珍品奇品も数多いKCIの収蔵庫 -- そこはまさに「驚異の部屋」。

素材:木、セルロイド、皮革、エナメル塗料、ガラス、メタル
原産地:フランス
製作年:1925年頃
およそ100年前の光り輝く摩天楼、ニューヨークへ行ってみよう。アールデコ建築を代表するエンパイア・ステート・ビルやクライスラー・ビルが見える。それはその建造物の一部なのだ!……そう言いたくなるような荘厳で見事な装飾。しかし、これを見つけるにはビルではなく、もっと街なかをズームインせねばならない。キラリと光る、わずか5センチのかかと、それがこれなのだ。
本品は靴を注文誂えする際に使用されたヒールのサンプル。当時の上流階級の女性達に愛されたタイプのもので、あまりの細工の美しさから「ジュエルド・ヒール」と呼ばれた。摩天楼の煌めきにも似た、当時の職人技が凝縮された逸品である。

リュシアン・ヴォージェル編集『La Gazette du Bon Ton』
1924年刊行 京都服飾文化研究財団所蔵
1924年刊行 京都服飾文化研究財団所蔵
© The Kyoto Costume Institute
(KCI広報誌『服をめぐる』第16号 2020年11月発行より)
(KCI広報誌『服をめぐる』第16号 2020年11月発行より)
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- 京都服飾文化研究財団(KCI) 京都服飾文化研究財団(The Kyoto Costume Institure, 略称KCI)は、西欧の服飾やそれにかかわる文献や資料を体系的に収集・保存し、研究・公開する機関です。現在18世紀から現在までの服飾資料を約13,000点、文献資料を約20,000点収蔵。それらを多角的に調査・研究し、その結果を国内外の展覧会や、研究史の発行を通じて公開しています。 https://www.kci.or.jp/