2月上旬より発売の「ナチュラルフィットブラ」は、低反発シートのやわらかなカップがいちばんの魅力です。忙しい女性にこそ手に取ってほしい新商品の開発秘話を、担当者に聞きました。
ここちのいい触感を求める現代女性のために開発
――「ナチュラルフィットブラ」はどのような視点から誕生した商品でしょうか?
北村 毎回マーケットリサーチを行っていますが、女性ってお買い物するときに無意識に商品に手を触れることが多いですよね? ひかれるポイントとして"五感"で感じている部分が大きいようです。五感を刺激することで高揚感を感じたり、楽しいと感じたりすることがわかりました。それと同時に、リラックスも求めていたことから、それにつながる気持ちよさ、触感に着目して低反発ウレタンシートを使うことがまず決まりました。そこで、店頭で触れていただくだけで伝わる、ここちいい肌ざわりを目指して開発がスタートしたんです。ワイヤー入りブラですが、ラクな着用感に仕上がっています。
――やわらかな弾力が本当に気持ちいいですね! 低反発のウレタンシートを使ったカップの登場は初めてですか?
北村 実は、かなり昔にWingでは扱っていました。当時採用していた低反発のウレタンシートはこの新商品とはまた違ったもので、バックの素材も今より重ための素材を使っていたため着用感のしっかりしたタイプでした。今回は、昨今の忙しい女性に向けて、時代に合う、癒されるような商品をと心がけました。肌に触れる表側の素材もなめらかで伸びのよいものを選んでいます。身につけて癒されていただくことで、気持ちをアゲてもらえるとうれしいです!
最適なやわらかさの低反発ウレタンシートを模索
――開発途中、特に苦労されたのはどんな点ですか?
北村 カップに使用する低反発ウレタンシートの調整ですね。この素材は、断面を見ていただくとわかりやすいのですが、いろんな剤を調合して発泡させてつくっています。小さい丸いセルが発泡されてできあがっています。
北村 3つのパーツをはぎ合わせてカップの形状をつくっているのですが、ウレタンシートが硬いとバストの形状がとがりすぎたり、まるみが出なくなったり...。ちょうどいいやわらかさになるまでシートのやわらかさ3タイプ×厚み3タイプの、複数のパターンをつくって、フィッティング検証を重ねて採用方向を決めていきました。
――同時にバックとのバランスも検討を重ねたとか?
北村 ブラジャーは全体のバランスが大切なので、同時進行でバックとの組み合わせを検討していきました。横になって頭をのせる枕とはまた違って、立って着用するためそれなりにバックに力がかかっていないといけないんです。その押し戻しのバランスも、フィッティングを繰り返して何度も再考しました。バックの部分も、カップの素材と同じくらい伸びのいいものを使っています。縦にも横にも伸びるので、全体に包み込んでくれるイメージです。ストラップも伸度のよいものを組み合わせました。
――これで決定! となったときは喜びも大きいでしょうね。
北村 それが...、「これで決定!」となって海外でウレタンシートをパターン検討用につくってもらったところ、できあがったものが思っていたより硬かったんです。時間のないなか3回くらいやり直しましたね。他のメンバーも粘り強くメーカーと交渉したり、若いパタンナーも前向きに何度も素材を検討したり、弱音を吐かずにがんばってくれました。最終的に思いどおりに仕上がって、お客様によいものをお届けできることになりました。
印象の異なる4タイプのデザイン&カラーも魅力
――デザインのコンセプトを教えてください。
北村 幅広い方に「ナチュラルフィットブラ」を手に取っていただけるように4タイプ、カラーだけではなくさまざまなイメージに仕上げました。レインボーカラーが華やかだったり、落ち着いたラベンダーだったり。「私だったらこれがいいな」と、お好みに合わせて選んでいただけるとうれしいです。
――レースが素敵ですね!
北村 ありがとうございます。カップの表面にレースをあしらっていて、上部は透け感を感じるデザインです。レインボーカラーのものは生地調の部分にプリントを施しています。糸の性質で、プリントがのらない部分があるのがポイントです。
――ありがとうございました。最後に、どんな方に着用していただきたいか教えてください。
北村 モニターさんからも「着けた瞬間、すごくやわらかい!」という感想をいただいているので、普段Wingを使われていない方にもぜひ挑戦していただきたいです。そろいのデザインのショーツもご用意しています。まずは店頭で、商品に触れてみていただきたいですね。
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北村典子(きたむら・のりこ)
卸売事業本部 ウイングブランドIW企画商品部 商品企画一課
ワコール入社後、ワコールブランドのサテライトブランドでチーフデザイナーの経験を経て、現在はウイングキャンペーン・Dateブランド兼任チーフデザイナーに。
撮影/合田慎二