「下顔面」を積極的に動かして若々しさをキープ！

---- マスク必須の時代の、ニューノーマルなマウスケアでは、歯や歯茎、舌といった口の中はもちろん、外から見た口まわりも、健やかに美しく保ちたいもの。今回は、マスクで隠れている「下顔面」に注目。マスクの下でもできる口まわりのトレーニングについて、口もと美容スペシャリスト、石井さとこ先生にうかがいます。

「マスク老け」、気になっていませんか？

「マスクを外して自分の顔を見たら、なんだか以前よりも老けたような気がする…」。私のクリニックにいらっしゃる複数の方から、そんな声を聞いて、私も「そういえば」と、はっとしました。コロナ禍にあっては、気持ちが滅入るような話ばかりで、口角は下がりっぱなし。人ともあまり話さないから顔の筋肉も動かさない。さらにマスクでメイクやお手入れも手を抜きがちで緊張感もなし…。これでは、小鼻の下から口角に向けて刻まれるほうれい線と、口角からあごに向かって刻まれるマリオネットラインが、どんどん深くなってしまう、と。

人間の顔には、大小30以上の筋肉があります。特に口のまわりは、その7割を司っているんです。しかし、常時マスクをつけることで、顔の下半分＝下顔面は見えなくなる。見えなくなると、どうしても、動かすことも少なくなりますよね。運動量が減ると、筋肉にリンパを押し流す動きが減るので、むくみやすくなりますし、たるみも目立ってきます。これが「マスク老け」です。

私自身は、歯科医師として、1日中ほとんどマスクをして過ごしている状態が長いので、30代のころから「マスク老け」なるものに気づいていました。そして、自分なりに顔トレーニングを試してきました。今回は、マスクをしたまま、ちょっとした時間でもできる顔トレをご紹介します。

舌でモジモジ「モダイオラスほぐし」

顔トレの準備体操としてもおすすめなのが、「モダイオラスほぐし」です。

「モダイオラス」とは、左右の口角の内側の、少し上のところにある小さな膨らみ部分。顔にあるたくさんの筋肉がここで集結する、大切なポイントです。

口の中からモダイオラスに舌先を当て、下から上に向かって動かして、ほぐしていきます。左右10回ずつ、固まった顔の筋肉を伸ばしていくように、丁寧に刺激してください。やってみるとわかりますが、かなり舌筋を使います。ふだんあまり舌を動かしていない人には、特に筋トレ効果大。舌を動かしているうちに唾液も出てくるので、ドライマウス対策にもなります。

舌を動かすことは、マウスケアにとって大変重要です。舌の筋肉は首もとまでつながっていますから、これが弱ることは顔のたるみにもつながります。有名なアインシュタイン博士の写真のように、「ベーっ！」と大きく舌を前に出すのもいい顔トレになりますよ。

口の中で舌を動かすことはマスクの下でもできるので、いつでもどこでも、思い出したときに、「モダイオラスほぐし」をやってみてくださいね。

----にぎやかに会話をしたり、思いきり笑ったり。顔の筋肉を動かす機会そのものが減ってしまった今、意識して口もとの筋肉を鍛えて、マスクを外してもはつらつとした表情でいられるようにしたいですね。次回は、ホームケアの新習慣と、ホワイトニングの最前線について話をうかがいます。