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インナーファッションの流行ウォッチング
ランジェリー★EXPRESS
2015年2月18日
BEAUTY
世界が注目するシルクのランジェリー

1月に開催されたパリ国際ランジェリー展では、そんな古くて新しいシルクが大きくクローズアップされていました。
世界のインナーウェア全体が実用かつ安価なものに流れるここ最近、クチュールの手技がものをいうシルクは、ランジェリーというカテゴリーそのものの価値を高めるためにもなくてはならない存在です。
リヨンで3代続くブランド、マルジョレーヌ

リヨンといえば昔から絹織物の産地として有名ですが、1947年に小売店としてスタートした時は、ウールの肌着をメインに扱っていたといいます。ブランド名にある「レーヌ(laine:毛)」にその名残があります。いくらシルクのメッカといっても、第二次世界大戦直後という時代性もあって、普通の庶民にとってシルクは手の届かない遠い存在だったようです。
しだいに、店でオリジナルを縫うようになり、シルクを導入するようになったのが1962年。以来、自社アトリエでの丁寧な手作業のプロセスにこだわって地道な成長を続け、近年はフランス国外への輸出が6割を占めるまで市場を世界に広げています。パターンメイキングのソフトウェアやミシンの最新技術は取り入れていても、特にシルクにレースをはめこむような繊細な技術は、熟練した職人が担っているのです。
スリップのおしゃれが無限大

デザイナーのキャロルさん(創業者の孫で現社長の妻)が大事にしているのは、ランジェリーを身に着ける女性のからだの形。
「まわりの友だちを見ていても、体型がそれぞれに違う。こういうからだにはこういうスタイル、というふうに、いろいろなタイプの女性が身に着けているところをイメージしながら、デザインしています」
素材もシルクだけではなく、気軽なサテンポリエステル、よりリラックスした感覚で着こなせるラグジュアリーなカシミヤニットまで、選択肢が広がっています。ナイトウェアやラウンジウェアにはもちろん、アンダードレスとして、また外に着て行く街着としてコーディネートできるものも少なくありません。スリップのおしゃれの可能性が限りなく広がります。
あくまで美しい色のハーモニー、ちょっとコケティッシュな女っぽさや適度な野性味も忘れないのが、さすがフランスのブランドですね。

武田尚子(ジャーナリスト)
インナーウェア専門雑誌の記者を経て、1988年にフリーランスに。以来、ファッション・ライフスタイルトータルの視点から、国内外のランジェリーの動きを見続けている。著書に『鴨居羊子とその時代・下着を変えた女』(平凡社)など。
「パリ国際ランジェリー展」など年2回の海外展示会取材は、既に連続30年以上となる。現在、ライフワークとなる新たな計画を進行中。
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