欠損部の製作補充①

今日の補修室/Today’s Restoration Room 第13回

文/谷智恵美(京都服飾文化研究財団)
写真/成田舞(Neki. inc.)

KCI収蔵品の補修、保存を行う「補修室」より日々の奮闘を綴ります。

KCIでは、補修・修復として欠損部の製作補充を行うことがあります。ここでは、これまでKCIで行った欠損部の補充をご紹介します。
欠損部の製作補充を行うには二つの条件があります。一つが、欠損によって衣服の機能やデザインが著しく損なわれていると判断した場合、もう一つが、現存している部分をもとに欠損部の状態を推し量ることができる場合です。

今回は、1902年のレドファン(テイラード・スーツで名をはせたイギリスのブランド)のコートのカフス(袖口)を欠損補充した事例を紹介します。
KCIでこのコートを収蔵した当初、見事な装飾が施された右カフスは残っていましたが、左カフスは取り外され欠損していたため、外見を損なっていました。現存する右カフスをもとに左カフスの製作補充が可能と判断し、左カフスが製作されることになりました。

欠損部を製作するため、まずは、残っている右カフスがどのような素材でどのように縫われているか、内部構造を詳しく調べました。調査により、右カフスは刺繍した生地を土台の生地に重ね、アップリケした二重構造と判明しました。適した素材を選定したのち、左カフスの製作に取りかかりました。

欠損部を製作補充した収蔵品
欠損部を製作補充した収蔵品
レドファン
コート 1902年頃
© 京都服飾文化研究財団
(作図:Neki inc.)

a. 花/三重のサテン・ステッチ。1層目と3層目は同方向、2層目はそれらと直角方向に刺すことでぷっくりとした厚みが出る
b. 葉/ロング・アンド・ショート・ステッチ
c. 茶とベージュのコードをコーチング・ステッチでとめる
d. 茶のナット・ステッチ
e. 生地を切り抜き、レースを裏からあてる
f. ブレードをつける

© The Kyoto Costume Institute
(KCI広報誌『服をめぐる』第13号 2019年7月発行より)
  • 京都服飾文化研究財団(KCI)
  • 京都服飾文化研究財団(KCI) 京都服飾文化研究財団(The Kyoto Costume Institure, 略称KCI)は、西欧の服飾やそれにかかわる文献や資料を体系的に収集・保存し、研究・公開する機関です。現在18世紀から現在までの服飾資料を約13,000点、文献資料を約20,000点収蔵。それらを多角的に調査・研究し、その結果を国内外の展覧会や、研究史の発行を通じて公開しています。 https://www.kci.or.jp/

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