの秘密】

堂々宣言! おしりは文化です!

堂々宣言! おしりは文化です!
美と笑いが絶妙に交じり合う、それがおしり
物事すべてに言えることだが、お笑い、ユーモアの要素が入って来るものは、そうでないものよりも文化度が高いが、おしりはその点、トップクラスの存在だろう。
たとえば造形的に複雑な耳は、ゴッホや三木富雄の彫刻のように高尚すぎて笑えないし、おっぱいも女性ならばそれを大いに笑いにできるが、男性の方にそんな余裕はない。形から見ればプリリンと可愛らしく、桃の実のようなおしりも、その奥には秘すべき性器と排泄器官という身体の二大タブーを隠しもっているだけに油断がならない。

おしりは美的なセンスとお笑いがいい具合にブレンドされた、まるで、ウディ・アレンの映画のごとくの身体パーツなのだ。子どもはそのあたりに敏感で、「おしりー」などといって、ゲラゲラ笑いながら、おしりとオナラの絵を描いて、喜んでいたりする。ザ・ロイヤル・ティーンズの『ショート・ショーツ』の音楽に乗せて、おしりが踊る『タモリ倶楽部』のタイトルシーンは、そのサウンドのへっぽこ感とともに、ヒップのエロがぎりぎり笑いに留まっている「危うさ」が秀逸だった。「ウィーアーショーッ、ショーッ、パパパパパパパ」という、間の抜けたジャズコンボの演奏に合わせて躍動するおしりたちは、なんだか、おしりそのものが顔面になったエイリアンみたい。そういえば、水木しげるのコミック『怪奇死人帳』に登場する、週間モモイロの記者妖怪は、下半身のおしりのマエが顔だった。
マリリン・モンローに見る、ヒップの魅力
そのおしりの魅力を知り尽くして、自己ブランディングに反映させたのは、何を隠そう、世紀のセックスシンボル、マリリン・モンローだ。ボンキュッボンのナイスバディーで、おっぱいもロケットのように突き出ていた彼女だが、その程度のグラマー美女ならばハリウッドの大部屋にたくさんいたわけで、彼女を有名にしたのが、モンローウォークと呼ばれる、独特の歩き方。身体のラインにぴっちりあったタイトスカートに包まれたそのおしりは、彼女が歩く度に左右にブリブリと揺れて、セクシーなのだが、どことなくユーモラス。これ、実は彼女自身が考案したアイディアが生かされていて、なんと、彼女は右のヒールを左よりも1インチほどカットし、そのアンバランスからなる動きを生み出したというのだ。さすがに、CIAに目を付けられ、一説には殺されたのではないか? という疑惑まであるモンローの頭のよさには舌を巻く。
おしり、とうとう現代アートにも進出す
おしりのユーモア+セクシーな危なさ、というならば、現代美術家の瀧弘子の『一張羅』を始めとした作品が秀逸。これ、壁に向かって大きく広げられたライクラのような伸縮性のあるテキスタイルに、パンティーの脚の切れこみのような穴があって、作家自身がそれに脚を通し、要するに布のオブジェのパンティーを履いたような形になるというパフォーマンス。赤い布からにょっきりと突き出ているのはおしりとナマ足だけで、その両足はドスコイとばかりに地面に立っており、シュールな可笑しさとともに、二本足で毎日動き回って生きていく要の器官のすばらしい機能性がむき出しになっていて、大迫力なのだ。おしりに食い込むライクラの布の感触は、女性にはお馴染みのもので、そういう意味では、パンティーという下着が生み出す、妄想と感覚の表現だとも言える。
おしり、その存在は、あまりにも深く、そして、おもしろすぎます。

ゆやま・れいこ 著述家、ディレクター。自ら寿司を握るユニット「美人寿司」、クラシックを爆音で聴く「爆音クラシック」を主宰するなど、カルチャー界を牽引。著書に『四十路越え!』(ワニブックス)、上野千鶴子氏との共著に『快楽上等! 3.11以降を生きる』(幻冬舎)がある。

構成/本庄真穂

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