美しいレースの世界へようこそ。2020年春夏の「スタディオファイブ」

語り/「スタディオファイブ」デザイナー

「何色にも染まらない女性」をイメージした、黒にシルバーロゴの「スタディオファイブ」。自分のために美しい下着を身につけたいと考える、芯のある女性から熱い支持を受け、今年で37年目を迎えました。「スタディオファイブ」が2019年の春夏から打ち出しているブランドのコンセプトは「BE EMOTIONAL」。2020年春夏コレクションの4つのデザイングループについて、それぞれのデザイナーから話を聞きました。

スタディオファイブ

フランスのナイトクラブの
豪華絢爛なショーがシーズンテーマ

フランスのナイトクラブの豪華絢爛なショーがシーズンテーマ

――今季のコレクションのなかで最初に発売されるのがこちら。鮮やかなカラーと豪華な刺繍に惹きつけられますね。

中島 今季のテーマは「グラムールレビュー」。フランスのナイトクラブで夜ごと繰り広げられているショーからイメージしました。空間も演出もそして舞台上のダンサーも夢のように美しく、それを鑑賞するのは高揚感に包まれたひとときです。「スタディオファイブ」には4つのデザイングループがありますが、それぞれのグループで「グラムールレビュー」からインスパイアされたコレクションを発表します。

「31グループ」は、「スタディオファイブ」をまだ知らない人にまず手に取っていただきたい、いわばエントリーライン。「グラムールレビュー」をコンセプトにイメージしたのは、パリの中心地シャンゼリゼ通りにある老舗のキャバレーです。ステージで印象的に使われている噴水の水しぶきやキラキラと光るステージ上のライトからインスピレーションを受けて、オリジナルの柄をつくりました。

スタディオファイブ「31グループ」

中島 メインカラーはきらびやかな衣装の色合いをイメージしたオリエンタル調のもの、ほかにも舞台が暗転した時に肌が白く浮かび上がって見える瞬間を表現したバイオレットカラー、柄が青空や桜の花のようにも見えるサックスカラーの全3色があります。また、刺繍やレースの美しさも「スタディオファイブ」の大きな特徴と言えますが、どの角度から見ても美しく見えるよう、バックはストレッチのチュールに刺繍をあしらい、一枚使いの総レースで仕上げています。

スタディオファイブ「31グループ」

中島 (H)90までとサイズバリエーションが豊富なのも特徴のひとつ(※ラージカップには安定感を出すため1枚使いではなく裏打ち付き)。これまでに「スタディオファイブ」のアイテムを手に取ったことのない人にも、こんな下着の世界があるんだと知ってもらえたらうれしいです。

夜のパリにきらめく
老舗ナイトクラブからイメージ

スタディオファイブ「32グループ」

――続いて3月に発表されるグループがこちら。また先ほどとは雰囲気の違う美しさですね。

飯田 「32グループ」が、インスピレーションの元にしたのは歴史あるナイトクラブの演目「フレンチカンカン」に出てくる衣装「エスカルゴフリル」です。細かいフリルが波打つように広がる様からイメージしました。大変だったのは、フリルが何重にも連なる独特の繊細さをどう表現するかという点。何度もレースデザイナーと話し合い、試行錯誤を繰り返して、理想とする形にたどりつきました。

スタディオファイブ「32グループ」 スタディオファイブ「32グループ」

飯田 また、ブラジャーのカップには高級なケミカルレースを使っているのも特徴です。ケミカルレースはチュールなどの基布に刺繍したあと、その基布を溶かす手法。完成したものは、刺繍だけで構成された贅沢な美しさです。このグループのメインカラーは、トロピカルダンスをイメージした鮮やかなターコイズ。ピンク色はヨーロッパの王妃がまとうような華やかなドレスをイメージして、グレーはヨーロッパの洗練されたエキゾチックさを表現しました。

スタディオファイブ「32グループ」

――続いて4月に発表されるのがこちら。「スタディオファイブ」のなかでも最高級のグループです。洗練された雰囲気とゴージャス感が伝わってきます。

スタディオファイブ「33グループ」

池谷 「33グループ」を愛用してくださるのは、毎シーズンの新作を楽しみにされている方、素材の質やレースの美しさにこだわりのある方などです。今回イメージしたのは、世界中のセレブも虜の、アーティスティックでおしゃれなナイトクラブ。クラブを象徴する鮮烈な赤とダンサーのからだをきれいに照らすライティングのブルーを下着のカラーに使っています。また定番のブラックも加わり、全部で3色の展開です。

このグループは、他のグループのようにたくさんの色を使うのではなく、刺繍糸もトーンを統一して成熟した大人の雰囲気に仕上げています。また、鮮やかな色が並ぶ中で黒はシックに感じるかもしれませんが、刺繍とレースでマテリアルが違うため陰影が出て立体的、ブラックならではの特別なかっこよさがあります。

スタディオファイブ「33グループ」

池谷 レースは最高級のリバーレースだけを使って仕上げています。シャンパンの泡やライティングの光を想起させるデザインをほどこしていますが、この基布を残す部分、くり抜く部分と変化をつけながらカットするのは非常に難易度が高く、サーモカットという特殊な機械でしか行うことができません。

ティッシュペーパー並みに薄くて繊細なレースをインナーとしての強度をもたせつつ、デザインを施してもなおその強さを維持できるよう何度も改良を重ねました。高級な素材は、デザインのこだわりと機能を両立させることが大変ですが、それがファッション感度の高いお客様からも愛される理由だと思っています。

下着のなかに閉じ込めた
20年代パリの華やかさ

スタディオファイブ「34グループ」

――そしてこちらが今シーズンの6月に発表される最後のグループ。グラデーションのかかった色味がきれいに見えますね。

斉藤 これまでショーをイメージしたものが続いていましたが、「34グループ」が参考にしたのは、ナイトクラブやキャバレー文化が華やかだった1920年代のアール・デコや劇場のインテリアなど。この柄も、一見してモチーフが何かはわからないけれど、左右対称が特徴のアール・デコデザインのように直線と曲線がグラフィカルに混じり合う、まるで舞台のアーチのようなラインが特徴です。

スタディオファイブ「34グループ」

斉藤 舞台は、暗いなかに彩度の高い照明を入れるとよりくっきりと光が浮かび上がりますが、その雰囲気を下着のカラーにも取り入れました。メインカラーは黒。ベースの黒に青と紫の刺繍を入れ、鮮やかな2色が少しずつ混じり合うことで、グラデーションのように何色も重なって見えるよう設計しました。また、この時代に流行したイラストからイメージを膨らませたイエローや、角度によってピンクに見えたり、ガラス作品から発想を得たグレーなど、カラーにも時代の空気感を取り入れました。

スタディオファイブ「34グループ」

斉藤 ショーツにもストレッチのレースを使用していますが、一般的にはこれほど繊細なレースを1枚でショーツに使うことはありません。デザインによっては、伸ばしたときに強度を保つことができないので、図案の段階からさまざまな条件をクリアしなければなりません。そこに苦労しますが、同時にやりがいも感じます。

身につけるだけで華やいだ気分になる今季のコレクションは、自分の個性を知っている芯のある女性や、自分のために美しい下着を身につけたいと思う大人の女性に選んでもらえたらうれしいです。

取材・文/大庭典子
撮影/丸山涼子

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