
外出の機会が減って改めて思うのは、ハレがあってのケであり、オンタイムあってのオフタイム(もちろん、その逆も)。その両方がバランスよくあることがいかに大切かということです。快適に暮らすためには、合理性や機能性も大切ですが、装う楽しさや美しさを決して忘れたくないと思うのです。
今年のクリスマスから新年にかけてのホリデーシーズン、せめて内側からファッションのワクワク感、おしゃれをする高揚感を取り戻しませんか。そのためにレースは大きな役割を果たしてくれます。
クリエイティブなアンサンブル
今や、カジュアルなアウターウェアにもレースが多く使われていますが、ランジェリーはそれとはまた違う繊細さにあふれています。ブライダルに象徴されるような、オートクチュールの職人芸を受け継いだものは、身につけているだけでドラマチックな気分になれそうです。
従来からのレースのトリミングや、レースをたっぷりと一面に使った豪華な総レースはもとより、最近は種類の異なるレースの組み合わせ、さらにプリントやサテン、チュールなどの異素材を複合的に使った、微妙で巧みなアンサンブルが増えているといっていいでしょう。これはランジェリーでしかなかなか味わえないものです。


グラフィックモダンで新鮮さを
レースの王様といわれるリバーレースも、絵のように柄の変化が楽しめるエンブロイダリーレースも、それぞれの技術を活かした新しい表現が進んでいます。デザインのトレンドをひとことで言うと、グラフィックモダン。花や植物柄も、常に新鮮な感動が追求されているのです。
ランジェリーは肌に直接まとうものだけに、まるでタトゥを乗せたような感覚が楽しめますし、また特にブラジャーなどは女性の曲線的なからだに沿った柄のレイアウトが映えます。
また、エコフレンドリーやサスティナブルが求められる時代に対応し、レースもその種類に限らず、リサイクル、あるいはオーガニックコットンや天然素材を取り入れる方向性も見られます。
こういうときだからこそ、改めてランジェリーならではのレースの魅力を見直してみましょう。


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武田尚子(ジャーナリスト)
インナーウェア専門雑誌の記者を経て、1988年にフリーランスに。以来、ファッション・ライフスタイルトータルの視点から、国内外のランジェリーの動きを見続けている。著書に『鴨居羊子とその時代・下着を変えた女』(平凡社)など。
「パリ国際ランジェリー展」など年2回の海外展示会取材は、既に連続30年以上となる。現在、ライフワークとなる新たな計画を進行中。 http://blog.apparel-web.com/theme/trend/author/inner