「糖類ゼロ」「糖質ゼロ」の落とし穴

文/おくだじゅんこ(管理栄養士)
イラスト/いしわたりきわこ

「糖類ゼロ」「糖質ゼロ」の落とし穴 暑くなって、冷たい飲物がおいしい季節になりました。
そんなとき目につくのが、「糖類ゼロ」や「糖質ゼロ」といった表示のあるもの。
これらの違い、みなさんはご存じですか?
ちょっとした違いがあるので、表示を見て、しっかりきちんと判断したいものです。

まず最初に押さえておきたいのは、糖の種類。
一番小さい単位で「ブドウ糖」や「果糖」を「単糖類」と言います。
これら単糖類がふたつくっついたものを「二糖類」と言います。これが「砂糖」や「麦芽糖」です。

「糖類」というのはこれらのように、ブドウ糖などの単糖類、砂糖などの二糖類以下の小さなものをまとめたものを示します。

ブドウ糖が数個くっついた「オリゴ糖」や、何万個もくっついた糖は「でんぷん」と言われ、これらは「多糖類」になります。炭水化物はそれに加えて、食物繊維を含んだものの総称。「炭水化物≒糖質」と考えてもいいでしょう。

「糖質」は、単糖類や二糖類などの糖類、多糖類、人工甘味料も含めたこれらすべてを総称して「糖質」と言っています。

「糖質ゼロ」や「糖類ゼロ」というと、どちらも同じことのように思えますが、厳密にいうと、「糖類ゼロ」は砂糖を使っていないときに使う言い方です。
それに対して「糖質ゼロ」は、「糖を何も含んでいない」という意味合いで使います。
つまり、「糖類ゼロ!」の方は、実は砂糖が使われていないだけで、他の糖分がいろいろ入っていて、カロリーゼロとは限らない!ということ。
糖類ゼロと聞くと、カロリーまで何もないように思いますが、実はそうではないことも多いのです。

また、以前にも書きましたが、「ゼロ」「ノン」「レス」「無」といった言葉は、「100gまたは100ml中に糖質・または糖類が0.5g以下の場合には表示してもいい」ということになっています。
つまり、無糖コーヒーを飲んでいるといっても、それが190ml(缶コーヒー1本分)だったら、本当は1g弱の砂糖が入っているかもしれないということ。無糖だからと思って、朝昼晩と3本飲んでいたたら、実際は約3g(スティックシュガー1本分)の砂糖をとっているかもしれないのです!

これから飲み物が増える夏、いろいろなゼロ表示に惑わされないで!!

文/おくだじゅんこ(管理栄養士) 広島生まれ。国立病院勤務の後、8年間にわたり株式会社ワコールに勤務。陸上選手から社員まで幅広く健康管理に携わる。2012年に再び地元広島へ戻り診療所の栄養士に。
自身が根っから食いしん坊☆自分自身の栄養管理に日々奮闘中!

イラスト/いしわたりきわこ 東京生まれ。テキスタイルデザイナーを経て、コピーライター、ライター、イラストレーターに。渾身の著書「駅弁の旅」、「ぜいたくはひとりごはん」共著に「東京ナチュラルスイーツ」、「おいしいごはんの店~自然派レストラン全国ガイド」などがある。