今月のコトバ「AI(人工知能)」

文/相川藍(あいかわ・あい)
イラスト/白浜美千代

今月のコトバ「AI(人工知能)」

ボディスーツをまとったAI

AIとはArtificial Intelligence(=人工知能)の略。この言葉が初めて使われたのは1956年だそうだが、一般に普及したのはたぶん21世紀に入ってから。スピルバーグの映画『A.I.』(2001)が公開された頃ではないだろうか。愛をインプットされた少年型ロボットの悲劇を描いた作品で、ラストシーンを思い出すと今も泣けてくる。だが、思い返せばその感動は「AIが人間に追いつくはずはない」という甘い認識が前提だった。

時代は変わった。アカデミー賞視覚効果賞を受賞した『エクス・マキナ』(2015)を見て、悲劇はAIではなく人間のほうに起きるのだと思い知らされた。この映画の主役は、世界初の実用レベルのAIを搭載した女性型ロボット「エヴァ」。顔と手足の先だけが人間の肌で、髪はない。ウエスト回りはスケルトンで、キラキラした内部構造が透けて見える。彼女に対話テストをする男は、そんなエヴァに魅了される。逆に男がテストされ、次第に翻弄されていくのだ。

なぜ、このような「ひと目で機械とわかる女」が魅力的なのだろう。エヴァを演じた女優の魅力に加え、セクシーさの決め手はボディの質感だったと思う。メッシュのボディスーツで覆われたカラダには情感のようなものが漂い、キラキラとのコントラストが美しすぎた。人間の知能を超えたAIが、人間の美しさを超えたロボットに搭載されたなら、その力は計り知れない。私たち人間は、人間になれないAIに同情している場合ではないのである。

パンツ数えアプリは必要か?

AIが猛スピードで進化している一方、人間の知能は猛スピードで退化しているような気がする。何でもかんでもググっているうちに、私たちは忍耐力も記憶力も想像力も失ったのではないか。初めての場所へ行くときなど、もはや自力で時間通りにたどり着ける自信はない。実際、スマホへの過度な依存による「デジタル認知症」が、若者を中心に急増しているそうだ。

アップルストアに「ZanQy(ザンキー)」という自動洗濯物管理アプリを見つけたときは、人類の未来が本気で心配になった。「残機(ザンキ)」はプレイヤーに残されたアイテム数を表すゲーム用語で、このアプリはパンツの残り枚数を警告してくれるもの。手持ちのパンツの枚数を登録しておくと、洗濯の日まで1日1枚ずつ減っていき、手動で減らすことも可能とか。

このアプリを使わずにすむよう、十分な数のパンツをストックしておきたいと心から思う。だが、どんなパンツをどんな頻度で購入すべきかアドバイスしてくれるおしゃれで可愛いアプリがあったら、ちょっと使ってみたいな。などと考えている自分の未来こそを、まずは心配すべきかもしれない。

愛情だけは失いたくないけれど

AIのおかげで世の中は便利になった、なんて呑気に構えてはいられない。人間がAIに奪われつつある職業は、既にたくさんあり、カウンセラーのような仕事でさえ、AIが担いはじめていると聞く。結婚相談所では、AIが個人データを分析し、ベストな相手を探し出すシステムを開発しているようだ。

知性も美貌もAIに負けてしまった場合、人間の最後の強みは、やはり愛情ではないかと思う。人間が愛情や愛着を育むポイントとなるのが、脳内ホルモンのひとつ、オキシトシンだ。家族や恋人やペットと同じ空間で過ごしたり、スキンシップをすると、脳の下垂体後葉から分泌される。愛情ホルモンともいわれ、精神を安定させ、安らぎや幸せを感じることができるという。

最近は、オキシトシンのスプレーが市販されていて、VOGUE JAPAN 8月号の恋愛記事によると「狭い空間で二人でいるのが息苦しいようなら、室内にまいてみることも一つの手」だって。なんだか愛情でもAIに負けそうな気が......。

相川藍(あいかわ・あい) 言葉家(コトバカ)。ランジェリー、映画愛好家。最近いいなと思ったのは、映画「暗くなるまでこの恋を」で妻(カトリーヌ・ドヌーブ)の裏切りに気づいた夫(ジャン=ポール・ベルモンド)が、彼女の下着を次々と暖炉で燃やすシーン。

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