補修用の糸

今日の補修室/Today’s Restoration Room 第5回

文/福嶋英城(京都服飾文化研究財団)
写真/成田舞(Neki. inc.)

KCI収蔵品の補修、保存を行う「補修室」より日々の奮闘を綴ります。 まずドレスを計測し、ウエストのジョイント部を調節して時代マネキンの背丈やからだの傾斜角度を調節します。 オリジナルの生地に補強用の絹地を縫い留めています。細かいステッチが走っているのが見えるでしょうか? 息を吹きかけると遠くへ飛んでいってしまいそうな軽くて細い糸。これはKCIの補修室で使われている補修用の糸です。「スタビリテックス」という名称で、素材はポリエステル。糸は平織の布状にされており、使用する際はここから一本ずつ抜いて補修糸とします。補修箇所の素材や状態によっては、細番手の木綿糸や絹糸を使用する場合もありますが、「強すぎず弱すぎず、適度な強度があること、また糸の細さだけでなく糸自体の透明感により補修の跡が目立たないことから、スタビリテックスを使用することが多いです」と補修スタッフは語ります。

実際、目を凝らさなければスタビリテックスを使用した補修の痕跡はほとんどわかりません。適切な補修の背景には、補修スタッフの技術だけでなく、このような特殊な糸の存在があります。 この極細の糸を補修に用います。 この極細の糸を補修に用います。 © The Kyoto Costume Institute
(KCI広報誌『服をめぐる』第5号 2016年11月発行より)
京都服飾文化研究財団(KCI)

京都服飾文化研究財団(KCI) 京都服飾文化研究財団(The Kyoto Costume Institure, 略称KCI)は、西欧の服飾やそれにかかわる文献や資料を体系的に収集・保存し、研究・公開する機関です。現在18世紀から現在までの服飾資料を約13,000点、文献資料を約20,000点収蔵。それらを多角的に調査・研究し、その結果を国内外の展覧会や、研究史の発行を通じて公開しています。
https://www.kci.or.jp/

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