2025.01.22

【特集】おとな世代の「⼈間ドック」#03

更年期ドックの結果診断にアドバイス!

「クレアージュ東京 レディースドッククリニック」総院長
浜中聡子先生

さて前回は、「クレアージュ東京 レディースドッククリニック」にて、エディターが更年期ドックを実際に体験。今回はその結果を総院長である浜中聡子先生に見てもらいながら、年齢を重ねた女性が気をつけて見ておくべき数値について、詳しく教えてもらいます。

「まさか私が…」
意外な数値のオンパレード

某月某日の夕方のこと。待ちに待った更年期ドックの検査結果が郵送で届きます。ドキドキしながらその封を開けてみたところ、驚きの判定に目玉が飛び出てしまったエディター。これまで受けてきた人間ドックはA判定ばかりで、実のところ少し高を括っていたのです。ところがC判定、さらにD判定まであり、自分の目を疑うばかり。ただ何度眺めても、その判定が変わることはありません。同封された「更年期解説シート」「結果報告書の見方について」と照らし合わせながら何度も読み直し、まずは取材日を待つことにしました。

更年期女性が見るべきは、
女性ホルモンの数値

さて、取材当日。不安感丸出しの表情をしているエディターに「D判定が出て驚いたでしょう」と冷静に、かつやさしい言葉をかけてくれる浜中先生。「さて、ひとつずつ丁寧に見ていきましょう」と、言葉を尽くしての解説が始まりました。

「まず更年期ドックで見るべきは、女性ホルモンの数値です。まず女性ホルモンは、年齢を重ねるにつれて、卵巣から分泌される女性ホルモンの一種、エストラジオール(E2)が低下し、脳の下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH)が増加していきます」

今回の数値を見てみると、E2は分泌されているものの、FSHは目安の数値を超えています。

「これは少しずつ機能低下が始まっている卵巣に対し、脳から強くFSHを分泌して『ホルモン出せ、出せ』と刺激している、ということ。卵巣がまだ反応しているのでこの数値が出ていますが、さらに卵巣の機能低下が進むと、E2の数値が下がっていきます。これが閉経へと至るルートなんです」

そう説明しながら「知っておいてほしいのは」と続ける先生。「このホルモンの変動は、病気でもなんでもなく、更年期を迎えた女性なら誰もがたどる流れだということです。一喜一憂するのではなく、自分が更年期のどの位置にいるのか、それを知るバロメーターだという認識を深めてください」

数値の変化は、
典型的な中年女性そのもの

続いて、C判定が出た軽度の骨密度低下について、こう解説してくれました。「女性ホルモンは骨からカルシウムが溶け出すのを抑える働きがあります。このため女性ホルモンが低下する閉経期から骨密度が急激に低下していくのです。適度な運動、1日15分ほどの日光浴、またカルシウムやビタミンDを意識した食事を心がけるようにしてください。骨形成を促す栄養剤などを、今の時点から摂取してもいいかもしれませんね」

さらにD 判定が出た甲状腺ホルモン値の低下について、「今回の数値を見る限りでは、おそらく治療の必要はないでしょう。ただ、倦怠感や気分の落ち込み、皮膚の乾燥などの症状がみられる『甲状腺機能低下症(橋本病)』や、動悸や発汗、イライラの症状が見られる『甲状腺機能亢進(こうしん)症(バセドウ病)』は、年齢を重ねた女性が更年期症状と間違えてしまいがちなもの。たとえば3カ月後にもう一度数値を測るなど、定期的にチェックするといいかもしれません」と教えてくれました。

ほかにも総コレステロール値の上昇など、今回の更年期ドックで認められたのは、女性ホルモンの低下が原因とみられるものが多数。自分が「順当に中年女性の道のりを歩んでいる」ことを改めて実感する健診となったのです。

40代に入ったら、
女性ホルモン値の検査を

「改めてになりますが、まず更年期を過ごしている女性に伝えたいことがあります。それは、この年齢で問題がない人などどこにもいない、ということです。ここまで無事に生きてこられたということは、日々何かしらで肉体を駆使してきたということ。どこかにガタが出てくる、それが当然なのです」

だからこそ、40代に入ったならば、生理不順や月経痛などの問題がなかったとしても、「定期的に女性ホルモン値の検査をしてほしい」とのこと。

「そうすれば、自分がプレ更年期に差しかかってきたとか、更年期に突入したとか、数値で知ることができ、早め早めの対応ができますよね。たとえば閉経が早い女性は、骨密度の低下もコレステロール値の上昇も、おそらく人より早いでしょう。辛い辛いと症状を嘆くのではなく、定期的に検診を受けて先に健康管理を徹底していく。そのほうがよっぽど賢いと思うのです」

改めて、更年期だからこそ注目すべき検査箇所を聞いてみると、「からだ全体を眺めたときに、重要な場所・そうでない場所という区分はないんです。今回は更年期ドックということで女性特有の箇所にフォーカスしているけれど、緑内障や白内障の起因となる眼圧の検査や、少しずつ弱まっていく聴力の検査も実はすごく大事。繰り返しになりますが、この年齢になればマイナートラブルはつきものです。だからこそ人間ドックでトータルにとらえて、パーソナルに必要な治療を受けていく。それが健やかに年齢を重ねていくコツなのではないかと思っています」

更年期の健診選びのためのチェックリスト。チェックがついた項目が多い場合、健診を検討してみましょう。項目1:乳がん、子宮がん、卵巣がんほか、婦人科疾患の検診を受けていない、項目2:その他胃がん、大腸がんなどのがん検診を受けていない、項目3:月経痛や不正出血がある、項目4:月経周期が乱れている、項目5:更年期かもと思う日々の不調がある、項目6:胸のしこり、ひきつれが気になる

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  • 浜中聡子(はまなか さとこ)
  • 浜中聡子(はまなか さとこ) 医学博士。北里大学大学院医学部卒業。女性のためには「前向きに年齢を重ねていくこと」の重要性を感じ、日本抗加齢医学会専門医、国際アンチエイジング医学会(WOSAAM)専門医、米国抗加齢医学会(A4M)専門医、米国先端医療学会(ACAM)などの資格を多数取得。精神と身体の両面からケアすることを得意としながら、「ウェルエイジング」を提唱し臨床現場に立っている。著書に『美人増髪計画』『アフター更年期からの不調を治す50の習慣』など。
構成・文/本庄真穂
デザイン/日比野まり子
イメージイラスト/Shutterstock.com

【特集】おとな世代の「⼈間ドック」(全3回)