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インサイドストーリー

商品づくりの現場から

2015年10月 7日

語り/植村篤人(ワコール ウエルネス事業部)
船橋幸子(ワコール ウエルネス事業部)

BODY

快適なパンプスライフをもう一度! 50代女性に向けて本気でつくった一足

2004年の販売開始以来、「サクセスウォーク」は、"疲れにくく歩きやすいパンプス"と働く女性を虜にし、大ヒット商品に。この技術を基本に、足の加齢変化に対応した「サクセスウォーク アシラク」が新たに誕生しました。その裏側を、開発担当者が語ります。 サクセスウォーク アシラク
女性がヒールで働くキツさを
開発チーム男性陣が痛感!
――新商品「サクセスウォーク アシラク」は、「サクセスウォーク」ビジネスパンプスの基本設計をもとにつくられたそうですね。まずは、10年以上のロングセラーを続ける「サクセスウォーク」がどのように完成したのか、教えてください。

植村
 「サクセスウォーク」が誕生する以前より、ワコールは「美しくて歩きやすい靴」を目指して靴づくりを行ってきました。その想いやそれまでの研究がサクセスウォーク開発の基本ベースになっています。開発にあたって、さまざまなアンケートや調査等を行い、多くの女性が「パンプスは痛くて疲れる」という悩みをもっていることがわかりました。ところが当時の開発メンバーは男性陣でしたので、具体的にどのくらいなのか、わからなかったそうです。そこで男性陣が実際にパンプスをはいてみるとことからスタートしたんですよ(笑)。

実際にはいてみて、「女性はこれほどつらいものを長時間はいて、歩いて、しかも働いている!?」と衝撃を受けたそうです。そして「これは本気で歩きやすくて、疲れにくい靴を開発しなければ!」と思ったことから開発がスタートしました。私もパンプスをはいてみましたが、まともに歩くことができませんでしたね。 植村篤人(ワコール ウエルネス事業部) ――言われてみれば、ヒール独特のつらさは、男性にとっては未体験ですよね。

植村
 足裏の痛みを伴うほど足を疲れさせる原因や、ヒールをはいたときの体重のかかり方、足の仕組みなどを研究しました。調べていくうちに、ヒールをはいたときの体重のかかり方が、大きな原因のひとつだとわかったのです。

通常、素足で立った場合、体重がいちばんかかる位置は、かかとの下にある"踵骨(しょうこつ)"という部分。ところが一般的なヒールは、踵骨よりも後ろについています。"体重のかかる位置"と"受け止める位置"にズレが生じてしまっているので、体重が受け止めにくくなってしまいます。その結果、パンプスは坂道のように傾斜になっていますので、体重が前にかかりやすく、姿勢も前のめりに、また歩行時の安定感も失われてしまいます。

そこで「サクセスウォーク」は、ヒールがかかとの下にくるように設計しました。そうすることで安定感も生まれ、体重を受け止めやすく、スムーズな歩行をサポートしているのです。 ヒール位置は体重を受け止めやすいかかとの骨の真下 ――ヒールの位置が、大きなポイントになっているのですね。

植村
 さらに、全身の体重をヒールという"点"だけで支えるのではなく、足裏の形状にフィットする立体的なインソールによって"面"で支え、体重を分散できるよう、工夫しました。ほかにも、サイズ展開の豊富さも「サクセスウォーク」の特徴です。どんなに機能の優れた靴をつくったとしても、サイズがぴったりと合っていなければ、その効果は半減してしまいますから。

――サイズが合っていないと、靴の機能が充分に発揮できないのですか?

植村
 その通りです。特にパンプスは足を押さえる部分が少ないので、足に合わないと前に滑ってしまったり、つま先や指が当たってしまったりしがちです。それが足裏の痛みや疲れの原因にもなってしまいます。また、本来サポートしたい部分がズレてしまいますので、機能も発揮しにくくなります。
また、足は立体なのでサイズは長さだけではありません。足に合った靴を提供するには親指から小指までを取り巻いた周径=足囲を合わせることも大事です。
そのために「サクセスウォーク」は、足囲だけでも最大5種類のサイズ展開があります。

この春からは、足のかたちにも着目し、「標準タイプ」「甲が薄いタイプ」といった商品も生まれ、ジャストサイズへのこだわりや充実度は、開発以来高まっています。

さまざまな足の加齢変化に
細やかな技術で対応
――「サクセスウォーク」をベースに、足の加齢変化に対応した「サクセスウォーク アシラク」は、どのように誕生したのでしょうか。

植村
 「サクセスウォーク」ビジネスパンプスは、30代を中心とした働く女性へ向けた商品なのですが、おかげさまで多くの方に愛用いただいています。ですが、その先の50代の方はというと、からだと一緒で、足にも加齢変化がありますから、その変化に対応した靴でないと、快適ではありません。

実際「サクセスウォーク」を試着したお客さまからも、50代の自分にはこのパンプスでもつらい、という声もあがってきました。そこで、「サクセスウォーク」の技術を応用して、50代の女性の足にとって、快適なパンプスをつくることはできないか、と思ったのがきっかけです。きつい、つらい、とパンプスから離れてしまった方たちに、もう一度「やっぱりパンプスを履くと気持ちがいい。おしゃれも楽しい」と思ってもらえるような商品を目指しました。

船橋幸子(ワコール ウエルネス事業部) ――足にも加齢変化が...。具体的には、どのようなものですか?

