
昨年に引き続き、「サンマが不漁」「値上がり」といったニュースをよく目にします。特に今年は猛暑で海水温も上昇し、日本近海にサンマがいないようです。秋の大衆魚の代表・サンマも、今では高級魚になってしまいました。そもそも秋が旬で豊漁となり、価格が安いので食卓に上がる頻度が高いのがサンマですが、それだけでなく、秋に青魚を食べることで夏の疲れを解消したり、気温の寒暖差に対応できるからだづくりに役立っているのです。
サンマは青魚の中でもDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)を多く含みます。DHAは脳細胞を活性化する成分で、認知症の原因とされるアミロイドβを除去する働きがあるとされています。EPAは血中コレステロールを正常にする効果があります。さらに血栓予防や中性脂肪を減らす働きがあるといわれています。魚油は調理法で摂取量が変わってしまいますので、効率よく取りたいのであれば、お刺身がいちばんです。サンマの生食は寄生虫のアニサキスが心配ですが、最近は「船凍品」といわれる、捕ってすぐ船で冷凍してスーパーの店頭で解凍したものが販売されています。アニサキスは冷凍することで死滅しますから、たとえ生食でなくても船凍品が安心です。
またサンマには腸がないので内臓も食べられます。内臓にもDHA/EPAを多く含むといわれています。香ばしく焼いてたっぷりの大根おろしとかぼすやすだちなどの柑橘酢をかけて食べると、ビタミンCもとれて夏の肌疲れも解消してくれます。例年に比べたら割高ですが、この時期にしか食べられないサンマ。からだのことを思えば、ぜひ食べておきたい食材です。
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- 堀知佐子(ほり・ちさこ) 管理栄養士・食生活アドバイザー・アンチエイジング料理スペシャリスト。レストラン「Le Rire(ル・リール)」シェフ。京都の調理師学校で教鞭をとった後、京料亭「菊乃井」の物販事業部責任者を経て、2010年株式会社「菊の井」常務就任。2008年アンチエイジングをコンセプトとしたレストランを開業。料理教室の開催、地方自治体アドバイザー、講演など、食と健康をテーマに幅広く活動。著書に『みそと野菜でアンチエイジング』『100歳まで錆びない栄養レシピ』など多数。
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