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カラダやシタギのコトバ 新解釈・連想・妄想コラム

新訳からだ辞典「パンツ一丁」

2016年2月24日

文/相川藍(あいかわ・あい)
イラスト/白浜美千代

HEART

今月のコトバ「着やせ」

今月のコトバ「着やせ」
隠す? 見せる? だます?
「着やせ(着痩せ)」って、すごい言葉だ。大辞泉には「衣服を着ると実際よりもやせて見えること」とさらっと書いてあるけれど、普通に考えると、衣服を着れば「着ぶくれ」や「着太り」するのがあたりまえ。実際よりもやせて見えるなんて、矛盾であり魔法である。キリストの有名な奇跡に「5つのパンと2匹の魚で5000人を満腹にした」というものがあるが、その感覚に近いというか。

似た言葉に「着ばえ(着映え)」がある。「着たときに衣服がりっぱに見えること」で、主役は衣服だ。一方、着やせの主役は、あくまでもからだである。

着やせテクとしてよく知られているのが、肉付きの気になる部分をギャザーやフレアで「ふんわり隠すワザ」。下手をすると余計にボリューミーに見え、逆効果になってしまう難しいテクニックだ。部分的に隠していると何となく怪しまれ、かえって注目されたりするのも面倒くさいし。

「ふんわり隠すワザ」には、手首、足首、首、鎖骨など、くびれている部分を「あえて見せるワザ」を併用するといいらしい。だが、これらの部分がすべてぽってりしている場合はどうしたらいいか。シュッとした小物の出番である。とがったハイヒール、キリッと結んだスカーフ、カチッとしたクラッチバッグなどの視覚効果は絶大だ。華奢な小道具を、自分のからだの一部のように見せてしまおう。
「写真やせ」というマナー
「大きな胸を小さく見せるブラ」というのがある。胸をコンパクトにおさえて、すっきりしたシルエットに見せてくれる商品だ。このブラが発売されたときは、逆転の発想に意表を突かれたが、ふたを開ければ大人気。胸は目に入りやすい部分だから、着やせを考える場合、最優先に考えるべきだろう。

手っ取り早く全身の着やせ効果をねらうなら、シャツ、ジャケット、スーツは外せない。ぱりっとしたハリのある素材とカッチリした仕立てで、トータルに肉感を消す作戦だ。平日はスーツ姿の男性が、休日にセーターなど着ていると、肉感が出ておっさんぽいなあと感じることがある。だが逆に、彼のセーター姿しか知らない趣味仲間が平日のスーツ姿を見たら、肉感が消えたと感動するだろう。スーツ姿は、いざというときのために、とっておいたほうがいいのかもしれない。

とはいえ、服に依存する着やせには限界があるから、やせて見える角度やポーズを研究することも必要だ。誰にでもやせて見える角度があり、これを自覚している人の「写真やせ」効果は絶大である。かつて、美しすぎる写真には、いかがわしさや後ろめたさが漂ったものだが、今や「実物以上」がマナーになった感すらある。写真においても、堂々とめくらまし効果をねらいたい。
ギャップがうれしい
着やせとはうれしいものだ。デリで買ったサラダやパスタを皿に移すと、予想以上のボリュームに驚くことがある。プラスチック容器に入った惣菜は、着やせしているのである。深めの黒い容器の着やせ効果はハンパなく、縦長シルエットの黒い服の効果と同じだと思う。「この容器にこのサラダが全部入っていたの? 」という驚きは「この洋服にこのカラダが全部入っていたの? 」という驚きに近い。

着やせを喜ぶ男性も多い。女性は脱いだときのギャップを心配するが、「脱いだらすごい」は歓迎されるものなのだ。ananの「エロティックでいこう!!」特集には、「肉付きのいい女子こそ男にとっては魅力的なんです。ぶっちゃけクビレとか、いらないくらい(笑)」という映像ディレクター、大根仁氏のコメントが掲載されていた。着やせテクとともに覚えておきたい、太っ腹な発言である。

相川藍(あいかわ・あい) 言葉家(コトバカ)。ランジェリー、映画愛好家。最近いいなと思ったのは、映画「暗くなるまでこの恋を」で妻(カトリーヌ・ドヌーブ)の裏切りに気づいた夫(ジャン=ポール・ベルモンド)が、彼女の下着を次々と暖炉で燃やすシーン。

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