植村
 足は、年齢とともに足裏のアーチが下がったり、足裏の脂肪層が減少する傾向にあります。『サクセスウォーク アシラク』には、この外反母趾の形や足裏の痛みに対応した設計が組み込まれているのです。

――「足裏のアーチが下がる」というのは、どういうことですか?

船橋
 足は、3つのアーチでからだを支えていることはご存知でしょうか? ひとつは土踏まずと呼んでいる内側の縦アーチ、ふたつ目は外側の縦アーチ、3つ目はそのふたつを指の付け根辺りで結ぶ横のアーチです。 足を支える3つのアーチ 年齢とともに筋肉や腱が衰え、これらのカーブは下がってしまう傾向にありますが、特に外反母趾の人は、横アーチが極端に落ちているので、足の横幅が広がっています。この状態で、幅の合わない細い靴をはくと、痛みもありとてもつらいのです。結果、パンプスをはくことをあきらめてしまうことに。

「サクセスウォーク アシラク」は、年齢とともに増加する外反母趾のかたちに対応したシルエットも特徴のひとつです。一般的なパンプスの横幅よりも、前足部を広めに設定し、足を入れたときに感じる圧迫感ができるだけないように、木型を設定しました。(※外反母趾を治療するものではありません) 外反母趾のかたちに対応するシルエット また、落ちてきたアーチを支えるために、3D形状のインソールで対応しています。横アーチを広めのパッドでしっかりもち上げて、縦アーチも両サイドからぐっと支えるような設計に。足のアーチは、長い時間をかけて少しずつ下がっていきます。現状の靴の状態に慣れてしまった人でも、この「サクセスウォーク アシラク」に足を入れたときの、"アーチをサポートされている安定感"は思いのほか大きいと、多くのモニターさんにも実感してもらえました。
機能だけでなく、デザインも充実。
快適さとおしゃれの両方を実現!
――歩きやすいポイントはどこにあるのですか?

船橋
 幼い子のようなぷくぷくとみずみずしい足裏の弾力は、年齢とともに衰えますから、弾力を失った分、足裏のクッション性が落ちて、痛さに敏感になります。そのためインソールのつま先と、靴の内側には柔らかな起毛素材を使用して、やさしい肌触りに仕上げました。細かなことですが、肌に固い生地が当たるストレスからも解放されるよう、工夫しました。 変化した足裏をしっかりサポートするインソール パンプスは、スニーカーなどと比べて、足を覆う範囲が少ないので、脱げないように歩くためには、足の力が必要とされ、パンプスは疲れる、とあきらめてしまう方も多いのです。 靴底の丸み 写真を見て、靴底が丸みを帯びているのがわかりますか? この丸みが、蹴り出したときに、ゆりかごのように転がり、蹴る力をサポートします。とはいっても、横方向にカーブはないので、立ち止まっているときにグラつくような不安定感はありません。

植村 あくまでも、歩き出したときに、歩行スピードに乗って、軽やかに歩ける設計です。モニターさんからは、ペタペタとした歩き方が、スッスッと足がスムーズに出るようになったという声もありました。

――ゆりかごのような設計、横から見るとよくわかります! これだけの機能があるなら、今までパンプスをあきらめていた人も、もう一度履けそうですね。

船橋
 機能だけではないんですよ。ビジネスでも使えてなおかつオフの日のファッションも楽しめるようなパンプスを、とデザインにもこだわりました。りぼんや花のモチーフの付いたフェミニンなもの、スクエア金具のクールなものなど、4種のデザインがそろっています。これまでパンプスから離れていた人にとって、「サクセスウォーク アシラク」が、日常はもちろん、出張先や旅先での欠かせない相棒になってくれたら、本当にうれしいです。 サクセスウォーク アシラクパンプス サクセスウォーク アシラクパンプス(デザイン4種類、サイズ22.0〜24.5cm、ヒール約5cm、足囲EE)¥22,000+税より
植村篤人(うえむらあつひと)

植村篤人(うえむらあつひと) 2001年入社後、ウエルネス事業部にて、フット、レッグ関連商材の東日本の百貨店セールスを担当。2007年に商品部へ転属となり、ボディサプリのMDを担当。2009年よりフット商品の担当MDに。

船橋幸子(ふなはしゆきこ)

船橋幸子(ふなはしゆきこ) 入社後、ワコールブランドのインナーウェア部門にて、CADによる設計を担当、その後ウエルネス事業部にてリゾート水着やフィットネス水着の企画・開発・パターン設計などで数多くの商品に携わり、2012年からは靴チームにて設計や開発業務を担当中。

取材・文/大庭典子(ライター)
人物撮影/平賀 源

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