KCI収蔵品の補修、保存を行う「補修室」より日々の奮闘を綴ります。

レプリカの元となった収蔵品
ドレス 1810年頃
京都服飾文化研究財団所蔵 小暮徹撮影
白の綿モスリンに毛糸の刺繍が施されたワンピース・ドレス。
ドレス 1810年頃
京都服飾文化研究財団所蔵 小暮徹撮影
白の綿モスリンに毛糸の刺繍が施されたワンピース・ドレス。
今号から数回にわたり服飾品のレプリカ(複製品)製作についてご紹介していきます。初めに取り上げるのは、19世紀初頭の綿モスリン製ドレスのレプリカ製作です。
フォルムを忠実に再現するため、まず実物のドレスからパターン(ドレス製作用設計図)をとります。パターンをとるには、生地の地の目に沿って糸で方眼状のガイドを作ります。そしてドレスの各パーツをメジャーで細かく採寸し、5分の1の縮尺でパターンを製図します。その後実物大に置き換え型紙を作ります(※)。
パターンをとったのちドレスを製作します。まずオリジナルがどのような素材でどのように縫われているかを詳しく調べ記録します。今回はレプリカの素材として、生地には白い綿ローンを使うことにしました。オリジナルのドレスには毛糸の刺繍糸が3色使われていましたが、ぴたりと色が合う市販の毛糸が見つからず、3色とも染色工場で染めていただきました。糸ができたら、全て手縫いで刺繍を施していきました。
こうして製作したレプリカは、学芸員資格取得に必要な博物館実習などで教材として活用しています。(本品レプリカ製作担当:塩野美津恵・伊藤ゆか)

(図作成:坂田佐武郎(Neki.inc.))
(※)本誌第 6号「今日の補修室 第6回 パターンをとる」 も合わせてご覧ください。KCI ホームページでPDF版をご覧いただけます。
京都服飾文化研究財団(KCI)広報誌『服をめぐる』第6号
© The Kyoto Costume Institute
(KCI広報誌『服をめぐる』第10号 2018年7月発行より)
(KCI広報誌『服をめぐる』第10号 2018年7月発行より)
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- 京都服飾文化研究財団(KCI) 京都服飾文化研究財団(The Kyoto Costume Institure, 略称KCI)は、西欧の服飾やそれにかかわる文献や資料を体系的に収集・保存し、研究・公開する機関です。現在18世紀から現在までの服飾資料を約13,000点、文献資料を約20,000点収蔵。それらを多角的に調査・研究し、その結果を国内外の展覧会や、研究史の発行を通じて公開しています。 https://www.kci.or.jp/