欠損部の製作補充③

今日の補修室/Today’s Restoration Room 第15回

文/伊藤ゆか(京都服飾文化研究財団)
写真/成田舞(Neki. inc.)
作図/Neki. inc.

KCI収蔵品の補修、保存を行う「補修室」より日々の奮闘を綴ります。

前回から、1775年頃に製作されたドレス(ローブ・ア・ラ・フランセーズ)の欠損部分の補充をご紹介しています。このドレスは、ローブの前中心部分に見事な装飾が施されています。しかし、左身頃の装飾部分がネックラインの少し下から30cm近く欠損していました。KCIで欠損部の製作補充を行う二つの条件(欠損によって衣服の機能やデザインが著しく損われていること、現存している部分をもとに欠損前の状態を推量できること)を満たしていたため、2009年に京都国立近代美術館で開催した「ラグジュアリー:ファッションの欲望」展に出展するにあたり、本品の欠損部を補充することになりました。

前回では、装飾部の土台となる生地を製作し、その生地を縁取るブレードの素材としてコード(注1)、糸、モールの3種類を準備しました。
今回は、いよいよ装飾部を完成させていきます。まずはブレードの製作からですが、ブレードには2種のフライフリンジ(注2)が織り込まれていました。以下で製作の手順を紹介します!

注1:コード … 複数の糸をより合わせた細い紐 注2:フライフリンジ … 結び玉や房で作った装飾


ドレス(ローブ・ア・ラ・フランセーズ)
ドレス(ローブ・ア・ラ・フランセーズ)
1775年頃 フランス製
京都服飾文化研究財団所蔵 広川泰士撮影

① フライフリンジの製作
オリジナル同様の2種のフライフリンジを製作。
芯糸(コードを使用)に、違った結び方で糸を結びつける。

1 フライフリンジの製作

② ブレードを織る
簡易な織機を作り、経糸を張ったのち、①のフライフリンジ2種、コード、モールを緯糸としてブレードを織る。

2 ブレードを織る

③ ドレスに縫い留める
前回で製作しておいたストライプ生地をオリジナル同様3.5cm幅に折り、両端に②のブレードを縫い留める。オリジナル同様ギャザーを寄せながらドレスの欠損部に縫い留め、完成!

2 ブレードを織る
© The Kyoto Costume Institute
(KCI広報誌『服をめぐる』第15号 2020年3月発行より)
  • 京都服飾文化研究財団(KCI)
  • 京都服飾文化研究財団(KCI) 京都服飾文化研究財団(The Kyoto Costume Institure, 略称KCI)は、西欧の服飾やそれにかかわる文献や資料を体系的に収集・保存し、研究・公開する機関です。現在18世紀から現在までの服飾資料を約13,000点、文献資料を約20,000点収蔵。それらを多角的に調査・研究し、その結果を国内外の展覧会や、研究史の発行を通じて公開しています。 https://www.kci.or.jp/

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