再生コラーゲン繊維に注目! 保温も保湿も追求した「肌美ストHOT」

語り/石田 里代子(企画リーダー)

新発売の「肌美ストHOT」は、世界初※の再生コラーゲン繊維「Luxaire™」を使った生地を採用し、保温だけでなく、さまざまな機能性に優れています。寒い季節にからだを温めてくれるのはもちろん、触れるとしっとりとした生地で保湿性が高く、乾燥が気になる冬におすすめです。再生コラーゲン繊維の魅力や商品が誕生するまでのストーリーを開発担当者に聞きました。

※従来の技術では実現が難しかった、洗濯時の取り扱いやすさと美しい色合いを実現した再生コラーゲン繊維使用の保温性インナーとして。ワコール調べ。
「Luxaire™」は株式会社カネカの出願商標です。

肌美ストHOT

コラーゲンが生地に!? 気になる再生コラーゲン繊維とは

――今回の生地はコラーゲンを含んだ繊維でつくられているというのは本当ですか?

石田 はい、保湿成分として知られているコラーゲンが含まれているのがいちばんのポイントです。牛由来のコラーゲンをわたにしてできた糸を生地にしました。再生コラーゲン繊維は水分率が高く、一般的な綿の2.5倍あるのが特徴です。こちらが、糸になる前のわたです。

保湿成分が含まれているのでしっとりとした感触。
保湿成分が含まれているのでしっとりとした感触。

――ふんわり感はもちろん、しっとりしていますね!

石田 この素材は(株)カネカ様からご提案いただいたのですが、長い間カツラなど頭飾用の繊維として使われているものだそうです。通常なら、繊維に抗菌や防臭の機能をプラスしますが、これは加工しなくてもそういった機能が備わっているのが特徴です。コラーゲンと聞くだけで魅力的なイメージがありますよね。材料の開発担当が女性だったので、とくに盛り上がりながら開発が進みました。

――抗菌や防臭のほかにも機能があるのでしょうか?

石田 保温性や保湿性、制電性、消臭性(汗臭)、ムレにくさも備えています。マイワコールのアンケートでは20~50歳の8割の方が保湿に敏感というデータが出ています。さらに冬の乾燥肌が気になるというお声も届いているので、喜んでいただけるとうれしいですね。店頭でも手ざわりからしっとりしていてやわらかいことが伝わるかと思います。また、繊維に加工をほどこしているものではないので、洗濯を繰り返しても機能性がキープされるのもポイント。この魅力を伝えるべく、ネーミングも早い段階で決まりました。「肌美ストHOT」の「美スト」は「MIST(ミスト)」とかけていて、乾燥肌であるMDのこだわりがつまったネーミングなんです。

石田 里代子

――新しく扱う素材として、苦労もありましたか?

石田 わたの状態からしっとりしているやわらかさが魅力ですが、再生コラーゲン繊維は熱に弱いというデメリットがありました。通常の生地は熱で生地をセットしますが、それができないため生地の編み方や糸の太さ、再生コラーゲン繊維以外との糸との組み合わせなどを検討し、生地は40パターンほど試作を重ねました。同時進行でデザインも進めましたが、寸法が安定しにくいという問題もありましたね。縫製工場への輸送にも通常より気を配りました。

肌美ストHOT

――最終的にリブになったのはどうしてですか?

石田 熱に弱いポリウレタンを使用していないので、その分フィット感を出す目的でリブにして伸縮性を出しています。とろみのある風合いで、見た目よりふわっとした着ごこちで非常に軽やかです。

好みやライフスタイルに合わせて4タイプから選べる

――キャミソール、タンクトップ、2分袖、9分袖の4タイプはどんなふうに決まったのでしょう?

石田 最近は暖冬で、アウターもシーズンレスで多様化していることから、用途に合わせて着まわしできるアイテムをご用意しました。キャミソールについては、好きな方はずっとキャミソールを選ばれる傾向があるので、新規の方にも手に取っていただけるよう着やすいレース付きのベーシックなデザインにしています。2分袖はキャリアの方を意識して、制服の場合も半袖から出ない長さに。長袖は、しっかり手首までおおう9分袖に設定しました。

2分袖は半袖の制服からはみ出ないのがポイント。
2分袖は半袖の制服からはみ出ないのがポイント。

――スクエアネックにした理由は?

石田 アウターから見えないようにするためです。調査の結果、アウターの首まわりのラインから肌着がのぞくことを気にしている方がとても多いとわかったんです。お店にわざわざアウターを持参して、肌着がのぞかないか確認して選ばれる方もいらっしゃると聞いて、何か方法がないかデザイナーと研究しました。開き具合と設計はシンプルなデザインですが、こだわったつくりになっています。

タンクトップ(右)から試作を重ねて、スクエアネック(左)を採用。
タンクトップ(右)から試作を重ねて、スクエアネック(左)を採用。

石田 設計メンバーが量産に向けたパターンを完成させる直前まで、前ネックの見た目の美しさ、洗濯後のそりかえりを検討してくれたことで、このやわらかい素材で新しいラインができました。すべての仕様が決定するまでは、生地がとてもやわらかいため扱いがいつも以上に繊細でしたね。

やわらかい生地だが、洗濯しても形をキープするよう設計。
やわらかい生地だが、洗濯しても形をキープするよう設計。

――最後に、カラーについて教えてください。

石田 濃い色と淡い色が混ざり合った杢(もく)系のカラー展開になるなかで、テッパンとしてグレー杢を採用しました。ほか、アウターと相性のいい紺杢や、ミストをイメージしたアイボリー、やさしいスキンカラーのオレンジとそろえているので、2色買いしていただけるとうれしいですね。

カラーは手前からオレンジ(OR)、ピンク(PI)、アイボリー(IV)、GY、KO。
カラーは手前からオレンジ(OR)、ピンク(PI)、アイボリー(IV)、GY、KO。

石田 同じ素材のボトムもおすすめです。すねやひざのカサカサが気になり、保湿を求める方に手にとっていただければ。足首丈のボトムをレギンスのように見えるつくりに仕立てました。肌ざわりとてもいいので、ぜひ店頭でチェックしてください。

ボトムのカラーはグレー(GY)と紺(KO)の2色展開。
ボトムのカラーはグレー(GY)と紺(KO)の2色展開。
  • 石田 里代子
  • 石田里代子(いしだ・りよこ) 卸売事業本部 WBインナーウェア商品統括部 商品企画部 商品企画一課 リーダー
    ワコール入社後、ウイングブランド事業本部で主にボトム、ニットの企画開発を担当。2015年7月より現職へ異動。「GOCOCi(ゴコチ)」、ショーツ、ニットのリーダーを務める。
取材・文/シキタリエ
撮影/合田慎二