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インナーファッションの流行ウォッチング

ランジェリー★EXPRESS

2015年9月30日

文/武田尚子(ジャーナリスト)

BEAUTY

日本の文化に触発されたヨーロッパブランド

海の環境問題に静かに警鐘を鳴らす「AMA Swimwear」。 海の環境問題に静かに警鐘を鳴らす「AMA Swimwear」。
http://ama-swimwear.com/
ランジェリーというのは、もともと西洋の歴史と洋装文化から生まれたものなので、私たち極東の国のランジェリーは、そこから多くの影響を受けています。ただ最近は、日本のアニメやマンガブームに端を発するカワイイ文化が世界的に広がり、大人の女性をリスペクトする欧米のランジェリーも少しずつ変化しているように思います。さらに、もう一歩進んでところで、伝統的な日本の精神文化から影響を受けてスタートしたような、ヨーロッパのブランドも登場しています。
自然環境意識をスタイリッシュに
今回のモードシティ展では、「AMA Swimwear(アマ・スイムウェア)」というブランドに出会いました。2014年9月にドイツのフランクフルトで設立されたばかりの、水着とリゾートウェアのデザイナーブランドです。

ブランド名の「AMA」とは、日本語の「海女(あま)」。海で貝や魚を素潜りで採る、あの伝統的な職業のことです。以前の仕事で日本に滞在したことのある同ブランドのディレクター、ロバートさんが、海女の写真集からインスピレーションを受けてこのブランドのストーリーを組み立てたということです。

ここに込められているのは、自然環境への強い意識です。実際に、水着の素材の一部には、漁網(ポリアミド)をリサイクルした素材を取り入れています。環境問題を打ち出しながら、非常にシンプルでスタイリッシュなスタイルがもち味で、それはまさに日本の「粋」にも通じます。洗練されたストラップ使いが目につきますが、それは日本のボンデージアート「縛り」から来ているというわけです。 リゾートウェアは、ふわりと羽織って便利なキモノスタイル。2016SSのテーマは、 リゾートウェアは、ふわりと羽織って便利なキモノスタイル。
2016SSのテーマは、"bonding with nature"(自然とつながる)
「海女」に連なる共通の女性像
また、「Ama」にはひとつの女性像も反映されています。海女を「Japanese pearl diver」(日本の真珠ダイバー)と表現しているように、それは今回のモードシティ展のトレンドテーマのひとつでもあった「マーメイド(人魚)」、あるいは「ニンフ(妖精)」にも共通点のあるものです。まさに自然と共にあり、強さと女性らしさを持つ独立した女性...。しかもロマンチックでどこか神秘的なところがあります。
その女性像は年齢を超えたもので、同ブランドの対象も「15歳から50歳まで」とエイジレス。現存する海女も、高齢化が進んでいますね。
水着というのは自然と直接触れ合うアイテムだけに、このようなアプローチは実に効果的です。自然環境への意識が高いドイツならではの発信といえるでしょう。
日本や東洋の文化の影響という意味では、数年前に盛んに言われた「ZEN(禅)」とも、昨今の「ミニマリズム」にも連なる動きとしても注目されます。 「モードシティ」展ブースで、クリエイティブディレクター(デザイナー)のVanessa Sauerさん(右)と、マネージングディレクターのRobert Stöberさん(左)。 「モードシティ」展ブースで、クリエイティブディレクター(デザイナー)のVanessa Sauerさん(右)と、マネージングディレクターのRobert Stöberさん(左)。
武田尚子(ジャーナリスト)

武田尚子(ジャーナリスト) インナーウェア専門雑誌の記者を経て、1988年にフリーランスに。以来、ファッション・ライフスタイルトータルの視点から、国内外のランジェリーの動きを見続けている。著書に『鴨居羊子とその時代・下着を変えた女』(平凡社)など。
「パリ国際ランジェリー展」など年2回の海外展示会取材は、既に連続30年以上となる。現在、ライフワークとなる新たな計画を進行中。
http://blog.apparel-web.com/theme/trend/author/inner

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