衣装補修のビフォー・アフター②

今日の補修室/Today’s Restoration Room 第8回

文/上山尚子(京都服飾文化研究財団)
写真/成田舞(Neki. inc.)

KCI収蔵品の補修、保存を行う「補修室」より日々の奮闘を綴ります。

今回ご紹介するのは、1900年頃に作られたパリの高級仕立服店「ウォルト」製ドレスの補修です。
ウォルト イヴニング・ドレス ウォルト イヴニング・ドレス
1900年頃 フランス
京都服飾文化研究財団所蔵 広川泰士撮影
この作品はKCIに来た当初、ドレス全体の生地の弱りや破れに加え、スパンコールが沢山落ちたり、シュニール糸(モールのように毛羽立った飾り糸)が外れたりと、かなりダメージがありましたが、全体に大掛かりな補修を行い、元の姿を蘇らせました。まず生地を補修布(今回は絹の羽二重とチュール地)で裏打ちしたあと、シュニール糸の痕跡をたどって、元の位置に縫い留め直していきました。同時に、ドレス全体に付いていたスパンコールは、生地に付着した緑青の痕跡から位置と大きさを特定し、元通りに付け直しました。このように装飾の修復の際は、オリジナルの装飾の付け跡を根気よく見つけていくことが重要です。

きらびやかな雰囲気を取り戻したこの作品は、2009年に京都国立近代美術館と東京都現代美術 館で開催された「ラグジュアリー ファッションの欲望」展に出展されました。 ウォルト イヴニング・ドレスの補修前・補修後
ウォルト イヴニング・ドレスの補修前・補修後 © The Kyoto Costume Institute
(KCI広報誌『服をめぐる』第8号 2017年11月発行より)
京都服飾文化研究財団(KCI)

京都服飾文化研究財団(KCI) 京都服飾文化研究財団(The Kyoto Costume Institure, 略称KCI)は、西欧の服飾やそれにかかわる文献や資料を体系的に収集・保存し、研究・公開する機関です。現在18世紀から現在までの服飾資料を約13,000点、文献資料を約20,000点収蔵。それらを多角的に調査・研究し、その結果を国内外の展覧会や、研究史の発行を通じて公開しています。
https://www.kci.or.jp/

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