AGEsを増やさない調理法

特集/食とエイジング

文/おくだじゅんこ(管理栄養士)
イラスト/いしわたりきわこ

調理法でも変わる「AGEs」 最近、何かと話題の「AGEs」。タンパク質が「糖化」してできる最終生成物のことで、これが老化の原因物質であると言われています。
AGEsが皮膚にたまってくると肌は張りを失って、たるみやしわの原因に...。このAGEsは、食べ物の中に含まれていて、からだにはその7%が吸収されるといわれています。食品によっても違いがあり、また調理法によっても、このAGEsは多かったり少なかったり、異なるようです。今日は、どんなものを、どうやって食べれば、AGEsを多くとらずにすむのかを一緒に考えてみましょう!

まず、AGEsを生み出す「糖化」について、おさらいしてみましょう。「糖化」とは、「加熱される」ことによって、タンパク質に糖が「結びつく」こと。よく例に出されるのはホットケーキです。砂糖(糖)と卵(タンパク質)が入ったたねをフライパンで「加熱」してジューッと焼くと、こんがりおいしそうなホットケーキができあがりますね。このこんがりおいしそうなものが、まさしくAGEsなのです。
これを人間のからだに置き換えてみましょう。人間のからだは、たくさんのタンパク質からできています。皮膚のコラーゲンもタンパク質。それが糖化すれば、タンパク質は本来の能力が発揮できなくなり、お肌は張りを失って、たるみやしわが起こります。また、髪の毛もケラチンというタンパク質からできているので、それが糖化すると、髪の毛のコシが失われ、キューティクルも損なわれてツヤがなくなってしまうのです。
あっち向いてもこっち向いても甘いものであふれかえっている世の中です。糖の「とりすぎ」にはやはり注意が必要ですね。

しかし、まったくAGEsをつくらない、とらない生活はできません。そこで、調理法に注目してみましょう! 調理法でいうと、「生」→「蒸す・ゆでる」→「煮る」→「炒める」→「焼く」→「揚げる」の順にAGEsは増えていくそうです。油で揚げたものをさらに炒めたり(酢豚など)、二度揚げするような料理(フライドポテト)や、おこげなどが要注意! そう考えると、鍋ものやロールキャベツなど煮込み料理はおすすめです。

食品・調理別のAGEsがまとめられたものがあるので、少しだけ紹介しましょう。
数字はすべて100gあたりのAGEs含有量で、AGEsの1日の摂取目安は7,500~10,000ku(キロユニット)だそうですので、以下の数字を参考にして食事の計画を立ててみるのもいいでしょう。

【主食】(単位:ku)
・米(炊く前の生の状態) → 9
・パン → 83
・トースト → 107
・クロワッサン → 1,113
・パンケーキ → 2,263

【肉】(単位:ku)
・牛肉/生 → 707
・ステーキ/超レア → 800
・ステーキ/フライパン焼き → 10,058
・ハンバーガー → 5,418
・ベーコン → 91,577
・フランクフルト/直火焼き → 11,270
・フランクフルト/ゆでる → 7,484
・鶏/水炊き → 957
・鶏/からあげ → 9,732

【魚】(単位:ku)
・サケ/生 → 528
・サケ/スモーク → 572
・サケ/フライパン焼き → 3,084
・えび/冷凍を電子レンジ調理 → 4,399
・えび/フライ → 4,328

【卵】(単位:ku)
・目玉焼き → 2,749
・スクランブルエッグ(1分) → 173
・オムレツ(低温12分) → 223

【野菜】(単位:ku)
・きゅうり/生 → 31
・玉ねぎ/生 → 36
・トマト/生 → 23
・にんじんなど/グリル → 226

【スイーツ】(単位:ku)
・ドーナツ → 1,407
・クッキー(チョコチップ) → 1,683
・ビスケット → 1,470
・チョコレート → 1,500

同じ食材でも、調理法によってAGEsの量が異なるということをご理解いただけましたか?
ピザなんかもこんがりチーズが乗って、かなりAGEsの含有量は高くなります。こうしたジャンクフード、ファストフードは、AGEsの側面からみても、たまに楽しむくらいにしておきたいものです。
また、「生」→「蒸す・ゆでる」→「煮る」→「炒める」→「焼く」→「揚げる」の順でAGEsが増えるというのは、カロリーが高くなる順番とも似ています。しかし、ここでちょっと覚えておきたいのは「電子レンジ調理もAGEsが増える」ということ。電子レンジ調理は油も使わず、ヘルシーな調理法ですが、「10分以上の電子レンジ加熱はAGEsを増やす」のだそうです。

低AGEsの代表は和食。ごはんに、お味噌汁、刺身にお肉のしゃぶしゃぶならどれも安心して食べることができます。若々しいお肌を保つことも、生活習慣病を予防することも、どちらも注意するポイントは同じなのですね!
参考書籍;『老化物質AGE  ためないレシピ ──ウェルエイジングのすすめ』(タカコナカムラ、山岸昌一 著)

文/おくだじゅんこ(管理栄養士) 広島生まれ。国立病院勤務の後、8年間にわたり株式会社ワコールに勤務。陸上選手から社員まで幅広く健康管理に携わる。2012年に再び地元広島へ戻り診療所の栄養士に。
自身が根っから食いしん坊☆自分自身の栄養管理に日々奮闘中!

イラスト/いしわたりきわこ 東京生まれ。テキスタイルデザイナーを経て、コピーライター、ライター、イラストレーターに。渾身の著書「駅弁の旅」、「ぜいたくはひとりごはん」共著に「東京ナチュラルスイーツ」、「おいしいごはんの店~自然派レストラン全国ガイド」などがある。