2022.04.13

【特集】今からできる髪つや対策#03

シャンプーとブラッシングで「つや」を装う

毛髪診断士 本山典子さん

---- つやのある髪はなぜ美しく見えるのでしょうか? シリーズ3回目は、そのメカニズムを知ったうえで、手軽につやを出すコツを、専門家とともに学んでみましょう。また、毎日行うシャンプーやブラッシングも意識するポイントを押さえると、髪質は変化します。ぜひ参考にしてください。

つや髪に見せる
秘訣とは?

長年、直毛だと思っていた髪の毛が「最近うねってない? こんなにくせっ毛だった?」と感じることはありませんか? 実は、うねりやくせ毛を判断するのは、水分と油分のバランスです。ちょうど半々くらいのバランスの場合は、髪の毛の断面は円形となり、直毛になります。一方、このバランスが少しでもくずれてしまうと、断面が“ゆがみ”、“うねり”や“くせ毛”になります。

直毛とくせ毛の断面図

髪の水分や油分量は、髪のダメージ具合や雨など外側からの影響も受けますが、からだの内側からの影響も受けています。この割合はホルモンバランスによっても変わるので、ホルモンの変化が起こりやすい40~50代で、髪の性質が変わり、くせっ毛になったと感じる人もいるのです。

さて、髪の毛は1本では、つやがあるかないかはわかりません。つやとは、均一に並んだ毛束に光が反射したときに感じる美しさです。うねりやくせ毛によってバラバラの方向を向いた髪の毛は、束になっても均一に見えず、そこにつやは感じられません。ですが、ヘアアイロンですぐにつやのある髪に見せることは可能です。熱の力で髪を同じ方向に向かせ、均一の羅列をつくれば、その毛束にはつやが感じられ、美しく見えます。

そしてもうひとつ。ヘアアイロンよりも手軽で、バラバラになった髪を手軽に整え、少しでも均一化させてつやを出すのがブラッシングです。

シャンプー中のブラッシングで
つやのある髪に!

みなさんは1日にどのくらいブラッシングをしていますか? お出かけする前だけ? 休日はブラシをしない、そんな人もいるかもしれませんね。ブラッシングのつや効果は絶大ですよ。毛束の流れを整えるだけでなく、皮膚に直接触れるので、触覚に刺激が届いて、頭皮の血流にも影響します。血流がつやにどれだけ大事かという話は#01「つやの減少は女性ホルモンと密接な関係が」でも触れたとおりです。

毛髪診断士 本山典子さん

出かける前にささっとブラシでひとなでするのではなく、朝起きたあと、リモートワーク中なら仕事の合間にも、頭皮にピタッとブラシのピンを当てて、しっかりとブラッシングを行いましょう。ブラッシングでぜひ試していただきたいのが、シャンプー専用のブラシを使って行うシャンプー中のブラッシングです。髪の汚れが落ちやすいとシャンプーの前に行うのが一時流行しましたよね。それもいいのですが、私はシャンプー中に使える専用ブラシを使って、そして洗い流しながらのブラッシングを強くおすすめします。

シャンプー中のブラッシングは、泡立てたあと頭皮を洗うイメージで、毛の流れをつくりながらザッザッザッと程よい力で行ってください。頭皮全体の汚れも取れますし、マッサージ効果もあるので、硬くなった頭皮をやわらかくする効果もあります。後頭部には、首から頭頂部に向かってブラシを入れたり、側頭部は上から下に縦向きにブラシを入れたり、前頭部は、生え際よりも手前の眉毛の上あたりからブラシを入れても気持ちよく、効果があります。

毛髪診断士 本山典子さん

そして、すすぐときにもぜひブラッシングを。シャンプー剤もきれいに洗い流せて、とてもさっぱりしますよ。朝、交感神経を優位にしてシャキッとしたいときには、ブラッシングをスピーディに、逆に夜のシャンプーでリラックスモードになりたいときにはゆっくりとしたリズムで。ブラッシングは五感のうち、原始的な部分を司る触感を刺激します。触感でここちよく感じることは、ストレスホルモンの減少にもつながり、ストレスが減ることで、血流もよくなり、髪のつやにも効果が期待できます。ぜひ一度試してみてください。
*シャンプー専用のブラシをご使用ください。

つや髪をつくる
シャンプーの選び方

みなさんは何種類のシャンプーをバスルームに置いていますか? 人の皮膚は、特に、ゆらぎ世代~おとな世代の40代以降の女性の場合、コンディションやストレス、季節、天気など、ちょっとした変化に反応し、毎日同じとは限りません。毎日同じシャンプーを使うよりも、その日のコンディションや気分など、日によって違うものを使うほうが、自分自身の観察にもなりますし、頭皮や髪のコンディションや髪質向上にもつながります。適度な日数をあけて違うシャンプーを使い、3種類ぐらいを常備するのが理想的です。軽いさっぱり系の仕上がりと、重たいしっとり系の仕上がりのもの、その中間の3種類。おとな世代の頭皮にはやさしいアミノ酸系のものや天然由来成分が多いものなどが、おすすめです。トリートメントも同様、3種類を用意しておくといいでしょう。ほかにも、自分の好きな香りのものもそろえておくとストレスケアに有効です。

毛髪診断士 本山典子さん

私は、幼いころに体験したプロのシャンプーがここちよすぎて、「あの気持ちよさを味わって欲しい。人にシャンプーがしたい」と美容師免許を取ったほどのシャンプー好きです(笑)。私にとって、シャンプーとブラッシングの掛け合わせは、つや髪には欠かせないルーティン。さらに愛用のブラシなどは、4月27日公開「マイ・ルーティン」でご紹介します。

----シャンプー中のブラッシング、一度気持ちよさを体感できたら、さらにクセになって習慣になりそうです。次回は、髪のつやを高める食や運動など生活習慣についてお伝えします。

  • 本山典子 毛髪診断士。短大卒業後、「シャンプー好き」が高じて美容師免許を取得。美容学校教職員、美容室勤務を経て、ヘアケア商材を扱うメーカーに入社。ヘアケアメーカーの事業部長として企画開発、営業、販売などに携わり、毛髪ケアの独自スキルを活かして世界12カ国でヘアケア指導を行う。毛髪理論だけでなく人体構造学、漢方学、五感学に通じ、身心に働きかける「本山メソッド」が国内外で評価され話題に。2015年、(社)国際毛髪皮膚科学研究所代表理事に就任。著書に『正しいケアで毎日が輝く! 毛髪診断士のときめき美髪BOOK魔法のシャンプー&スカルプストレッチ』(メイツ出版)など。
取材・文/大庭典子
撮影/望月みちか
デザイン/日比野まり子
イメージ写真/shutterstock.com