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インナーファッションの流行ウォッチング
ランジェリー★EXPRESS
2018年4月11日
BEAUTY
テクノロジーの進化を反映した素材トレンド

「パリ国際ランジェリー展」の素材展で、"Nature Moves Us"(自然が私たちを動かす)というコンセプトが掲げられていたように、サステイナブルな環境への意識は長期的なテーマとして継続しています。それは天然素材やナチュラルテイストに限らず、エコフレンドリーでありながらモードの魅力に富んだものが次々に開発されています。
同時に、テクノロジーの進化はランジェリーの物づくりのいたるところに反映され、ハイテクと伝統的な手工芸の要素が共存しているのも大きな傾向です。
目をひく表面効果に富んだ素材
素材展「アンテルフィリエール」では毎回ひとつのテーマに基づき、ミュージアムスタイルのエリアが設けられていますが、前回の軽くて薄い"ウルトラライト"に続き、今回フォーカスされていたのは表面効果に富んだ素材を集めた"フィニッシング"でした。そのテーマに呼応するかのように、ファッション面から見た2018秋冬シーズンの最大のトレンドは、ベルベットです。すでに婦人服では人気のトレンドとなっていますが、ラウンジウェアやランジェリーにおいても多様な使い方がされています。特にランジェリーはトリミングにあしらったり、フロッキープリントとして使ったり、スパイス的な効果を発揮したものが目につきました。
また光沢のある素材も変化に富んでおり、表面がほんのり光るものからメタリックな強い光を放つものまでさまざま。ゴールドのラメレースも人気があります。

セカンドスキンのアプローチ
さらに、肌に限りなく一体化するセカンドスキンの方向性も、いろいろなアプローチが見られます。フランスの水着ブランドとして人気のある「D nu D(デヌデ)」は、2015年にランジェリーデビュー。水着コレクションと同じプリントが使われていますが、ランジェリーは肌に心地よく同化するような薄く透ける素材が中心で、非常にナチュラルでモダンな女性らしさを感じます。

いずれにしても、デザイン性と機能性はそれぞれ対極のものではなく、両者は限りなく一体化しながら理想のランジェリーを模索しているのです。そういう意味でも、生地からレース、副資材まで、素材の果たす役割は大きいものがあります。



武田尚子(ジャーナリスト)
インナーウェア専門雑誌の記者を経て、1988年にフリーランスに。以来、ファッション・ライフスタイルトータルの視点から、国内外のランジェリーの動きを見続けている。著書に『鴨居羊子とその時代・下着を変えた女』(平凡社)など。
「パリ国際ランジェリー展」など年2回の海外展示会取材は、既に連続30年以上となる。現在、ライフワークとなる新たな計画を進行中。
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