セミオーダーブラができあがってきた!

特集/目ざせ、美バスト!

文/湯山玲子
イラスト/腹肉ツヤ子

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そのブラは人生の伴侶となりえるか

前号でご報告していた、オーダーブラがやっと出来上がった。
着けごこちは悪くないが、「着けているのを忘れる」というほどのものではない。バージスライン(胸の下のふくらみからワキにかけてのライン)は広めに取ってもらったのに、やっぱりそれでもワキに流れる肉すべてはすくい込めないし、やはり圧迫感は存在する。両手を使って寄せて上げるということはできるので、この手の感覚をブラ化することは、できないものなのだろうか、と、しみじみ思ってしまった。

しかしながら、2回ほど洗濯に出して布がやわらかくなったときに、そのブラたちは本領発揮。いわゆる初回の固さが取れて、本当にフィットしてきて、私のおっぱいの見事な伴侶になってきている(いやいや、夫婦もブラも慣れ親しまないことにはその本質はわからないもんです)。ともあれ、今回思ったのは、ちょっと奮発してでも、自分に合った仕立ての良いブラを買ったほうがいい、ということ。15,000円を出して2,000円なりのブラを7枚買うのと、1枚買うのとどちらがよいかといえば、今、私ならば後者だと言い切ることができる。

2,000円なりをたくさん買って、バリエーションを楽しむのもよいが、人様に見せつけるファッションと違って、あくまで下着は自分との対話。安いモノはすぐに型が崩れ、形が変わりクタクタになり、それはダイレクトに着ごこちの悪さとして精神状態に影響するような気がする。不思議と下半身のパンツにはあまりそれを感じないのは、おっぱいという「女が生活の中で意識せざるを得ない肝心ドコロ」をホールドする特別なものだからだろうか。ヘンな話、女性は自分の下半身をしげしげとは眺めないが(それを推奨するフェミニストもいますが)、おっぱいは毎日鏡の前でチェックしますからねぇ。

あなたは、おっぱいを愛していますか?

とここまで書いていて、私は別の事を考え始めている。それは、女性の中に根深くあるミソジニー=女嫌い、という感情である。これはもちろん男性の中にも色濃くあり、残念ながらこの発想から自由でいられる人間は皆無、というやっかいなシロモノなのだ。女が自分の性を嫌う、という感情は、思春期になって自分のからだが意思とは関係なく発達して、女らしくなっていくと同時に巻き起こるが、それはたいてい目に見えるおっぱいの発達が最も影響大なのだ。痴漢にあったり、性的な対象として見られることの恐怖がそこにはあるが、そこを乗り越えるのと乗り越えないのとでは、大きく人生の充実感が違ってくると思う。「ないことにできないおっぱいならば、もうそれを楽しんじゃおう」と覚悟を決めたとき、レースで飾られ、あでやかで手の込んだブラジャーは、強い味方になるのではないか!?

"女"を楽しめば、人生ますます華やかに

まだまだ、働く女に偏見があった時代、女性は女らしさを隠すことで男性の仕事社会に入れてもらった。「目障りだ」などと陰口を叩かれるのが嫌で、立派なおっぱいをさらしでつぶして働いた女性もいたという。でも、私たちはそんな暗黒の時代に生きてはいない。仕事かオンナかどっちかにしろ、などという訳がわからない世間の空気はもはや消滅しているのに、当の女性が自分が女であることにフィットしないミソジニストであるのはあまりにもったいない。

ならば、形から入ってはどうか? 美しいブラをつけ、角度によったら壇蜜に見えないこともない自分のおっぱいと肉体を愛す。それができるかどうかで、人生の充実感は大きく違ってくる。

ゆやま・れいこ 著述家、ディレクター。自ら寿司を握るユニット「美人寿司」、クラシックを爆音で聴く「爆音クラシック」を主宰するなど、カルチャー界を牽引。著書に『四十路越え!』(ワニブックス)、上野千鶴子氏との共著に『快楽上等! 3.11以降を生きる』(幻冬舎)がある。

構成/本庄真穂

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