- ファッション
- 2015.06.17
古くて新しい!スリップに世界のモードが注目!

4月に伊勢丹新宿店1階のザ・ステージで開かれたイベント「WACOAL made in Japan mode in Japan」では、レースを贅沢にあしらった美しいランジェリー類を前面に打ち出し、一般にはまだまだ知られていないインナーウェアの世界のおもしろさを伝えていました。
ランジェリーの中でもストレートにモードの魅力を表現できるのがスリップ。このクラシックでありながら新鮮なアイテムは、今、世界的にも注目されているのです。
実用から非日常的なおしゃれアイテムへ
かつて日本では、ブラ&ボトム(ショーツ、ガードル)の上には必ずスリップを身に着け、その上に服(ブラウス&スカートやワンピース)を着るというのが当たり前だった時代があります。肌と服の間にもう1枚重ねることによって、服の滑りやシルエットを良くしたり、汗や汚れを防いだりという機能を果たしてくれていたのです。服装のカジュアル化という時代の流れと共に、スリップは日常的な実用品というよりは、非日常を演出してくれるおしゃれアイテムという位置づけに変化してきました。それでも日本では服の下に重ねる"アンダードレス"という役割が中心であるのに対し、ヨーロッパやアメリカではナイトウェアの一環として提案されています。もちろん服の下に重ねる場合もありますが、ほとんどが夜寝る時にベッドの中で着る"ナイトランジェリー"として提案されています。
さらに近年では、スリップやペチコートを服としてアウターに見せて着られるものも珍しくなくなりました。


1920年代トレンドのアイコンとして復活
2015秋冬コレクションを一堂に集めたパリ国際ランジェリー展では、このスリップがひとつのトレンドとして復活していました。女性が活動的になった1920年代をテーマにしたファッションショーでは、アールデコムードたっぷりの演出の中で、スリップが重要なカギを握っていましたし、またシルクをクローズアップしていた素材展の方でもクチュールランジェリーの代表としてスリップに力が入れられていました。シルクサテンにリバーレースをあしらったものは代表的なスタイルですが、最近は非常にカラフルになって、きれいな色の組み合わせが楽しめるようになっています。また、1920年代風のローウエストシルエット、背中の大きな開きを意識したデザイン、さらに総レースや透ける素材で重ね着を楽しめるもの、遊び心のあるイブニングドレスとしても遜色のないスタイルと、デザインも多様化しています。ミニ丈中心から、細長いナローシルエットのロング丈が登場しているのも、新しいトレンドです。
スリップは決して過去のアイテムではありません。昼と夜、それぞれの場面に合わせて、自由な着こなしを楽しみましょう。



武田尚子(ジャーナリスト)
インナーウェア専門雑誌の記者を経て、1988年にフリーランスに。以来、ファッション・ライフスタイルトータルの視点から、国内外のランジェリーの動きを見続けている。著書に『鴨居羊子とその時代・下着を変えた女』(平凡社)など。
「パリ国際ランジェリー展」など年2回の海外展示会取材は、既に連続30年以上となる。現在、ライフワークとなる新たな計画を進行中。
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