レプリカ(複製品)の製作②

今日の補修室/Today’s Restoration Room 第11回

文/谷智恵美(京都服飾文化研究財団)
写真/成田舞(Neki. inc.)

KCI収蔵品の補修、保存を行う「補修室」より日々の奮闘を綴ります。

レプリカのもととなったオリジナルのコルセットは、鯨の髭、籐、鉄、 綿サテン、麻布から成る。
レプリカのもととなったオリジナルのコルセットは、鯨の髭、籐、鉄、 綿サテン、麻布から成る。

前回に続き、服飾品のレプリカ(複製品)製作をご紹介します。今回取り上げるのは、KCIが所蔵する1775年頃のコルセットのレプリカ製作です。コルセットとはからだのラインを補正しドレスのシルエットを形成するための下着です。18世紀のコルセットにはからだに添わせるために細いボーン(骨組)が複数内蔵されていました。

本品は、1989年の「華麗な革命」展(主催:京都国立近代美術館、KCI)でマネキンに着せつけて展示するために作られました。当初はオリジナルのコルセットを着装する予定だったのですが、コルセットの生地や刺繍糸の劣化が激しいため二ヶ月間の展示には耐えられないと判断し、展覧会のわずか二ヶ月前にレプリカ製作が決定されました。当時KCIではすでにレプリカ製作を行っていましたが、あくまでオリジナルのドレスを補うための小物や下着類の製作だったので、レプリカを展示の主役として使うのは新たな挑戦でした。

オリジナルのコルセットには鯨の髭がボーンとして使用されており、本品に挿入されている鯨の髭は全部で162本に及びます。レプリカでは鯨の髭に代わる素材としてABS樹脂を採用しました。表地には、染色工場でオリジナルに近い色に染めてもらった綿サテンを使用しました。

「華麗な革命」展は京都の後ニューヨーク、パリと3都市を巡回しましたが、マネキンにはレプリカを着せつけ、オリジナルは負荷がかからないよう平置きで展示することができました。

ミシン針であけた穴を目打ちでさらに大 きくしている様子。
ミシン針であけた穴を目打ちでさらに大 きくしている様子。
裏を覆う前の状態。
裏を覆う前の状態。
コルセットの裁断図
コルセットの裁断図
© The Kyoto Costume Institute
(KCI広報誌『服をめぐる』第11号 2018年11月発行より)
  • 京都服飾文化研究財団(KCI)
  • 京都服飾文化研究財団(KCI) 京都服飾文化研究財団(The Kyoto Costume Institure, 略称KCI)は、西欧の服飾やそれにかかわる文献や資料を体系的に収集・保存し、研究・公開する機関です。現在18世紀から現在までの服飾資料を約13,000点、文献資料を約20,000点収蔵。それらを多角的に調査・研究し、その結果を国内外の展覧会や、研究史の発行を通じて公開しています。 https://www.kci.or.jp/

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