使う部分や調理法でこんなに変わる。ビタミンCの有効活用

文/おくだじゅんこ(管理栄養士)
イラスト/いしわたりきわこ
使う部分や調理法でこんなに変わる。ビタミンCの有効活用

ビタミンCは、鉄分の吸収を助けたり、コラーゲンの合成を助けたり、女性にとっては特に必要なビタミンです。コラーゲンは体内に最も多いタンパク質で、からだの中のタンパク質の25~33%を占めるといわれています。細胞と細胞をつなぎとめている成分ですが、ビタミンCが欠乏してしまうと、毛細血管や歯、軟骨などの結合組織が弱くなり、傷が治りにくくなったり、歯茎から出血したりします。

また、β-カロテンやビタミンEとともに体内で活性酸素を除去する強い力をもち、老化防止や、発がん性物質を抑えるなどの働きがあるといわれています。

おなじみの栄養素すぎて、目新しさはないと思われるかもしれませんが、ちょっとしたことで、その摂取量は増減してしまうのも、またビタミンCの特徴です。

一般に必要とされる1日の必要量<野菜350g><果物200g>がとれていれば、1日に必要なビタミンC量100mgは十分摂取できるといわれています。ですが、野菜のどこを使うか、どう調理するか、あるいは保存環境などによって、摂取できる量が大きく変化するのも、またビタミンCの特徴です。今回はその事実をデータで知っていただき、役立てていただければと思います。

1、ビタミンC含有量は「どこを食べるか」で異なります

まずは食材の部位ごとのビタミンC量(100gあたり)を見てみましょう。食品成分表には、ひとつの野菜全体の平均値が載っていますが、葉の部分だけを取り上げてみれば、とても多くのビタミンCが含まれていることがわかります。

・キャベツ  全体平均41mg → 外葉52mg、中葉40mg、内葉36mg、芯葉48mg(全て葉の部分のみ)
・白菜    全体平均19mg → 外葉51mg、中葉26mg、芯葉48㎎ (すべて葉の部分のみ)
・小松菜   全体平均39mg → 葉44mg、茎16mg
・ほうれん草 全体平均35mg → 葉49mg、柄12mg、根9mg

葉物野菜のビタミンCは、葉っぱの部分に多く、茎や根っこには少ないため、全体の平均値は低くなっているのです。料理のとき、汚れがついているからといって勢いよく外葉を捨てすぎると、一緒にビタミンCも捨ててしまうことになります。できるだけ、外側もくまなく使うといいでしょう。

2、野菜は旬にいただくのがいちばん!

ほうれん草のビタミンC含有量
夏季 20mg → 冬季 60mg

旬がある食材は旬のときに食べたほうがよいといわれるのは、このためです。ほうれん草の旬は11月から3月の冬場。最近はどの野菜も1年中食べることができますが、できるだけ旬を意識したいものです。

3、ゆで時間は短いほうがいい

ほうれん草のゆで時間とビタミンC残存率
0分 100%
1分  74%
2分  61%
3分  48%
5分  40%

ビタミンCは水溶性ビタミンであるため、長く茹でれば茹でるほど失われてしまいます。ただ、ほうれん草にはアクの元となるシュウ酸が含まれているため、生食には適していません。さっと茹でていただくことを意識しましょう。

4、低温保存が原則です

買ってきたときの状態を100%としたビタミンC残存率
ほうれん草の場合
・0℃の冷蔵庫で1日保存  → 96%
・10℃の冷蔵庫で1日保存  → 90%
・25℃の室温で1日保存   → 80%
・0℃の冷蔵庫で5日保存  → 84%
・10℃の冷蔵庫で5日保存  → 70%

じゃが芋の場合
・5℃で5か月保存  → 81%
・室温で5か月保存 → 72%

保存するときの温度が高ければ高いほど、ビタミンCは失われます。常温保存が可能なものも、特に近年の夏場の気温は高くなりますし、冷蔵庫、もしくは冷暗所がおすすめです。まとめ買いをされるご家庭も多いことと思いますが、保存温度は要注意です。

ビタミンCに関するデータをいろいろと取り上げてみましたが、いかがだったでしょうか? せっかく調理するなら、ビタミンCを失うことなくしっかりとからだに取り込みたいものですね。

そして、有効なビタミンC活用がみなさまのコラーゲン合成に少しでもお役に立てますように!

参考文献/『調理のためのベーシックデータ』(女子栄養大学出版部)

  • おくだじゅんこ/管理栄養士 広島生まれ。2004~2012年の8年にわたり株式会社ワコールに勤務。陸上選手から社員まで幅広く健康管理に携わる。 病院栄養士を経て、現在は広島酔心調理製菓専門学校にて、調理師やパティシエの卵たちと「健康且つおいしい!」を追求し、日々奮闘中。