衣装補修のビフォー・アフター③

今日の補修室/Today’s Restoration Room 第9回

文/伊藤ゆか(京都服飾文化研究財団)

KCI収蔵品の補修、保存を行う「補修室」より日々の奮闘を綴ります。

今号は、1895年製絹サテンのドレスの補修をご紹介します。このドレスには、サテン地全体に縦裂けが多数あり、ボディスとスカートの装飾レースにも破れと欠損が多くありました。
ドレス ドレス
1895年頃 フランス
京都服飾文化研究財団所蔵 広川泰士撮影
日本的な草花文様の織り出されたピンクの絹サテンのツーピース・ドレス。パールを留め付けたレースの装飾付き。
ここでは、スカートに施した装飾レースの補修を取り上げましょう。レースは劣化が進んでいたため、合印をしてからレースを一時的に外し、伸ばしてから絹チュールで全体を裏打ちしました。チュールの裏打ちは、網地の形を利用し編み糸を留めるようにして行っています。また欠損している所は、さらに欠損や破れが広がるのを防ぐため補いました。欠損部分はチュールを二重にし、あらかじめ作成しておいた図案をもとに刺繍をしていきました。糸には、19世紀の金糸や、現在の絹手縫い糸をオリジナルの色に合わせて染めた糸を使用しました。 ウォルト イヴニング・ドレスの補修前・補修後 © The Kyoto Costume Institute
(KCI広報誌『服をめぐる』第9号 2018年3月発行より)
京都服飾文化研究財団(KCI)

京都服飾文化研究財団(KCI) 京都服飾文化研究財団(The Kyoto Costume Institure, 略称KCI)は、西欧の服飾やそれにかかわる文献や資料を体系的に収集・保存し、研究・公開する機関です。現在18世紀から現在までの服飾資料を約13,000点、文献資料を約20,000点収蔵。それらを多角的に調査・研究し、その結果を国内外の展覧会や、研究史の発行を通じて公開しています。
https://www.kci.or.jp/

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