KCI収蔵品の補修、保存を行う「補修室」より日々の奮闘を綴ります。

今回はドレスをマネキンに着せ付けるための備品の一つである「着せ付け用クリノリン」を紹介します。
西洋では、1850年代後半からスカートのシルエットが大きく膨らみ、その膨らみを出すための下着としてワイヤー入りのクリノリンが発明されました。KCIは当時のクリノリンを何点か所蔵していますが、収蔵品の保存の観点から、それらを着せ付けのために使用することが出来ません。そのため、収蔵品のクリノリンからパターンを取り、シーチングと鉄のワイヤーを使って、ほぼ同じ形の「着せ付け用クリノリン」を作りました。
さらに、クリノリンの上に着せるペチコート、また、チュール付きのペチコートも製作しました、これらは、それぞれのスカートの膨らみに応じ、ペチコートの枚数やチュールの分量の使い分けをしています。

着せ付け備品の中でも一番大きなものになり、着せ付ける際は二人がかり、三人がかりで着せ付けることもあります。大きなシルエットを出すための着せ付け用クリノリンは、KCI補修室の必須アイテムの一つです。
© The Kyoto Costume Institute
(KCI広報誌『服をめぐる』第18号 2021年12月発行より)
(KCI広報誌『服をめぐる』第18号 2021年12月発行より)
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- 京都服飾文化研究財団(KCI) 京都服飾文化研究財団(The Kyoto Costume Institure, 略称KCI)は、西欧の服飾やそれにかかわる文献や資料を体系的に収集・保存し、研究・公開する機関です。現在18世紀から現在までの服飾資料を約13,000点、文献資料を約20,000点収蔵。それらを多角的に調査・研究し、その結果を国内外の展覧会や、研究史の発行を通じて公開しています。 https://www.kci.or.jp/