
前回のホームウェアに続き、ランジェリーにおけるインナーとアウターのクロスオーバー化も、いろいろな面から進行しています。
その代表が、ヨーロッパで一般に「ボディ」と呼ばれるボディスーツやボディブリファー。このアイキャッチャーアイテム、パリ国際ランジェリー展で発表された2020秋冬コレクションでも多彩さを増していました。普段のワードローブにも少しずつ取り入れてみませんか。
からだ全体を快適につつみこむ
水着にも似た、この上下つながったボディのスタイルが最近注目されているのは、背景に1980年代ファッションのリバイバルや、スポーツの影響もあると思います。
ただ、以前はストレッチ力が強めで、からだにぴったりフィットしたものが多かった記憶ですが、昨今のボディはからだ全体を快適につつみこみ、ほどよくサポートしてくれるものが主流です。ツーウェイストレッチや、部位ごとに着圧を変えたものなど、新しいテクノロジーを反映させた素材も少なくありません。
また、海外では透けるシアー素材を効果的に組み合わせたものも多く、見た目にも軽さや洗練されたファッション性が楽しめるのです。

幅広い用途や場面で活躍する
ひと口にボディスーツといっても、体型補整機能に富んだものから、ソフトなチュールやレースだけでできたようなセクシーな雰囲気のもの、スポーツウェアに近いものまで、実にさまざまです。さらにいうと、ワイヤーやブラカップの有無、袖付きもありますし、また襟もとや背中のカットも多様で、用途や目的に応じたスタイルを選ぶことができます。
仕事のジャケットインをはじめ、ディナー、ダンス、スポーツ、リゾートと、幅広い場面や時間帯で活躍するアイテムといえます。一見、遊び要素の強いアイテムと思われがちですが、意外に実用性や合理性にも富んでいるといえるのではないでしょうか。


新型コロナウイルスの影響で長いおうち時間を過ごしてきたからこそ、自分自身のからだ意識を再び目覚めさせるためにも効果があると思うのです。

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武田尚子(ジャーナリスト)
インナーウェア専門雑誌の記者を経て、1988年にフリーランスに。以来、ファッション・ライフスタイルトータルの視点から、国内外のランジェリーの動きを見続けている。著書に『鴨居羊子とその時代・下着を変えた女』(平凡社)など。
「パリ国際ランジェリー展」など年2回の海外展示会取材は、既に連続30年以上となる。現在、ライフワークとなる新たな計画を進行中。 http://blog.apparel-web.com/theme/trend/author/inner