欠損部の製作補充②

今日の補修室/Today’s Restoration Room 第14回

文/伊藤ゆか(京都服飾文化研究財団)
写真/成田舞(Neki. inc.)

KCI収蔵品の補修、保存を行う「補修室」より日々の奮闘を綴ります。

今回は、1775年頃に製作されたドレス(ローブ・ア・ラ・フランセーズ)の欠損部分を補修した事例をご紹介します。

このドレスは、ローブの前中心部分に見事な装飾が施されています。しかし、左身頃の装飾部分がネックラインの少し下から30cm近く欠損していました。前回で記した欠損部の製作補充を行う二つの条件(欠損によって衣服の機能やデザインが著しく損なわれていること、現存している部分をもとに欠損前の状態を推量できること)を満たしていたため、2009年に京都国立近代美術館で開催した「ラグジュアリー:ファッションの欲望」展に出展するにあたり、本品の欠損部を補充することになりました。

ドレス(ローブ・ア・ラ・フランセーズ)
ドレス(ローブ・ア・ラ・フランセーズ)
1775年頃 フランス製
京都服飾文化研究財団所蔵 広川泰士撮影
(作図:Neki inc.)

まず、土台となる生地の製作からとりかかりました。オリジナルの土台の生地は、2色の経糸によるストライプ柄のシルクサテンに、浮いた緯糸で水玉が織り出されています。これらの柄をKCIで製作できる染色と刺繍で表現することになりました。まず市販のシルクサテンをオリジナルと同じ色味のストライプに染め上げました。その上に、浮いた緯糸で織り出されていた水玉に似せて、水玉を刺繍していきました。

次にブレード(幅の狭い組紐のこと)の製作に取りかかりました。オリジナルのブレードはコード・糸・モールの3種類でできていました。これと近い素材が使われているブレードを市販のものから探し出し、ほどいて必要な糸類を取り出し、それぞれ染色しました。これでようやく素材の準備が整いました。これらの材料で装飾を作り上げる工程は次回ご紹介していきましょう。

© The Kyoto Costume Institute
(KCI広報誌『服をめぐる』第14号 2019年11月発行より)
  • 京都服飾文化研究財団(KCI)
  • 京都服飾文化研究財団(KCI) 京都服飾文化研究財団(The Kyoto Costume Institure, 略称KCI)は、西欧の服飾やそれにかかわる文献や資料を体系的に収集・保存し、研究・公開する機関です。現在18世紀から現在までの服飾資料を約13,000点、文献資料を約20,000点収蔵。それらを多角的に調査・研究し、その結果を国内外の展覧会や、研究史の発行を通じて公開しています。 https://www.kci.or.jp/

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