具材もスパイスも栄養まるごと! カレーパワーの秘密

文/おくだじゅんこ(管理栄養士)
イラスト/いしわたりきわこ
具材もスパイスも栄養まるごと! カレーパワーの秘密

今年の夏も、ジリジリと暑い日が続いています。そうなると、そうめんやアイスクリーム、熱中症対策にスポーツドリンクと冷たいものを多くとりがち。これは結局、糖質過多の傾向をまねき、代謝に必要なものが足りなくなって、からだが動かない悪循環に。そんなときこそ、みなさんカレーです! 一皿で、タンパク質も、ビタミンもミネラルも全部とれる優れものなのです。

肉・魚介・豆、なんでもカレーになる

カレーといえば、ビーフカレーが一般的ですが、お肉ならポークでもチキンでも、ひき肉を使ってキーマでも、なんでもいけちゃいます。そして、海老カレーやシーフードカレー、魚介類もいけて、豆カレーなんかもおいしいですよね。つまり、どんなタンパク質でも合うということ。

また、こうした具材や野菜類に含まれるのが、ビタミン類。代謝を助けるビタミンB群やビタミンCなどは水溶性ビタミンと呼ばれ、水に溶け出てしまう性質があります。たとえばゆでた野菜の場合、ビタミン類がゆで汁などに溶け出てしまい、結局捨てることも多くなってしまいます。でもカレーなら、溶け出た汁もまるごととるので、余すことなくからだに摂取することができます。

夏はキッチンが暑いので、料理をするのもおっくうになりがち。野菜もとったほうがいいとわかっていても、暑さに負けて料理の品数も減ってしまいそう。そんなときでも、カレーなら玉ねぎ・人参・じゃが芋といった定番から、なす・ゴーヤ・パプリカといった旬の野菜まで、どんな野菜でも組み合わせることができて、さらに栄養まるごととることができます。

スパイスの効用をたっぷりいただく

昔はルーを使う家庭が一般的でしたが、今ではスパイスも手軽にスーパーで手に入れることができるようになり、スパイスカレーをつくる家庭も増えてきました。

一般のルーは各種スパイスに、油・塩・小麦粉・うま味調味料などを加えてつくられたものなので、脂質が割と多めです。しかし、自分でスパイスやカレー粉(パウダー)を使ってつくるカレーでは、油を使う量を抑えることができます。脂質を控えたい人にはうれしい情報。ルーを少なくして、ちょっとスパイスを足してみるだけでも、十分いままでと違ったカレーになります。

また、インドの伝統医学アーユルヴェーダの考え方では、スパイスにはさまざまな効能があるとされています。

主なスパイスは、カレー独特の香りを醸し出す「クミン」、鮮やかな黄色でおなじみのウコンを乾燥させてつくった「ターメリック」、パクチーの種を乾燥させて粉末にした「コリアンダー」といったところでしょうか。

クミンやコリアンダーは消化不良にいいとされ、ウコン(ターメリック)は気の巡りをよくし、血流をよくするといわれています。またカレーに使う生姜には食欲増進作用があり、にんにくにはビタミンB1の吸収を助け、疲労改善に効果が期待できます。

タンパク質はもちろん、野菜のビタミン、そしてスパイスの効能まで、たっぷりいただけるカレー。夏に疲れてしまったからだにぜひ、一皿のカレー! 今晩いかがですか?

参考資料
『スパイス&ハーブの使いこなし事典』(主婦の友社)
『心とカラダにやさしい316種 ハーブ&スパイス事典』(誠文堂新光社)

  • おくだじゅんこ/管理栄養士 広島生まれ。2004~2012年の8年にわたり株式会社ワコールに勤務。陸上選手から社員まで幅広く健康管理に携わる。 病院栄養士を経て、現在は広島酔心調理製菓専門学校にて、調理師やパティシエの卵たちと「健康且つおいしい!」を追求し、日々奮闘中。