トップ 教えて、ドクター! / BODY 【特集/ヒップの秘密】美尻の土台「骨盤」を検証!

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教えて、ドクター!

2014年10月15日

先生/宮永美知代(東京藝術大学美術学部助教)
取材・文/大庭典子(ライター)

BODY

【特集/ヒップの秘密】

美尻の土台「骨盤」を検証!

ヒップの幅や奥行きを決める
思春期に女性骨盤はどう変化する?!
おしりの形に大きく影響を与える骨盤。男女の骨盤には形の違いがありますが、女性の骨盤には、いつ、どのような変化が起きるのでしょう。男性の骨盤と女性の骨盤の違いとは? 今回は、おしりを"骨"の視点から検証します。『美女の骨格』の著者、東京藝術大学美術学部助教の宮永美知代先生に教えていただきます。

「少年少女のころまでは、おしりには大きな性差はありません。違いが起きるのは、思春期のころからです。女性の骨盤は、10歳(〜12歳)くらいから、16歳(〜18歳)にかけて大きく変わってきます。骨格の形が変化すると、それにともなっておしりの幅や奥行きにも変化が生じるのです。

思春期の繊細な時期にこれまでに履いていたジーンズが入らなくなったり、小さかったおしりが、大きくなっていくことを嫌がる若い女性もいらっしゃるようですが、それは少女から女性に変わっていく過程で否が応でも起きる変化。生理が始まる時期でもある思春期のころから、女性の骨盤の形は来るべき出産に備えて、少しずつ形を変えていきます。 男性と女性の骨盤の形 まずは、男性と女性の骨盤の形を見てみましょう。男性に比べて女性のほうが骨盤が大きい、と思っている方が多くいらっしゃいますが、実はそうではありません。骨盤に限らず腕や脚などほかの部位の骨も男性のほうが大きいのと同じで、やはり男性の方が骨盤も大きいんです。もともと骨格には性差があり、女性の骨格は男性の骨格よりひと回り小さく、それは骨盤も同じなのです。

ただし、形には大きな違いがあります。思春期のころ、腸骨(ちょうこつ)と恥骨(ちこつ)、坐骨(ざこつ)という3つの骨がくっついて、ひとつの骨になるのですが、このときに女性は、女性特有の骨盤に形が変わっていきます。女性のほうが高さは低く幅広です。横から見ると、仙骨(せんこつ)、尾骨(びこつ)が男性よりも後ろに出るのも特徴です。

そして、図を見てもわかるように、女性の骨盤は、上の大骨盤(腸骨、仙骨の部分)が開いたような形に、下の小骨盤(恥骨、坐骨の部分)も高さが低く、下口が広い形をし、恥骨下角も女性の方が大きいのです。骨盤が思春期以降、変化するのは、だんだんと子供を育む空間を確保する方向に適応することなんです。出産に適応しこのような形に変化します。腸骨の縁を腸骨稜(ちょうこつりょう)といいますが、その前端が男性は前内向きに、女性は前外方を向いています。粘土で器を作ったことがありますか? ほんの少し縁の形を変えるだけで容積は大きく変わりますが、骨盤もそれと似ていると言えると思います。
女性骨盤には、内臓支持と出産のギリギリのせめぎ合いが!
こうして見ても、女性の骨盤の形は力学的に非常に頑張っている機能形態をもっていると言えます。人間は、二足直立歩行をするようになり、内臓の支えを腸骨が担うようになりました。このため、小骨盤は男女ともにすぼまっていないと内臓がずり落ちてしまいます。ただし、女性は、赤ちゃんが骨盤下口から生まれてくる出産機能があるので、ある程度の開きも必要なんです。これはなんだか機能的には大いに矛盾するところですよね。

これ以上狭まったら子供が産めない、これ以上開いたら内臓が落ちてしまう...というぎりぎりのせめぎ合いの中で、絶妙の形となっているのが女性骨盤なのです。だから他の動物と比べると、人類の出産は難産でもあるんですね。

女性の骨盤に変化が起きるころは、特に食事に気をつけて成長期に必要な栄養をちゃんと取ることが大事です。現在は、10代からダイエットが流行ったり、栄養面が十分でない方がいますが、それでは、いい骨盤・美しいおしりが育ちません。しっかりした骨盤、そしてそこにつく筋肉が、結果的に美しいお尻をつくります。

骨格のお話をすると、成人になって骨の形が完成したら、その後は変化しないと思っている方も多いのですが、骨の形は大人になってからも変化します。そのあたりも今後詳しくお話ししていきますね。まずは骨の基本的な形について、お話ししました。お尻の幅や奥行きを決定するのが骨。形を決めるのが筋肉と結合組織、そして脂肪です。次回は、筋肉のお話しからしましょう」

女性の骨盤が、内臓支持と出産のせめぎあいの後に出来上がった形だったとは! 思わず感動してしまいました。幅や奥行きを決め、美尻の土台をつくる骨格についてよくわかりましたね。お尻の形についても、どんなトリビアが出てくるのか、楽しみです。
宮永美知代

宮永美知代 東京藝術大学美術学部助教。医学博士。美術解剖学会、日本顔学会理事。
女子美術大学で日本画を専攻し卒業後、東京芸術大学大学院美術研究科修了。東京大学理学部人類学教室研究生を経て、その後、東邦大学医学部で医学博士を取得。現在は、東京藝術大学大学院美術教育研究室、学部専門教育科目・美術解剖学で教鞭をとる傍ら、全国各地の大学で講義を行っている。著書に『美女の骨格』(青春出版社)や『生体機能論』(南山堂)、『動物デッサンの基本』(ナツメ社)、監修・翻訳に『アーティストのための美術解剖学』(マール社)など。

イラスト/190

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