生きるためのボディ&ソウル。鍛えれば、人生きっといい感じ

湯山玲子の「人間はカラダだ!」

2013年4月 1日

文/湯山玲子
イラスト/腹肉ツヤ子

BODY

【特集/歩くチカラを見直そう】

歩き姿勢がきれいなオンナは『美人』に傾くのだ

Image カフェの窓際席で、ぼんやり外を見ていたら、バレエスクールの帰りと思われる少女たちの一団がおしゃべりをしながら目の前を通り過ぎていきました。彼女たちはたいてい頭をシニョンに結わえているのですぐにそれとわかるのです。何よりもその歩き方が普通ではないのです。
「普通ではない」と言ったが、それは周囲の人の歩き方に比べて、格段に美しいということ。頭の上から糸で引っ張られているように、背骨から首がスッと延びていて、骨盤が水平に移動するように大股な、しかし優雅な歩き方。山岸涼子さんのバレエマンガからの聞きかじりによると、こういった姿勢は12歳までに叩きこむと、脳がそれを覚えていて"一生モノ"なのだそう。

大人になっても、「実は子どものときにバレエをやっていました」という人はなんとなくわかるものです。彼女たちは姿勢とか歩き方にその片鱗が残っていて、全体の印象が"美人"のほうに傾く印象があるのです。というわけで、親が子どもに与えて最も感謝される教育は、バレエでしょうね。美しい姿勢と歩き方は、これからもっとシビアに続く"見た目社会"において、かなりお得なカードのはずなのです。

バレエっ子たちが通り過ぎていったあと、雑踏は普通の娘さんたちの天下になりました。しかしながら、その歩き姿はやはりどうにもカッコ悪い。彼女たちはたいてい猫背でアゴが出て、膝が曲がってすり足気味に通りを歩いている。これは日本人の歩き方の特徴だと言われていて、それを醜いと見るのは欧米かぶれした視点だ、と言われそうです。同じすり足を使っていても、日舞や能、狂言のプレイヤーたちの動きは美しいのです。その秘訣は、骨盤に乗っている上半身にあります。バレエも同じです。下半身がキチンと地面を捉えたグラウンディングがあって始めて、上半身は自由に遊ぶことができるのです。
野村萬斎を見よ!
美ウォークはフェモロンを放つ
この間、テレビを何気なくつけたら、映画『陰陽師 2』をやっていました。驚いたのが、主役の安倍晴明を演じた野村萬斎の動き方で、その立ち居振る舞いの美しいことといったら! 彼が宮廷の廊下を歩くたびに、周囲の空気が色彩を帯び、動きの全てがまるで振り付けされた舞踊のように見えてくるのです。冷静に考えてみれば彼のイケメン度はそれほどでもなく、顔の雑作は十人並み。しかし全体として彼が完全に美の世界の住人なのは、まさにその歩き方。日常的なムーブメントを美的に保っているからこそなのです。

考えてみれば、歩くという行為は、日本の教育の分野では、あえてその美しい作法を学ぶことはありません。しかし野村萬斎の例が物語るように、これを体得したら百人力の素晴らしい効果が期待できるのです。

ウォーキングに関しては、ダイエット目的も含んだデューク更家のメソッドなどが有名ですが、私も別のメソッドで指導を受けたことがあります。それで感じたことは、歩くときに重要な姿勢の重心は思ったよりもずっと後ろにある、という体感でした。「えっ、こんな後ろでいいの!?」という感覚は、鏡に映ったその姿をみてびっくり。そこには真っすぐスッキリと立った見栄えのいい自分がいて、ということは、いつもの自分の姿勢はうんと前のめりだった、ということがわかったのです。

自分の感覚がすでに見た目とズレている。この件だけでなく、長年人間をやっているとどうしてもそうなってしまうこの「独りよがりジャッジ」には、ゆめゆめ騙されないように。ひとりでどこへでも歩いてゆけること、が、人間の自由と自立を基本とすると、その根本の歩き方は、一度キチンとプロの教えを乞うてもいい、最重要ジャンルだと思いますよ。

湯山玲子(著述家) 自ら寿司を握るユニット「美人寿司」、クラシックを爆音で聴く「爆音クラシック」を主宰するなど、カルチャー界を牽引。著書に『四十路越え!』(ワニブックス)、上野千鶴子氏との共著に『快楽上等! 3.11以降を生きる』(幻冬舎)がある。

構成/本庄真穂

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